1 労働法違反の実態
厚生労働省のまとめによる2012年度の定期監督実施結果のように企業の7割強が労働法違反を行っている実態からすると、企業のトップマネジメントあるいは人事責任者のほとんどが法を知らず、損益計算という視点のみで
「ヒト」
という経営資源の調達・運用を行っている姿が浮かび上がってきます。
このように、労働法務については、 トップマネジメントが
「損益計算だけでは大きな失敗をする」
ことを十分に理解した上で、人事責任者において、労働法務の十分な知見を蓄え、何らかのアクションをとる際には必ず専門家に相談して、慎重な対応を心掛けることが基本となります。
2 刑事事件へ発展するリスクを理解する
労働問題においては、民事問題だけでなく、取締法規のコンプライアンス問題が混在しています。
したがって、対応を間違えば、残業という金銭債務の問題が、いつの間にか刑事事件に発展し、送検という事態を招きかねないのが、労働法務の怖いところです。
企業のトップマネジメント及び人事責任者は、かかるリスクを念頭に入れた上で、経営サポート法務を実施する必要があります。
3 正しい知見・情報に基づく対応
さらに、労働紛争においては、相手方である従業員本人やその代理人弁護士に加え、当該従業員が加入している労働組合、規制監督行政機関(労働局、労働基準監督署等)、労働委員会、裁判所等様々な関係者が登場して複雑な様相を呈する場合が多く、それぞれの特徴に対応した対応策が必須です。
労働法務に関する事件やトラブルを防ぐには、まず企業トップマネジメントや人事責任者に対する正しい法務上の知見の提供や啓発が重要です。
すなわち、労働法務に関する紛争や事件のほとんどが経営者サイドの労働法に関する知識の欠如によるものといっても過言ではありません。
法務上正しい知見・情報に基づく対応が、労働法務における唯一かつ絶対の予防法務(契約法務・コンプライアンス法務)実践上のポイントといえます。
運営管理コード:CLBP218TO220
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
✓当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ:
✓当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ:
✓当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ:
企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所