企業の倒産・再生法務においては、特に自社が倒産・再生する場合には、専門書を読む余裕はなく、手続の概要を知ったうえで弁護士に適切な質問をした方が好ましいこともありますので、まずは一般向けに書かれた文献をあたることをお勧めします。
倒産法に関しては、法令で書かれていることと、倒産処理実務において実施されている内容は、大きく乖離しています。
したがって、学者の書いた理論書ではなく、裁判官、特に東京地方裁判所や大阪地方裁判所の破産部の現役裁判官の書いた実務書が事実上の規範として活用されていることに注意が必要です。
1 倒産法全般について一般に向けて書かれたもの
『倒産法入門』(田頭章一著・日経文庫)
2 破産法
『破産管財の手引(増補版)』(東京地裁破産実務研究会著・金融財政事情研究会)
『破産・民事再生の実務(新版)(上・中巻)』(東京地裁破産再生実務研究会著・金融財政事情研究会)
『大コンメンタール破産法』(竹下守夫編集代表・園尾隆司ら編集・青林書院)
執筆者の多くが裁判官であるばかりか、東京地裁民事20部(破産再生部)の部総括判事を経験した園尾判事が編集に携わっているため、実務書としては決定版といえます。
大規模事件において裁判所から破産管財人に選任されるような、裁判所の信頼の厚い弁護士の間でも広く用いられているようです。
ただし、自社が破産する場合はもちろん、取引先の破産に対応する場合であっても、コンメンタールを用いて自力で対応することはリスキーですので、あくまで、参考にとどめるべきです。
前記
『破産管財の手引』
『管財事務の手引』
『管財事務の手引き(書式集)』(東京地裁破産再生部(民事第20部))
は、東京地裁民事第20部 が実務家向けに発行しているものです。
上述のとおり、倒産実務は法令と乖離する点があるため、特に東京地裁の管轄内における実務に対応する場合には、参照すべき書籍となります。
『破産法・民事再生法(第2版)』(伊藤眞著・有斐閣)
も倒産法の理論書としては、最もスタンダードな書籍です。
3 民事再生法
『ガイドブック民事再生法』(小笹勝章著・法学書院)
『破産・民事再生の実務(新版)(下巻)』(上掲)
4 会社更生法
『会社更生の実務(上・下巻)』(東京地裁会社更生実務研究会著・金融財政事情研究会)
5 会社法(特別清算)
『特別清算の理論・実務と書式』(四宮章夫ほか編集・民事法研究会)
6 私的整理に関するガイドライン
「私的整理に関するガイドライン(Q&A一部改訂後)」(私的整理に関するガイドライン研究会)
2005年3月に改訂されており、全銀協や国税庁のウェブサイト検索により、PDFを入手することができます。
7 事業再生ADR活用ガイドブック(事業再生実務家協会)
同協会ウェブサイトにてPDFを入手することができます。
8 その他
以下のウェブサイトにて、パンフレット等のPDFや書式、倒産情報を入手することができます。
地域経済活性化支援機構
中小企業庁 再生支援
東京地裁 民事20部
帝国データバンク 大型倒産情報(前月までの、30億円以上の大型倒産)
運営管理コード:CLBP519TO522
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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