有事は、苛酷です。
弁護士は、問題を因数分解して論理的に整理して対処する知的資源ですが、
「良かろう・高かろう」
です。
有事において、弁護士を使うか使わないか、あるいは、使うのであれば、どのように・どこまで使うのかは、トレードオフによる価値判断となります。
弁護士としては、クライアントから救済を求められ、しかるべき稼働環境が整えば(カネを払い、敬意を払ってもらう〔素人では困難な問題であることの自覚をもち、頭を下げて、専門家にお願いする姿勢〕)、エンゲージを検討します。
たまに、カネを渋り・けちり、敬意も払わず、
「クライアントの言うことをだまって聞け」
というようなクライアントがいます。
このようなクライアントに限って、のっぴきならない状況に陥った挙句、混乱して、
「とにかく急いで対処してほしい。支払いは厭わない。過去の話はどうでもいいじゃないですか」
と、法務相談にやってきます。
著者としては、
「過去の話をきちっと反省し、総括し、矯正する」
ことを促してから、話を聞くようにします。
「過去の話はどうでもいいじゃないですか」
という人間は、つまらない自己保存感情から、過去の愚行を冷静に向き合う勇気もなく、結果、愚かな偏りが修正されず、何度も同種の失敗をするからです。
だからこそ、
「過去の話をきちっと反省し、総括し、矯正する」
のは極めて重要なのです。
「過去の話はどうでもいいじゃないですか。未来志向で」
という人間の戯言は、常習窃盗犯の
「過去は過去。未来に生きます」
という類の話と同様、ミリタリーとしては、ほとんどノイズとして排除します。
そうしないと、結局、同じ失敗を繰り返し、エンゲージしていると、背中から矢が飛んできたり、無駄な修正労力を費やすことになりますので。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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