有名人やタレントの場合は、その肖像には経済的価値があるため、この経済的価値を保護するパブリシティ権との関係が問題となります。
写真を使用する場合には承諾が必要となるでしょう。
イベントの盛り上げ役として、参加だけ、という約束の下、出席のギャラだけ払っていて、後から写真も使う、となると、パブリシティ権の利用の了解がないわけなので、やはり、再度の承諾が必要です。
政治家など、公人として社会の関心を集めている人物については、元々自己の氏名や肖像が大衆の前に公開されることを包括的に許諾したものであって、人格的利益の保護は、大幅に制限されると解し得る余地があるため、一般的にはパブリシティー権の問題は生じにくいですが、例えば、イベントの内容や写真の使われ方によっては人格的利益を損ねる場合もあるでしょう。
公人であっても、念の為、承諾を得ておいたほうが良いかもしれません。
なお、この承諾や了解も、工夫によって、うまいこと徴求することは可能です。
芸能人の場合、ギャラの交渉の際に、写真として使って、広報・宣伝広告に使うことを許諾する、と一文入れておけば問題が解消します。
政治家等の公人を呼ぶ場合も、一般人同様、主催者から予め
「撮影をする場合があり、撮影した写真は弊社の広報や宣伝広告に使う場合がありますので、写り込みたくない方は、参加を見合わせて下さい」
「イベント中に、撮影を行う際は、お声がけさせていただきますので、写り込みたくない方は、フレームアウトの指示にしたがっていただくようお願い申し上げます 」
との告知を出しておけば、クリア可能かと考えられます。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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