「国際取引において準拠法が日本法で、日本の裁判所が合意管轄裁判所と定められている」
というケースにおいて、外国企業が契約違反に及んだため、日本企業が、外国企業を被告として、日本の裁判所に訴訟を提起する場合の対応について概説します。
1 訴状の送達方法
日本企業が外国企業を訴える場合、訴訟が開始された後は、通常の民商事争訟法務の問題として対応すれば足ります。
上記場合において、最も問題になるのは
「訴訟が有効に係属するための入り口問題」
ともいうべき訴状の送達です。
通常の訴訟ですと、原告が裁判所に訴訟を提起し、訴状に問題がなければ、裁判所は訴訟を受理し、第1回の回頭弁論の期日を指定し、被告に呼出し状と訴状を送達することになります。
この点、被告が日本国内に居住する場合はこの点問題なく訴状及び呼出し状が送達されます。
しかし、被告が外国企業(あるいは外国に居住する者)の場合、裁判所は、被告所在国の協力を得なければ訴状を送達できないことになります。
この理由ですが、前述のとおり、訴状の送達は司法権という国家主権の行使とみなされ、したがって、日本の裁判所が外国企業に直接訴状を送達することは、他国で直接主権を行使することになってしまうからです。
以上の理由から、日本企業が外国企業を訴える場合、以下のような実に煩瑣で面倒な方法で訴状を送達しなければならないことになります。
このような事情もあり、外国企業を訴える事件の場合、訴状が相手に届き、第1回期日が開催できるまで、短くて半年、長ければ1年近くの時間を要することになるのです。
運営管理コード:CLBP654TO656
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
✓当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ:
✓当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ:
✓当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ:
企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所