ケンカをする際、相手方によって、アクションは変わります。
弁護士としては、アクションは、4つに整理できると考えます。
アクションプラン1
相手方を「常識が通用するマトモな組織である」との前提で、ジェントルに、エレガントに、良識を以て、おだやかに交渉する
アクションプラン2
相手方を「常識が通用するマトモな組織ではない」との前提に立ちつつも、「有力な権力者の威光を以てすれば、相手方はこれにひれ伏し、改心し、常識が通用するようなマトモな組織に矯正する」との前提で、有力な権力者を動かす
アクションプラン3
相手方を「常識が通用するマトモな組織ではない」との前提に立ちつつも、「弁護士が出てくれば、弁護士の威光にひれ伏し、改心し、常識が通用するようなマトモな組織に矯正する」との前提で、特に、具体的な圧力を明示せず、とりあえず対話をするため、弁護士を動かしてみる
アクションプラン4
相手方を「常識が通用するマトモな組織ではない」との前提に立ちつつ、また、「有力な権力者の威光も、弁護士の威光なども、まったく意に介さないし、相手方には常識が一切通用しない」との前提で、裁判所への提訴を所与として、その準備をしつつ、また、具体的準備状況をちらつかせつつ(具体的な圧力明示)、弁護士を通じた交渉(対話)を行い、頓挫すれば、ただちに訴訟に移行する
アクションプラン1や2であれば、弁護士は要りません。
アクションプラン3や4となると、相応にコストがかかります。
そして、アクションプラン4となれば、相応にコストがかかるうえに、コストを上回る期待値はどうか、といいますと、弁護士として冷静なエコノミクスの分析をしても、その結果については、実際は、腹の立つような結果となることが少なくありません。
どのようなアクションを選択するにせよ、
感情を優先するか
勘定を優先するか
このジレンマをきちっと解消しないまま、相手とケンカをすすめ、
「事件」
に突入することは、さらに不幸が大きくなります。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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