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営業秘密として保護されるための要件は相当程度ハードルが高く、企業内の全ての情報を
「営業秘密」
として管理しようとすると、今度は企業活動が停滞してしまいます。

そこで、営業秘密とまではいえない情報であっても、従業員による自由な持ち出しや他社への漏洩を防いでおくべき必要があります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

すなわち、
「企業における営業秘密とまではいえない情報」
管理政策の一環として、契約法理によって従業員による機密持ち出しを禁止する必要が出てきます。

中小企業等では、
「特段従業員から誓約書等を徴収しなくとも、従業員が機密を持ち出すのは御法度であるのは当然。法律以前の社会常識だから、いちいち契約書など整備しなくていい」
等と考えているところも少なからず存在するようです。

しかしながら、終身雇用制(制度としても従業員の期待としても)がすでに崩壊し、労働市場が流動化しており、従業員が退職してライバル企業に就職する現実的かつ具体的危険は明白に存在します。

企業側においても、昇給を見合わせたり、残業代を不払いとしたり、不況時に平然とリストラをしたりすることもあり、従業員の企業に向けられた忠誠心も低下する一方です。

加えて、法律の世界では
「法律に書いていないことや契約として約束していないことは、全てやっていいこと」
というルールが支配する以上、漫然と従業員の常識を信頼し、適正な企業内情報を管理するための誓約書徴収というわずかな手間を惜しむのは、企業における機密管理対策上、自殺行為に等しいといえます。

機密管理だけでなく、退職後の競業行為等も視野に入れた誓約書サンプルを紹介します。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

この他、営業秘密の管理という観点に着目した形での契約書等の雛型が経済産業省から公表されていますので、就業規則、営業秘密管理規定、秘密保持誓約書(入社時、プロジェクト参加時、退職時)工場見学時の秘密保持契約書、取引基本契約書、業務委託契約書、共同研究開発契約書等を作成する際には参考にすべきことになります。

運営管理コード:CLBP359TO362

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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