00638_企業法務ケーススタディ(No.0221):借金まみれだが、破産はしたくない!

本ケーススタディの詳細は、日経BizGate誌上に連載しました 経営トップのための”法律オンチ”脱却講座 シリーズのケース28:借金まみれだが、破産はしたくない!をご覧ください。

相談者プロフィール:
株式会社大島商事 代表取締役社長 大島 一哉(おおしま かずや、44歳)

相談概要:
相談者は、本業については順調で利益が出ているにもかかわらず、銀行の提案にのって為替デリバティブに手を出し、負債が増え、今や銀行には借入金の利息しか返せていない状態です。
そうしたところ、銀行担当者が替わり、元利一括で返してもらう、といってきました。
税理士に相談するも、破産しかない、といわれました。
相談者としては、あちこちに迷惑がかかるし、かっこ悪いし、信用をなくすだろうから、破産も企業再生もしたくありません。
以上の詳細は、ケース28:借金まみれだが、破産はしたくない!【事例紹介編】をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点1:企業が倒産状態に陥る場面とは?
一般に、ビジネスは、
・新たに価値を創造してこれを売ってカネに変えるか、
・価値ある物を安く仕入れて高く売ってカネをもうけるか、
いずれかの方法で、富を蓄積していく営み、と定義できます。
ところが、価値を創造したつもり価値ある物を仕入れたつもりが、陳腐なもので全く売れなかったり、実は価値がなかったことが判明したり、高く仕入れて安く売ってしまったり、というようなことが続くと、カネの流出がとまらず、倒産状態に陥ることとなります。
黒字でも入出金のタイミングが反対になったがために、あるいは、無謀な借金の末に、倒産状態に陥ることもあるでしょう。
借金がかさむ(債務超過)、資金繰りが回らない(支払不能)、あるいはその双方によって、企業は倒産状態に陥ります。
以上の詳細は、ケース28:借金まみれだが、破産はしたくない!【企業が倒産状態に陥る場面とは?】をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点2:倒産状態に陥った企業に残された手段(清算と再生)
「本業も損ばかりで将来性はなく、借金まみれの状況」
については
「清算(型倒産処理)」
を、
「債務の支払問題を一旦脇に置きさえすれば、なんとかビジネスが継続できそうな状況」
については
「企業再生」
を検討することになります。
「清算」

「再生」
には、裁判所を絡ませてフォーマルに行う方法と、裁判所を絡ませずに当事者間のネゴでインフォーマルに行う方法が存在します。
裁判所を絡ませてフォーマルに行う
「清算(型倒産処理)」
の代表選手が
「破産」、
同じく裁判所を絡ませてフォーマルに行う
「再生」
の代表選手が
「民事再生」、
さらに、規模が大きい企業を裁判所の関与で強権的に再生する手法が
「会社更生手続」、
と呼ばれるものです。
裁判所を絡ませないインフォーマルな方法は
「清算」
「再生」
ともに
「任意整理」
と呼ばれます。
以上の詳細は、ケース28:借金まみれだが、破産はしたくない!【倒産状態に陥った企業に残された手段(清算と再生)】をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点3:裁判所を利用するも非公開で進める特定調停制度
“フォーマル”な手続を申し立てると、官報に公告されますし、会社の規模によっては報道されることもあります。
他方で、“インフォーマル”となると、銀行から一蹴されるのがオチです。
裁判所を利用しながら、かつ、全債権者を一律公平に扱う必要なく、事態をオープンにしない方法があります。
「特定調停」
と呼ばれるものです。
以上の詳細は、ケース28:借金まみれだが、破産はしたくない!【裁判所を利用するも非公開で進める特定調停制度】をご覧ください。

モデル助言:
為替デリバティブ取引被害、という立て付けで、まず取引先銀行に、ADRか訴訟提起をして、被害者的立場を獲得しましょう。
そして、特定調停を使って、なるべく表沙汰にならないような形でやってみましょう。
銀行との折り合いがつかないようであれば、支援をしてくれる先輩経営者に適価で会社をM&Aで買い取ってもらい再建していくことでしょうね。
偏頗(へんぱ)的・債権者詐害的な会社分割とかいわれても困るので、特定調停の場で、適切適正な事業価値鑑定を前提に、銀行の譲歩を引き出すような荒業でも使わないと無理でしょうね。
以上の詳細は、ケース28:借金まみれだが、破産はしたくない!【今回の経営者・大島社長への処方箋】をご覧ください。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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