<事例/質問>
同じ事件であっても、依頼者によって、勝ち負けが変わる場合、というのはあるのでしょうか。
よく裁判に勝つ依頼者と、負けてばっかりいる依頼者に別れたりするものなのでしょうか。
どうやったら、事件やトラブルに遭っても、勝つ依頼者になれますか。
<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>
裁判は
「殴り合い」
ではなく
「戦争」
に似ています。
腕力で勝敗が決まる
「殴り合い」
とは異なり、
「戦争」
は戦力、つまり経済力や戦争継続能力が求められます。
強い依頼者は、資金的な余裕があり、長期戦にも耐えられる人です。
資金があれば、優秀な弁護士を集めることができ、裁判に負けても他の方法で戦い続けることが可能です。最終的には、相手が経済的に疲弊して降参することもあります。
例えば、ある依頼者は契約書の偽造を巡る裁判で地裁・高裁・最高裁と3連敗しました。
この契約書は従業員が偽造したもので、依頼者は無関係だと主張しましたが、裁判所もその見解に同調しました。
しかし、この依頼者は十分な予算を持っていたため、戦争を続けることができました。
次に、偽造した従業員を不法行為で訴え、会社も使用者責任で追及しました。
しつこく戦い続けた結果、相手は根負けし、和解金を支払うことで解決しました。
勝つ依頼者になるためには、まず資金が必要です。
資金がない、または資金を惜しんで使わない依頼者は、裁判で勝つことが難しいです。
まるで
「高級なブーツを汚すな」
と言われながら、ジャングルでゲリラと戦うようなものです。
戦争には予算管理を持ち込むべきではありません。
すべてのリスクを覚悟し、資源を惜しまず投入することが必要です。
また、経済力が不足している場合は、工夫が求められます。
裁判という戦争で重要なのは、文書や記録といった証拠です。
約束内容、履行状況、相手の不義理、不誠実な対応、こちらの正当性や被害状況など、すべてを
「ミエル化・カタチ化・言語化・文書化・フォーマル化」
しておくことが大切です。
これらの事務資源を整備することで、裁判での勝利が見込めます。
役所や銀行が訴訟に強いのは、資金だけでなく、正確な文書や記録を大量に持っているからです。
詳細は、以下をお聴きください。
https://audee.jp/voice/show/70918
※「教えて!鐵丸先生」のコーナーは、番組の4番です
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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