【01287】の3(4ではなく3)について概説します。
2011年特許法改正においては、特許制度をより使いやすい制度とすべく特許料等の減免制度が拡充されたほか、
「発明の新規性の例外」
に関する規定についても修正が施されています。
新規性とは
「発明が世間一般に知られていないこと」
を意味する特許要件ですが、これは、
「特許権とは、発明者が、“誰も知らない、新たな”発明を公開し、社会に提供したことの対価として与えられる独占権である」
という特許制度の本質に根差す要件です。
とはいえ、新規性要件を厳格に解釈し、ある研究者が新たな発明を完成させた場合において、
「特許権を取得したければ、すぐさま特許明細書等を完成させて出願手続を完遂すべきであり、このような煩瑣な出願手続を先行させず、漫然と学会等で発表したのであれば、未来永劫特許は取らせない」
という過酷な要求を維持すると、それはそれで科学技術の発展の障害となってしまいます。
この点、現行特許法においても、
「刊行物での発表や特許庁長官指定の学会での文書を用いた発表等の特定の発表形態で発表した場合に限っては、当該発表後6ケ月間は新規性を喪失しない」
という新規性の例外要件を設けることでバランスを図っていました。
本改正法では、この新規性の例外要件をさらに拡充し(発表の形態に関する限定を解除しました)、
「発明者として、新規性を維持しつつ、発明完成後、適時にかつ自由に、発明内容を世間に公表したい」
というニーズを充足するようにしています。
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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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