00691_上場準備としての文書管理体制整備の実体

通常の中小中堅企業は、ろくに文書管理、計数管理をやっていません。

もちろん、毎年決算して、納税のための申告をする関係で、もちろん、計数管理は最低限やっているでしょう。

とはいえ、目先の納税課題をクリアするためのやっつけ仕事がほとんどであり、あるいは、節税その他のために、計画的かつ意図的にいろいろな管理をしているかもしれませんが、株式公開をした後に求められる、投資家のために財政状況や財産状態の真実をミエル化・透明化して開示するための、企業会計原則にしっかりとしたがった適正な期間損益計算をやっているところは稀です。

文書管理に至っては、ほとんどやっていません。

株主総会議事録、取締役会議事録、株主名簿、就業規則、雇用条件通知書等の法定文書はいうに及ばず、契約書等もかなりおざなりになっています。

社歴のある中堅中小企業もこのような実体がほとんどですから、ましてや、出来上がったばかりのベンチャー企業は、売上を立てて生き残るのに必死で、管理系は後回しになりがちです。

もっとも、ベンチャーキャピタルの出資を受け入れ、そこから取締役が派遣されているようなベンチャー企業ですと、管理がある程度しっかりしている可能性があるかもしれません。

いずれにせよ、こういう管理がずさんな企業が、いきなり上場しようとすると、この種の計数管理や文書管理をしなければならず、気合と根性だけでなく、数字と文書で、企業活動をミエル化・カタチ化・具体化・透明化することを求められます。

現在あるいはこれから管理を改めるというのであればまだしも、過去のずさんな管理を適切にやっていたように上書きする必要が生まれ、中には、改ざんやバックデートを突貫工事でやりとげるところがあるかもしれません(そんな違法で不当でデタラメな企業はまったく存在しない、と信じたいものですが)。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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