01877_「開業プロフェッショナル(開業医、経営弁護士等)の人生設計」について_その2

法人化するか個人開業とするかは、手段や手法の議論であって、ゴールデザインによって変わってきます。

たとえば、医療法人化を検討する場合、

・税務対策(個人・一般法人と比べて税金が優遇されている)
・分院や介護施設など複数の施設を展開の可能性
・承継対策(持ち分のない医療法人の資産は相続財産には含まれない)
・対外的信用度

といった、いくつかのファクターによって決定されます。

それは、一義的な正解があるわけではなく、是非の問題ではなく、選択の問題です。

1つ言えるとするなら、法人化すると、確実に面倒が増えます。

開業を検討する医師をターゲットにしたコンサルタントが、クライアントである医師が自己を必要以上に大きく見せることにこだわるようなタイプとみるや、
「医療法人の方が、対外的信用を獲得しやすい」
などといって舞い上がらせ、コストと手間がかかる医療法人化を勧めることがあるかもしれません。

この場合、登記に関する事務、社員総会議事録や理事会議事録作成に関する事務等、個人開業には生じ得ない雑務が発生しますが、これらはすべてコンサルタントの仕事になります。

また、理事の員数合わせのため、当該コンサルタントやその息のかかった人間が理事に入り込んできて、当然、理事報酬等の形で財政的にマイナスが生じるほか、経営に干渉される危険が増大します。

このように、世の中には、医療法人化のダークサイドも、確実に存在します。

繰り返しになりますが、医療法人化にはメリットもありますが、トレードオフ課題もあることを忘れてはなりません。

慌てず、あるいは、慌てさせられず、冷静に考え、選択するべきです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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