00272_判決によらず、裁判を強制終了させる方法

普通、裁判の解決というと、
「勝訴、敗訴いずれかの判決が出されて一件落着」
ということをイメージされる方が多いと思いますが、判決以外にも訴訟が終了する場合というのがあります。

といいますか、実際の裁判では、提起された訴訟のおおよそ半数が判決以外で終了するといわれています。

判決以外の訴訟終了の場合としては、放棄、認諾、和解の3つがありますが、代表的なものは和解による訴訟終了です。

和解といっても、裁判所での和解はただの話し合いとは違って、その内容は弁論調書という公文書に記載され、和解で定められた権利は判決で言い渡されたのと同様の強制力が生じます。

さらに、和解の後に気が変わっても、和解を不服として高裁に持ち込んだり、再度訴訟を提起することができなくなりますので、和解には判決に匹敵する事件解決機能があるといえます。

ちなみに、裁判所も、
「解決した事件数で出世が決まる」
といわれるほどノルマが厳しいようですが、判決も和解も
「いっちょ解決」
としてノルマ達成上のカウントがされるそうです。

和解の場合、判決書を書かなくてもいいし、控訴で争われて高裁とかからダメ出しされることもないので、裁判所からは大変歓迎される訴訟終結方法のようです。

和解は相手がウンといわないとできませんが、相手の意向に関係なく訴訟を終わらせる方法として、放棄と認諾というのがあります。

請求の放棄というのは、原告が訴訟をヤメてしまうことですが、これにより訴訟が強制的に終了します。

「せっかく印紙を貼って訴訟まで提起したのに何で放棄とかする必要あんの?」
と不思議に思われるかもしれませんが、
「ちょいとビビらせて和解金せしめようと訴訟提起したものの、相手から予想外の猛反撃に遭ってしまい、これ以上事実を調べると、こちらが隠しておきたいことまで洗いざらい暴露されてしまうので、その前に強制終了」
みたいなケースで使われることがあるようです。

認諾は、放棄と逆で、被告が原告の請求をすべて認めてしまうことです。

いずれも、一方当事者が
「相手の要求を全部呑みます」
という以上、裁判所がお節介焼いてあれこれ事実を調べるのは無駄ですから、放棄ないし認諾後は、裁判は直ちに終了してしまいます。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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