調査(事実調査・法令調査)をもとに、監督当局への報告書を作成することになりますが、報告書のスタイルは、以下の流れになります。
この報告書は、当局に対し企業側にとって有利な判断を行わしめる環境を作るための積極的資料となるべきものです。
言うまでもなく、監督当局は
「法律に基づく行政」
という原理で動く組織であり、事実とルールがその活動の基礎となります。
この
「ルール運用」
場面においては、
「安定した行政運営」
という目的のため、制度及び組織運営理念上、先例拘束という考え方が強く働きます。
報告書作成にあたり、事前規制と行政による業界保護・育成が広く行われていた前世紀流の
「御説ごもっとも」
「おそれいりました」
「今回限りにしますのでご勘弁を」
という対応は、現代では全く無意味です。
むしろ、精度の高い事実調査を行い、これに基づき、法令解釈の結果をあてはめ、情状事実を積極的に主張して、先例と均衡する処分の発動を要請するという形での主張を整然と行うことが推奨されます。
無論、以上のような対応をとっても、監督当局が、不適正・過大な事実認定を行ったり、必要以上に不均衡な処分を行う可能性があります。
その場合は、行政不服審査手続や行政訴訟の提起により、処分を取消しあるいは緩和させることも必要になってきます。
このような対応をすることについては、
「お上に楯突くと『江戸の仇を長崎で討たれる』というような危険が現実に存在するのでは」
と危惧する企業も多いかと思われます。
しかし、このような不透明で曖味な対応はかえってファジーな行政運用を増長させるだけです。
さらに言えば、
「株主が、そのように曖味な危惧を根拠に、争うべきことを控えて企業信用がある程度低下してもかまわないと考えるかどうか」
という視点も考えると、争うべきことはきちんと争うという態度は当然必要ということになります。
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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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