00536_判決にまでもつれ込むのは、訴訟上の和解交渉の失敗

よく、企業経営者で、
「ウチの顧問弁護士はすごい。先生は非常に優秀で、この先生に頼んで負けたことがない」
と自慢される方がいます。

ですが、ある程度優秀な弁護士は、皆、
・ 判決にまでもつれ込むのは、訴訟上の和解交渉の失敗であり、
・ 訴訟にまでもつれ込むのは、裁判外交渉の失敗であり、
・ 裁判外交渉にまでもつれ込むのは、予防法務の失敗
というテーゼを知っています。

しょっちゅう裁判沙汰になって勝訴している企業とは、このような3回の失敗を延々と繰り返している企業であり、学習能力がなく、非効率なリスク管理をしている組織といえます。

商事裁判例は星の数ほどありますが、これは、見方を変えれば予防法務を怠ったダメな企業の標本ともいえます。

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」
などといいますが、顧問弁護士を対症療法の道具としてアドホックに使うのではなく、豊富な紛争経験値を基礎にリスク予防を構築するアドバイザーとして活用すべきです。

予防法務をロクにやってなかった企業の主張を裁判所で通すなんて所詮無理がありますし、無理を通して道理を引っ込めるほど裁判は甘くありませんので、紛争法務にあまり過度な期待をしないことです。

むしろ、現実的な
「落としどころ」
を戦略のゴールとして冷静に把握して、そのために効率的な手段をなるべく多く抽出し、冷静に評価し、賢明に選択し、果断に実行し、相手の出方を窺いながら、可変的に対応していくこと(ゲーム・チェンジ)が重要です。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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