企業不祥事の質や傾向における急変状況に合わせて、企業の不祥事予防のための行動も2000年を境に劇的な変化を遂げていきます。
1990年代における、企業の採るべきリスク予防活動といえば、弁護士に話を聞く前に役所や政治家、業界の顔役に相談することが主流でした。
すなわち、当時、
「護送船団方式」
や
「奉加帳方式」
などに代表されるように、絶大な権限を有する行政機関(霞ヶ関の中央官庁)が企業の守護者として君臨し、様々な事前規制手段を用いながら、業界全体を保護していくという産業規律手法が採られていました。
この実態は、当時の大蔵省が
「銀行は絶対潰さない」
と豪語していたことをみれば明らかです。
要するに銀行の生殺与奪を大蔵省(現:財務省・金融庁)が握っていたのです。
しかし、1990年代の終わりから2000年代にかけて、規制緩和の波が押し寄せて、
「行政による事前規制」
が姿を消し、
「司法による事後監視」
が産業規律の主役となっていきました。
前述のように企業不祥事が質的に変化し、不祥事予防や有事対応を間違えると企業の存続に影響しかねない事態に発展することが認識されるようになるとともに、規制緩和により
「行政機関主導の不祥事予防・有事対応」
が姿を消し、企業は、自らのコストで法律の専門家を雇い、自らの責任で不祥事を予防し、自らの判断で有事に向き合うことが求められるようになってきました。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
✓当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ:
✓当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ:
✓当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ:
企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所