賃借人が破産に至った場合、賃貸人は、賃料の支払いが見込めないことから解約を申し込めるでしょうか。
この点、旧民法には、賃借人の破産に基づき解約申入れが可能と読める条文がありましたが、破産法の改正に伴い廃止され、現在では、賃貸借契約については、破産管財人のみしか解除できないといった立て付けとなっています(破産法53条1項)。
ここで、賃貸借契約においては、
「賃貸人は、賃借人が破産したときには賃貸借契約を解除できる」
といった、賃借人が破産したことを解除事由とする内容の特約が定められていることが通常ですので、これと前記破産法の定めとの関係が問題となります。
最高裁1968(昭和43)年11月21日判決は、
「建物の賃借人が・・・破産宣告の申立を受けたときは、賃貸人は直ちに賃貸借契約を解除することができる旨の特約は、賃貸人の解約を制限する借家法1条の2(註:現在の借地借家法28条)の規定の趣旨に反し、賃借人に不利なものであるから・・・無効である」
と判断しています。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
✓当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ:
✓当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ:
✓当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ:
企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所