<事例/質問>
当社がリリース予定の新しい商品について、ネットで、全くの事実無根の誹謗中傷が蔓延しています。
ひょっとしたら、ライバルの会社が、工作員を使って書き込んでいるのかもしれません。
裁判をしようにも、次から次に書き込みが出てくるので、イタチごっこになり、間に合いません。
このまま放置するしかないのでしょうか。
裁判が無理であれば、対抗措置としてカウンターリリースすることも考えていますが、却って炎上するような意見もあり、ほとほと困っています。
<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>
これはよくある話です。
新しい商品のスペックが嘘だとか、既存商品とほとんど変わらないとか、ネガティブな噂が広まり、予約注文が入らなかったり、発売後に在庫が積み上がることもあります。
裁判で対応しようとしても、相手が特定できなければ始まりません。
有害情報の発信者を特定しようとしても、掲示板やSNS事業者、通信業者が通信の秘密を盾に抵抗するので、裁判は難航します。
そこで、対抗言論を使って反撃することが考えられます。
やられたらやり返す、言われたら言い返すということです。
しかし、これを実行する際には慎重に行う必要があります。
同じ掲示板やSNSで直接反論するのは逆効果になることがあります。
私がお勧めするのは、立場や力の差を利用して反撃する方法です。
誹謗中傷に対して、きちんとしたソースやデータ、エビデンスを示して反論することです。
戦う場所は自社の公式サイトのニュースリリースで行い、表現もフォーマルにし、徹底した証拠と論理を用います。
相手の発言と逐一同じレベルで対抗するのではなく、
「一部ネットで当社の新商品について誤解があるようです」
といった形で、高みから諭すように間違いを正します。
「便所の落書きのような根拠のない、無責任なコメント」
と、
「公式の場で根拠と論理に基づいたフォーマルで責任ある発言」
が併存すると、自然と
「地上で騒いでいるところに、戦闘機が高高度から爆弾を降り注ぐ」
ような状況が伝わります。逆SEO(検索順位操作)も、こうした前提を整えた上で戦略的に組み合わせると有効です。
特に、企業として無責任な誹謗中傷に対抗するには、このような方法を押さえておくことが重要です。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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