独禁法が禁止しているカルテルは、事業者間の
「協定」
であり、何らかの話し合いが想定されています。
逆に言えば、価格引き上げ追随行為、すなわち、
「話し合いが始まってすぐに逃げ出し、協定自体に参加せず、同業者が実施したカルテルに一方的に便乗する行為」
は問題なさそうにも見えます。
しかしながら、商品価格の協調的価格引上げにつき黙示の意思の連絡による共同行為が存在したか否かが争われた事件で、東京高等裁判所は、
「特定の事業者が、他の事業者との間で対価引上げ行為に関する情報交換をしたような場合には、特段の事情が認められない限り、事業者間に協調的行動をとることを期待し合う関係があり、『意思の連絡』があるものと推認される」
という趣旨の判断を下しています。
上記ケースにおいても、会合に参加しなければ格別、
「会合に参加したものの、その後、逃げ出したが、会合参加企業が行った価格引き上げに便乗した」
というケースは、原則として違法と判断される可能性が高いといえます。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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