訴訟されそうな気配を察知したら、すぐさま応戦体制を敷く、ということもありましょうが、ケースによっては、
1 何もせずに、訴えられるのを待つ
2 相手に対して、裁判例を示して、牽制を加える
という戦略もあります。
2は、訴訟を進める上で(相手方に)重大な障害にぶち当たることを予知させることで、訴訟提起を断念させる方向への誘導が可能となります。
ここでいう
「(相手方に)重大な障害」
を、細かくみていきましょう。
裁判例をみた相手方弁護士からすると、訴訟に難航が予知され、長陣になった上に、最後に敗訴を食らうことも想定され、赤字事件化しかねません。
そこで、相手方弁護士としては、赤字覚悟で事件を引き受けるよりも、(相手方本人に対し)着手金を高めに設定したり月額費用を追加するなどの措置を取るでしょう。
それは、相手方本人にとっては、訴訟コストが跳ね上がることを意味します。
「訴訟に難航が予知」
「長陣」
「敗訴」
は、すなわち
「訴訟コストの大幅アップ」
を意味するだけでなく、
「こんなはずではなかった」
「話が違う」
と、相手方において、弁護士サイドと本人サイドとの内部抗争を誘発することになりますし、訴訟提起を断念させる方向への誘導が可能となります。
こちらとしては、
「いいことづくめ」
といえるのです。
ただし、以上の戦略は、顧問弁護士の手腕(交渉力)に依拠することを忘れてはなりません。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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