01513_豪華で立派な本社ビルが出来ると、企業は傾き始める

1 パーキンソンの法則

イギリスの歴史学者・経営学者であるC.N.パーキンソンは、その著書
「パーキンソンの法則(1958)」
の中で
「ある組織のりっぱな建造物の建設計画は、その組織の崩壊点に達成され、その完成は組織の終息や死を意味する」
と述べています。

この法則からすると、豪華な本社ビルが出来上がった後は、どの企業も成長が終わり、終息に向かう、ということになるようです。

論理的裏付けはともかく、経験則からいって、これは真実に近いような気がします。

2 「 豪華な本社ビルを自前で作る」という会社の方向性の前時代性

現在の会社の事業戦略の方向性は、
「利益という指標への盲目的奉仕とこれに向けられた徹底した効率化(スピード化、スマート化、シンプル化、ソフィスティケート化)」
であり、
「大きいことはいいことだ」
という単純なスケール追求指向の昭和の時代の企業の方向性とは一線を画しています。

そして、
「よい会社」
というのは、総じてケチであり、お金の使い方に一切無駄は見られません。

ここで、注目されるべきは
「本社ビル」
という点です。

本社ビルは、製造活動を行うわけではなく、特殊な小売形態を除き、営業活動をメインで行うこともしません。

本社ビルは、中枢管理を行う機能が集中します。

たしかに、
「中枢管理」
といえば聞こえはいいですが、いってみれば、収益に直接貢献しないことをやっているところであり、間接費をダラダラ流し続けるところです。

工場設備や店舗にカネを使うならまだしも、間接費の塊に無駄にカネを使うのはあまりに経営センスがなさすぎます。

その意味では、
「豪華な本社ビルで築造して社容を誇る」
という発想の会社は、収益との関係のないところにカネを使っていることを誇示している会社であり、今の時代、そんな経営を指向する経営陣の頭脳は、やや知的水準に問題があるといえます。

運営管理コード:YVKSF090TO092

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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