弁護士は、紛争の専門家として、クライアントのおかれた状況を俯瞰し、
「法務・安全保障課題に関する前提リテラシーの実装と、評価・解釈・展開予測」
において、常に悲観想定をします。
「弁護士の悲観想定」とは、
言葉を換えれば、
「想像力ある知性」
ということです。
ようするに、弁護士は、火傷を負わなくても、ストーブの熱さが理解でき、そこに弁護士としての価値があるのです。
紛争を前に、クライアントには楽観想定をする自由と権利があります。
ただし、紛争は、
「本気で争わなければ」などという精神論
では勝てません。
弁護士は、どんなに不利でもクライアントへ力添えをする役割を全うしますが、状況の冷徹な認識をする際、精神論で状況を認識するような愚劣さを持ち合わせてはおりません。
結局、楽観想定を推し進めようとするクライアントは、自業自得、自己責任、因果応報、という帰結を受け入れることを求められます。
他方で、クライアントが、相手との紛争の状況と展開予測を現実的にみて、形勢不利とみて、
「やっぱり辞める」
ということは十分あり得えます。
たとえ正当性ではこちらに分があったとしても、戦局と資源動員と動員体制のレベルで劣悪な状況である場合、作戦原理で負ける可能性があるからです。
悪あがきであろうと、戦理に基づく可能性ある作戦展開であろうと、弁護士は、戦の専門家として、与えられた前提で、クライアントの指示に従い、その範囲と限度において最善を尽くすだけです。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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