01165_疑似法務活動の概念整理>倫理課題・CSR等と企業法務との関係整理>(5)まとめ
企業法務として展開されるべきコンプライアンス法務(内部統制システム構築・運用法務)は、大和銀行ニューヨーク支店事件判決を嚆矢とする多くの裁判例の考え方に基づく内部統制システム構築義務の理論に準拠し、法令違反のみを対象とするリスク管理体制を確立・運用すれば足りるものと考えられます。 同時に、企業は、広報やPR・IR上の戦...
企業法務として展開されるべきコンプライアンス法務(内部統制システム構築・運用法務)は、大和銀行ニューヨーク支店事件判決を嚆矢とする多くの裁判例の考え方に基づく内部統制システム構築義務の理論に準拠し、法令違反のみを対象とするリスク管理体制を確立・運用すれば足りるものと考えられます。 同時に、企業は、広報やPR・IR上の戦...
「コンプライアンス(内部統制)の対象とすべき規範について、法令に限定するか、倫理をも取り込むか」という点について、学説の状況をみていきます。 日本の学説においては、論点の存在すら意識されていない状況で、論者によっては、コンプライアンス(内部統制)の対象規範について混乱がみられます。 すなわち、上記のような論点について、...
企業倫理をコンプライアンス法務(内部統制システム構築・運用法務)の内容として取り入れる考え方は、企業活動に高い倫理性を求めることから、社会的に受け入れられやすく企業の発するメッセージとしても高潔な印象を持ちます。 しかしながら、著者としては、コンプライアンス法務のゴールは、あくまで企業の法令違反行為に起因する不祥事とい...
2 裁判実務と整合しない コンプライアンス法務(内部統制システム構築・運用法務)の具体的内容を詳細に論じた大和銀行ニューヨーク支店事件判決は、性悪説を前提に、「取引担当者が自己又は第三者の利益を図るため、その権限を濫用する誘惑に陥る危険性がある」ことを指摘し、「このような不正行為を未然に防止し、損失の発生及び拡大を最小...
コンプライアンスと倫理を渾然一体のものと捉え、「法を超えた規範としての倫理」の遵守をもコンプライアンス法務(内部統制システム構築・運用法務)の対象に取り込もうとする考え方(「法令・倫理一体説」といいます)は、以下のような大きな難点をはらんでいます。 1 現代型法務活動である戦略法務が説明できない 「法令・倫理一体説」に...
2000年代前半、企業における偽装や隠蔽等の様々な法令違反行為が発生・露見し、企業不祥事は社会問題となり、その処方箋として「コンプライアンス」という言葉が流行し、経営課題として突如脚光を浴びました。 当時、企業不祥事をなくすための理念や方策が種々の専門家から提唱されましたが、機能性や有効性の有無や基礎におくロジックも様...
4 「雪崩現象」を想定した判決回避 交渉がこじれて訴訟に発展した場合でも、極力裁判上の和解を行う方向で調整する努力を行い、判決が出るのを防ぐことになります。 というのは、敗訴判決が出てしまうと、示談交渉中の他の原告がその判決を盾に交渉姿勢を積極化し、いわゆる「なだれ現象」が起こり、一挙に企業崩壊につながる可能性があるか...
1 被害者代理人のプロフィールや動静に関する情報収集 まず、法令違反により被害を被った被害者が原告となって、企業に対する訴訟提起をしてくることに対して相応の対策を立てる必要があります。 このような場合、最初に調査すべきは、原告がそれぞれ独自にアクションを起こしてくるのか、あるいは、原告団を結成して集団的なアクションを起...
以上の形で調査した事実を基に、監督行政機関への報告書を作成することになります。 この報告書の作成ですが、刑事弁護における弁論要旨のスタイルに近いものとなります。 まず調査の上、存否を確定した事実を記載し、これに法律や判例の解釈を述べ、事実に解釈したルールをあてはめて処分の発動の是非を論じます。 この段階で、後日客観的証...
監督行政機関という場合には、上場企業にとっての証券取引所等、いわゆる役所以外にも行政処分を行う機関があるので、これらも含めて考えておくべきです。 法令違反の不祥事を起こした企業の多くは、監督行政機関への報告を要請されることになります。 監督行政機関に適正な報告を実施するためには、関係者への調査を行い、正確な事実を把握す...