01502_株式会社には「責任者」などという者は存在しない_1_「有限責任」とは社会的・一般的には「無責任」とほぼ同義

企業不祥事などが発覚すると、マスコミなどはこぞって
「企業はきっちり責任を自覚せよ」
「経営者は責任を免れない」
「株主責任を果たすべき」
などと報道します。

しかしながら、株式会社には、法理論上、責任者などという者は全く存在しません。

といいますか、株式会社制度自体が、そもそも
「誰も責任を取ることなく、好き勝手やりたい放題して、金もうけができ、もうかったら分け前がもらえるオイシイ仕組み」
として誕生したものなのです。

すなわち、株式会社制度の本質上、関係者はやばくなったら逃げ出せるように設計されているのです。

株式会社制度に関する説明を探してみると、
株式会社とは、社会に散在する大衆資本を結集し、大規模経営をなすことを目的とする。当該目的を達成するためには、多数の者が容易に出資し参加できる体制が必要である。そこで、会社法は、株式制度(104条以下)を採用し、出資口を割合的単位として細分化した。また、出資者の責任を間接有限責任(104条)とし、社員は、債権者と直接対峙せず、また出資の限度でしか責任を負わないようにしたのである
といった類の記述が見られます。

これじゃあ、まるで外国語ですね。

一般人でもわかるように
「翻訳」
して解説します。

日本語のセンスに相当難のある人間が書いたと思われる上記文章が、伝えたかったことは、
デカい商売やるのには、少数の慎重な金持ちをナンパして口説くより、山っ気のある貧乏人の小銭をたくさんかき集めた方が元手が集めやすい。とは言え、小口の出資しかしない貧乏人に、会社がつぶれた場合の負債まで負わせると、誰もカネを出さない。だから、『会社がぶっつぶれても、出資した連中は出資分をスるだけで、一切責任を負わない』という仕組みにしてやるようにした。これが株式会社だ
ということです。

「株主は有限責任を負う」
なんてご大層に書いてありますが、
法律でいう「有限責任」
とは
社会的には「無責任」
という意味と同義です。

ちなみに、
「有限会社」や「有限責任組合」
とは、我々の常識でわかる言い方をすれば
「無責任会社」「無責任組合」という意味です。

「ホニャララ有限監査法人」
とは、
「監査法人がどんなにありえない不祥事を起こしても、出資した社員の一部は合法的に責任逃れできる法人」
の意味である、と理解されます。

運営管理コード:YVKSF032TO036

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

弁護士法人畑中鐵丸法律事務所
弁護士法人畑中鐵丸法律事務所が提供する、企業法務の実務現場のニーズにマッチしたリテラシー・ノウハウ・テンプレート等の総合情報サイトです