01196_ガバナンス法務>企業の組織運営・内部統制に関する個別法務課題>特殊な課題・新たな課題>企業集団の統制・グループ企業の不祥事防止

会社法において、子会社の定義は次のようなものと定められました。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

大前提の議論として、
「株主有限責任」
という株式会社の根本原理がありますので、いかに親子会社関係にあるとはいえ、株主有限責任のバリアーを通り越して、株式を有しているだけの別法人がいきなり子会社の不祥事の責任を取らされることはありえません。

しかしながら、会社法・金融商品取引法(日本版SOX法)において、子会社の法務・財務の両面における統制は、親会社の内部統制システム構築義務の範囲とされています。

すなわち、前述した
内部統制報告制度
では、株式公開会社等は粉飾決算等の法令違反を未然に防止すべく自社の管理体制を常に点検し、重大な不備があれば
「重要な欠陥」
として公表することになりますが、同制度は、子会社において法令違反等があった場合についても公表の対象としており、親会社や親会社の経営陣は、子会社の不祥事等についても、
「内部統制システム構築義務違反」
という理屈を通じて、連座して責任を問われる可能性が出てきます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

共同不法行為や名板貸・代理商の責任という法理論を通じて、親会社が子会社の責任を追及されるリスクも存在します。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

特に、地方の子会社や海外現地法人などは一般に監視の目が行き届きにくいものですが、物理的遠近を問わず、親会社の内部統制システム構築義務の範囲に取り込まれる以上、適正に管理をすることが求められます。

対処法としては、管理のできないもの、内部統制システム構築の範囲に取り込めない子会社等で、ビジネス面でも非中核のビジネスユニットで、支配継続することにあまリメリットがないものは、独立させるなり、売却するなりして、企業集団から切り離すことが推奨されます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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