企業の会計報告にまつわる有事状況として、金融当局が、決算報告に虚偽があるなどとして、課徴金納付命令等の行政処分を課す場合があります。
金融商品取引法の違反に伴う行政処分の前提としての調査や、審査手続ヘの企業の対応ですが、すでに解説した独占禁止法違反事例における有事状況への対応戦略を応用すれば足ります。
ところで、調査対応や審査手続における各種防御活動が功を奏さず、不幸にも課徴金納付命令が発令されてしまった場合、企業の中には、
「どうせ裁判で争っても負けるに決まっているからここは潔く認めよう」
「あまり無駄な抵抗をすることで却って睨まれても今後がやりにくくなるから、ここはひとつ、当局の威光に逆らわず、唯々諾々としたがっておこう」
等という理由から、そのまま課徴金納付命令を受け入れ、当該違反事実を確定させてしまうところもあろうかと思います。
しかしながら、理由はどうあれ課徴金納付命令を一旦異議なく受け入れてしまうと、後日、株主総会や株主代表訴訟にて
「行政処分で自らの非違を認めた以上、株主や会社に対する責任をきちんと取るべし」
という形で違反事実を糾弾された場合、経営陣としては違反事実に対する弁解の可能性が全て失われ、防御が不可能な事態に陥ります。
企業ないし経営陣としては、下記のようなケースもふまえ、課徴金納付命令を受け入れるかどうかについては、
「後日、株主から経営責任を追及された場合の防御オプションを適切に保持しておく」
という純戦略的な点もきちんと検討した上で、慎重に対応する必要があります。
運営管理コード:CLBP494TO495
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
✓当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ:
✓当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ:
✓当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ:
企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所