中国においては、労働者としての権利意識が強まりつつあり、これに並行して、労働関連法規の整備が急速に進んでいます。
具体的には、従来から存在していた
「労働法」(1995年1月1日施行)
が労働者保護という点で不十分であったとして、労働契約の詳細を規制した
「労働契約法」
が制定され、2008年1月1日から施行されています。
「労働契約法」
では、労働契約の長期化と安定化を狙って、労働契約解除の場合のみならず、労働契約が期間の満了を理由に終了する場合も、使用者は原則として、経済補償金を支払わなければならないと定められています。
経済補償金は、原則として労働者の勤続年数満1年につきその1ヶ月分の賃金に相当する金額とされ、また、労働契約終了後に使用者が労働者に競業避止義務を課す場合には、競業避止義務が課される期間中(最長2年間)、毎月、経済補償金を支払わなければならないとも定められています。
また、2008年9月18日には、さらに労働者保護を強化した実務上の運用方針である
「労働契約法実施条例」
が施行されています。
以上のとおり、従前は
「安い労働力を提供できる世界の工場」
であった中国ですが、労働者保護が強化され、これに伴い賃金が上昇していくことになると思われます。
「労賃が安いから」
という安易な理由だけで中国進出を検討している日本企業は、以上のような現実をふまえて戦略を再構築する必要があるといえます。
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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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