会計検査院の実地検査とは、会計検査院の調査官が、検査対象機関の事務所や事業が実際に行われている現場に出張し検査を行うことです。
対処を間違うと、公金詐欺としての事案立件、社名公表、今後の補助金事業からの締め出し等のリスクもあり得ます。
1 前提認識
「話せばわかる」
「多少のことに目をつぶってくれる」
「温和で、協力的な組織である」
という前提認識に立脚することも可能でしょう。
他方で、実務経験に照らした状況評価や展開予測からすれば、日立製作所ですら不備を指摘され、返金を強要され、晒し者にされている厳然たる事実からして、
1)会計検査院は、凶暴な組織
2)とにかく不備を摘発し、因縁をつけ、それを以て手柄とするような組織
3)日立製作所はおろか、中央官庁ですら嫌悪・忌避する凶悪な検査組織
という認識を前提とすることもできます。
「会計検査院」
という存在をどう捉え、何をリスクとして考え、当該リスクの重篤性をどう捉えるか、ということを前提に、対処することとなります。
2 ゴールデザインは以下のように想定できます。
ケース1:指摘事項等なく平穏に終了
ケース2:口頭注意に留まる
ケース3:(具体的返金指示等を含まない注意・警告に限定された)文書による行政指導(先方の内部情報として注意先・ブラックリスト入り
ケース4:内々の措置で収束(社名公表や書類送検等もなく、事実上の返金で収束することを前提とする、具体的返金指示等の不利益処分ないしその指導
ケース5(ワーストケース):社名公表、公金詐欺による書類送検、その他今後の不利益処分(今後の補助金事業からの締め出し等のリスク)
「大事を小事に、小事を無事に近づけ、なんとか切り抜ける」
という強い要望を持つのであれば、
「最大限の警戒と準備を行い、最大限の安全保障行動を展開する」
という前提で、計画を立案することとなります。
3 準備と安全保障行動の展開について
1) 準備その1 法的意見書の作成
ア)前提としてのゲームロジックやルールの理解(手引書の読解・精読・評価・解釈)
イ)該当規範(規範や概念、論拠構築を含む)の特定
ウ)該当規範の解釈(内包と外延の特定と射程範囲の設定)・規範定立
エ)規範へのあてはめ・結論誘導
オ)以上の検討内容の成文化(ミエル化・カタチ化・言語化・文書化・フォーマル化)
2) 準備その2 株主総会等による議議事録の作成
3)想定問答の検討・作成・実施
想定するリスクによって、対処の選択肢がある、ということになります。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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