1 そもそも企業とはどのような存在か
企業活動を取り巻く法とリスクを体系化して捉えるためには、まず、
「企業とは何か」
「企業とはどんなことをしているか」
ということを知らなければなりません。
企業というのは、営利活動をする組織を指しますが、要するに、
「組織として、チームとして、利益を追求する存在」
といういい方もできます。
企業の代表選手、株式会社は、通常の人間と違って、姿・形がありません。
「株式会社は法人である」
などといわれますが、法人とは、自然人(我々通常の人間)とは異なるもので、法律上のフィクションとして、権利・義務の主体となりうる、とされたものです。
例えるなら、生身の体をもたないが、法律上の人格を与えられた
「バーチャル(仮想上の)人間」
です。
2 企業の統治秩序の確立
企業は、自然人と違い、生身の体をもたない、法律上のフィクションとして人格を与えられた人の集団(社団)か財産の集合体(財団)であり、それ自体意思をもたない存在ですので、適当な方法で意思を決定し、また、その決定した意思の内容を誰か適当な自然人(代表者)を通じて
「法人の意思」
として表明してもらわなければなりません。
無論、法人の代表者を誰にするか、ということについても、適当な方法で決定しておかなければなりません。
このように、企業においては、代表者を決めたり、その意思内容を決めたり、という統治秩序を確立するための活動(ガバナンス)が必要になります。
3 企業活動(経営資源の調達・運用・廃棄)
経営の基本方針やこれを実現する代表者や執行者が決まって、内部統治体制(ガバナンス)が整った企業は、次の段階として、経営資源を調達し、あるいは調達した経営資源を活用する、という活動に移行します。
ここにいう経営資源とは、よくいわれる、ヒト(労働力)・モノ(設備や原材料)・カネ(資金)のほか、第4の経営資源といわれるチエ(技術・情報・ブランド)が挙げられます。
すなわち、企業は、資本を募ったり融資を得たりしながら資金を調達し、集めた資金で労働者を雇い入れたり設備や原材料を購入し、これらを活用して製品や商品を作り出したりサービス提供体制を整えたりします。
さらに、研究開発や情報収集を通じ、技術、ノウハウやブランドを創造・確立するとともに、企業経営の様々な局面でこれらを活用していきます。
このように、企業は、さまざまな経営資源を調達・活用しながら、
「製品」・「商品」
や
「サービス提供体制」
という形で、企業内部に
「一定の価値(企業がその営みに基づき生み出した独自の価値です)」
を創出し、蓄積していくことになります。
ただし、
「一定の価値を創出し、企業内部に蓄積する」
というだけでは企業活動としては不完全といえます。
4 「内部付加価値を実現する活動」としての営業活動
企業は、次の段階として、自己の内部に蓄積した
「一定の価値」
をキャッシュに転化させるための活動を行うことになります。
「自己の内部に蓄積した『一定の価値』をキャッシュに転化させる」
という企業の生態ないし活動は、一般的に営業活動と呼ばれます。
営業活動によって、
「商品等がカネに転化し、そのカネが再び、経営資源として活用される」
というサイクルが生まれ、この循環的な生態を繰り返すことにより、企業は継続して発展していくことになるのです。
ところで、営業活動は、営業ターゲットの属性によって、B2BとB2Cの2種に分類されます。
B2Bとは、“Business to Business”の略称であり、企業間取引、あるいはコーポレートセールス(ホールセール)を指します。
これに対して、B2Cとは、“Business to Consumer”の略称であり、消費者向営業、あるいはコンシューマーセールス(リテール)を指します。
このような分類がなされるのは、上記2種の営業は、採用される戦略・戦術も、債権管理や回収のリスクの有無についても、活動の上で服すべき規制も、まったく異なることに基づきます。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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