個人再生は、民事再生の1つです(民事再生法221条以下に規定がある手続き)。
個人再生には、
「小規模個人再生手続」
「給与所得者等再生手続」
2つの種類があります。
個人商店主や小規模の事業を営んでいるオーナー経営者を対象とする
「小規模個人再生」
は、
主にサラリーマンを対象とする
「給与所得者等再生」
とは、別物です。
給与所得者等再生については、
「可処分所得を一定期間きちんと吐き出せば、債権者からイニシアチブを取り上げ、一方的に(債権者に)泣いてもらって、あとはチャラ」
という制度設計が前提となっているので、可処分所得計算は制度活用前提となり、厳密性が要求されます(加えて、いい加減なことをすると、申立代理人を含め、公平誠実義務に悖ります)。
小規模個人再生については、
「最終的に債権者のイニシアチブに委ねられる」
という制度前提なので、上記ほどの厳密性はないものの、とはいえ、再生原因や現状を記述する際、家計状況を申述する必要は出てきます。
このようなことですので、(家計状況を)出す・出さないレベルの話でいえば、小規模個人再生だからブラックボックスでいい、ということにはならないものの、意味や役割が異なります。
極論を言えば、
「年収1000万円超で、余裕のある生活をしながら、負債総額の10%を3年で返し、あとはチャラでいいだろ」
という再生計画を作成することもなくはありませんが、
・債権者の同意を得る手前で、再生委員や裁判所が嫌悪して認可を渋る(あるいは計画の練り直しを要求する)
・債権者が、債権者作成の再生計画をぶつけてくる(普通はそんな暇な債権者はいないと思いますが、教条主義的な債権者もいるので)
・債権者が同意しない(これも稀とは思いますが、論理的可能性として、「年収1000万円超で、余裕のある生活をしながら、負債総額の10%を3年で返し、あとはチャラでいいだろ」という再生計画を前にして、「忌避感を示し、これが行動としてあらわす債権者が絶無」とは断言しきれない、というところです)
という理論的リスクが残る、という筋の話です。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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