00554_取締役に選任されたものの、トップの独裁と暴走が激しく、「これ以上、関わったら、賠償責任を負いかねない」と判断した場合の究極のリスク回避手段

「三六計逃げるに如かず」
といいますが、無謀な事業計画が浮上した場合、あれやこれや社内にとどまってがんばるより、辞めてしまうという方法があります。

「辞めてしまうと、せっかくもらった捨て縁にありつけない」
という思いもあるかもしれませんが、ここはリスクとメリットのバランスの問題です。

さらにいえば、取締役は辞任しておいて、顧問や外部コンサルタントでお金をもらったっていいわけですから。

取締役を辞めるには、辞任届を出せばいいのです。

辞任は、会社の了解とか承認とか受諾とか受理みたいなものは一切いらず、取締役が単独で一方的に意思表示をすればいいだけです。

もちろん、会社側としては、
「聞いていない」
「非常識だ」
「認めない」
「許さない」
というかもしれませんが、会社と取締役との関係は民法の委任契約関係を基礎に置く以上、辞任は何時でもできる(民法651条1項 )以上、これら会社の妨害や抵抗は法律上全て
「寝言」扱い
であり、内容証明郵便で送りつければ、それで、辞任は一方的に、有無をいわせず、完了します。

しかし、登記の問題は残ります。

登記するのはあくまで会社ですから。

会社が取締役辞任届を受理しながら、その旨登記せずに放置しておくと、第三者には会社の取締役を辞任したことを対抗できませんので、注意が必要です。

この場合、最終的には、会社を被告として、
「辞任したから、とっとと辞任の登記をせよ」
という訴訟を提起することになります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

弁護士法人畑中鐵丸法律事務所
弁護士法人畑中鐵丸法律事務所が提供する、企業法務の実務現場のニーズにマッチしたリテラシー・ノウハウ・テンプレート等の総合情報サイトです