00633_企業法務ケーススタディ(No.0219):「額に汗」して作り上げた巨大データベースをパクられた!

本ケーススタディの詳細は、日経BizGate誌上に連載しました 経営トップのための”法律オンチ”脱却講座 シリーズのケース26:「額に汗」して作り上げた巨大データベースをパクられた!をご覧ください。

相談者プロフィール:
株式会社データ・スペシャル 代表取締役社長 松本 浩己(まつもと ひろみ、34歳)

相談概要:
突然会社を辞めたエンジニアが 、新しいシステム会社を立ち上げ、データベースソフトを売り出しました。
それは、画面イメージこそ違うものの、基本的な部分は、相談者が売っているものとほぼ同じであることがわかりました。
相談者は、相手会社を訴えようとしています。
以上の詳細は、ケース26:「額に汗」して作り上げた巨大データベースをパクられた!【事例紹介編】をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点1: 「チザイ」の一派、著作権とは?
「チザイ」(知的財産権)
の特許権や意匠権については、特許庁に権利要件を確認(審査)してもらい、これにパスして、登録してはじめて権利が発生します。
他方で、著作権については、作品(著作物)が完成し、これが著作権法に定める要件を充足してさえいれば、突如として権利が発生します。
以上の詳細は、ケース26:「額に汗」して作り上げた巨大データベースをパクられた!【「チザイ」の一派、著作権とは?】をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点2:「データベース」の著作権はどうなっている?
著作権法において作品が保護されるには、アイデアや発明やコンセプトや技術ではなく、
「創作的表現」
であることが必要となります。
データベースの著作権を考える際には(地図も同様)、本や映画や音楽や絵画やマンガとは違った配慮が必要で、
「データベースでその情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有するもの」
のみが保護されるとされています(著作権法12条の2)。
以上の詳細は、ケース26:「額に汗」して作り上げた巨大データベースをパクられた!【「データベース」の著作権はどうなっている?】その1ケース26:「額に汗」して作り上げた巨大データベースをパクられた!【「データベース」の著作権はどうなっている?】その2をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点3: 陳腐でつまんないし創作的でもクールでもないものに著作権法は?
著作権法は、
「創作的な表現」
を保護するものであり、人の
「努力や汗や投入労力や手間や時間」
に着目して、その成果を保護するというものではありません。
データベースを構築する際の
「情報の選択」

「体系的な構成」
にどれだけ独自性があるのか、ということがポイントとなってきます。
以上の詳細は、ケース26:「額に汗」して作り上げた巨大データベースをパクられた! 【陳腐でつまんないし創作的でもクールでもないものに著作権法は?】をご覧ください。

モデル助言:
裁判例を参照しながら、データベースの構成が本当に著作権法上保護に値するかについて検討していく必要があるでしょうね。
相手方が、インターフェイスを変えるような形で微妙に似せて被せてきているのは、
「著作権法に基づく主張がされても、いくらでも言い逃れできる」
という考えから競業に及んでいる可能性があり、そうなると、内容証明一発ですぐに解決、というわけにはいきません。
ところで、相手方が、相談者の会社にダメージを与えることを目的として、その会社財産を盗んだ上で不当な営業行為を行っている、という事実があるのであれば話は変わってきます。
これは
「不法行為」
ということになってきます。
知的財産訴訟において、主たる主張を知的財産権に基づくものとしておきながら、それが仮に認められなかった場合であっても不法行為が成立するはず、という二段構えの構成を行うことは、知財を少しでもかじったことのある弁護士では、よくやる手法です。
以上の詳細は、ケース26:「額に汗」して作り上げた巨大データベースをパクられた! 【今回の経営者・松本社長への処方箋】をご覧ください。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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