01506_どの会社も、予告や告知をせず、ある日突然、いきなり倒産するのはなぜか

倒産を計画する会社は
「わが社は1月後に倒産します」
などというようなことを発表しません。

こんなことをすれば、腐肉に殺到するハイエナのように債権者たちがおそいかかり、まともな管理ができなくなるからです。

むしろ、倒産を考える会社は、倒産を発表する前日まで、
「ピンピンした健康体」
であるかのように装います。

また、倒産を計画していない会社の場合であっても、社長をはじめとした経営幹部自身が、
「『会社がもう死んでいる状態』であることを認識しようとしない、あるいは認識できない」
ということもあります。

太平洋戦争における終戦前日の日本国民が
「大日本帝国の存続が永遠である」
と思い込んでいたように、認識不足で現実的思考に乏しい社長が、
「会社が永遠に存続する」
というゴーイン(強引)なコンサーンを信じ、
「実質債務超過であろうが、多少資金繰りが大変でも、一発逆転の奇策で、絶対立ち直る」
という根拠のない信念を抱き、これを内外に喧伝する、という状態です。

いずれの場合であれ、
「会社のご臨終の場面」
というのは、
「危篤の知らせが親類縁者に発信され、関係者が『そろそろ逝くな』と明確に認識し、時間が来て、皆に囲まれて、天国(か地獄)に旅立っていく」
というものでありません。

むしろ、企業が死ぬ場面というのは、サドンデス(突然死)という形で終焉を迎えます。

企業は社長とごく一部の人間以外は一切秘密にされたまま死んでしまうのですから、何も知らされていない周囲の者からすると、
「真夏のゴルフ場でいきなり心筋梗塞で死んだ」
「風呂に入っていたらそのままポックリ逝った」
「愛人宅で、年甲斐もなく、無茶な行為をして、あっけなく逝った」
という類の無様で失笑されるような不幸話と同様、意外性のある死に方をしてしまうのです。

とはいえ、死ぬ直前までどんなに健康そうにみえても、経験豊かな医者が見れば、突然死の兆候が判るものです。

その昔、ぽっくり病や突然死と言われた心筋梗塞や脳梗塞も、医学の発展で、原因が解明され、さらに発症前の徴候が明らかにされるようになってきました。

弁護士は、監察医と同じく、企業の死ぬ場面をもっとも多く、かつ客観的に観察する立場にあるプロフェッショナルです。

また、企業経営者の真横にいて経営の中枢情報に触れる機会のある経営コンサルタントも同様です。

したがって、ある程度の経験を積んだ弁護士や経営者や経営陣から信頼を得て活動する経営コンサルタントには、倒産する企業に共通する特徴がわかるようになるのです。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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