「顧客の欲求・現実・価値に真摯に向き合い、方向性を誤らず、誠実な努力を重ねることによって、営業活動が成功する」
と申し上げましたが、何事も、方向性を誤り、無駄な努力を重ねても意味がありません。
では、
「B toC営業を行う際、どのような方向性をもつべきか」
という点ですが、営業あるいはその企画・計画を練る上では、
・圧倒的な入手しやすさ(価格や購入方法の簡便さ等)
・圧倒的なクオリティ(品質や機能)
・圧倒的な刺激・目新しさ
いずれを目指す場合も、消費という営みにおいて強いリーダーシップを発揮する方々、すなわち、女性や低年齢層の目線をもって磨き上げることが重要です。
一般に
「女子供」
という言葉は、女性や低年齢の方々に能力を蔑視する言葉として忌避されますので、口幅ったい言い方になりますが、
「消費という営みにおいて強いリーダーシップを発揮する特定区分ないし階層の方々」
あるいは
「女性と低年齢層」
という言い方を使いたいと思います。
しかし、現実を重視するマーケティングにおいて、モラルや方式にとらわれて、ジャッジを誤ることこそ避けるべきなので、私としては、批判的な文脈で用いる場合にのみ
「女子供」
という言葉を使いたいと思います。
「女子供」
という言葉は、
「相手が、女子供だから、この勝負、ちょろいもんだ」
という形で、
「女性と低年齢層」
あるいは
「女性」
をディスるときに使われるのが一般的な用法ですが、マーケティングにおいては、
「女性と低年齢層」
は強敵です。
最強です。
「女性と低年齢層」
の対極にあるのが
「オッサン」
ですので、これと比較しながらお話しましょう。
「オッサン」は、何事も我慢します。
あきらめます。
目先の人間関係に波風立てるくらいなら、カネを払ってすまそうとします。
それだけの時間的経済的余裕があります。
恥とか外聞とかあるので、騒いだりしませんし、文句も言いません。
情実が通用するのでしつこく食い下がると不要なモノでも買ってくれます。
ところが、
「女性と低年齢層」
は
「オッササン」
ほど我慢しません。
イヤなものは、イヤ。
つまんないものは、つまんない。
古臭いもの、つまんないもの、陳腐なもの、退屈なもの、感覚や感性にビビっとこないものは手に取ることはおろか、見向きする時間ももったいない。
0.5秒で判断し、一度、NGを出したら、2度と振り向いてくれません。
一度拒否したにもかかわらずしつこくアプローチすると、
「ストーカー」扱い
され、嫌悪感が増すだけで、逆効果です。
だから、
「女性と低年齢層」
はむちゃくちゃ手強いのです。
「こんな手強い方々の注意を惹き、商品やサービスを知ってもらい、財布を開かせ、命の次に大事なカネと引き換えにして、お買い上げいただく」こと
を実現するための苦労は並大抵ではありません。
B toC営業を展開する上で失敗するのは、
「女性や低年齢層の目線」
に立たず、
「オッサン」
の頭と感性で考えるからです。
「オッサン」
の中には女性や低年齢層をそれこそ
「女子供」
といって意味なくバカにする人はいますが、こういうオッサンこそ、愚劣の極みです。
むしろ、女性と低年齢層は、
「営業活動の合理性・目的適合性を検証する上で、ストレステストの最強のカウンターパート」
として、その感性や行動をつぶさに観察研究することが、現代のB toC営業には求められるものといえます。
初出:『筆鋒鋭利』No.93-2、「ポリスマガジン」誌、2015年5月号(2015年5月20日発売)
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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