01422_ネットトラブル対策法務>ネットトラブル対策法務(フェーズ0)>課題概要と全体構造>対応の基本>慎重を期すべき刑事告訴

インターネット上の掲示板へ企業を誹謗中傷する書込みがなされた場合、企業の経営陣が刑事告訴による対応を強く求めることもあります。

しかしながら、侮辱罪や名誉棄損罪が成立するための要件は、世間一般的に認識されているより厳格なものとなっていますし、もとより、憲法が表現の自由を人権として保障している以上、
「特定の表現行為が犯罪としての違法性を具備する」
ことは極めて稀な事態といえます。

仮に、法令、及び裁判例上、侮辱罪や名誉棄損罪の成立要件に該当するような事例であっても、後述のとおり、捜査機関に告訴を受理させ、積極的に動いてもらうのは至難の業です。

また、侮辱罪や名誉棄損罪の成立要件を十分に検討せず、思い込みや一時の激昂した感情にかられて刑事告訴を行った場合、このことは
「人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした」
に該当するとして、告訴した側が、逆に、虚偽告訴罪(3月以上10年以下の懲役)として告訴される事態に陥ることにもなりかねません(いわゆる「告訴合戦」状態)。

いずれにせよ、
「インターネットを利用した攻撃」
に対する刑事告訴を行う際には、慎重に慎重を重ねた検討が必要となります。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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