工事代金債権や賃料債権等、未発生であるが、将来生ずる可能性が高いものを
「将来債権」
といいます。
将来債権は、発生するか否か不安定な債権であることから、債権譲渡契約を締結した段階では、その譲渡が現実的なものとなっていないとも考えられます。
しかし、このような不安定な将来債権であっても債権譲渡をすることは可能とされています。
裁判例においても
「将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約の締結時において、右債権発生の可能性が低かったことは、債権譲渡契約の効力を当然に左右するものではない」
としています(最判平成11年1月29日)。
ところで、契約における債権に譲渡を禁止する特約を付けることができ(民法466条2項)、将来債権が生じるような継続的な契約関係の多くには、このような譲渡禁止特約が付されています。
この点、譲渡された債権に譲渡禁止特約が付いていたとしても、譲受人が譲渡債権に譲渡禁止特約がついていたことを知らなかった場合、特約があったことを譲受人に主張することはできないとされています(民法466条2項ただし書)。
つまり、当該債権の譲渡禁止特約について、
「調べてもわかんなかったんだし、そんな勝手な取り決め、知るわけねえじゃん」
という状況であれば、特約にかかわらず、譲受人は債務者に請求することができるわけです。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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