法令違反行為を自認していたり、客観証拠から明らかに当該行為を行ったと認められる関係者等に関しては、懲戒処分等も迅速に行うべきです。
この点、
「自ら早急に処分を行うよりも当局の対応をみてから当局の認定事実を基礎に関係者処分を行う方が、判断リスクを回避できるのではないか」、
と考える企業も多いかと思われますが、この姿勢は根本的に間違っています。
そもそも、就業規則等の社内懲戒処分は、その企業が独自の調査と認定事実に基づき、独自のリスクと判断で行うものです。
「当局の判断を待って」
という姿勢は、ある意味、違反事件についての責任感の欠如と主体性の放棄の姿勢と捉えられかねず、調査責任を全うしていないのではないか、との疑念さえ呼びかねません。
このような姿勢は、
「企業としては、コンプライアンス法務(内部統制システム構築・運用法務)を徹底し、各種啓発活動を行い、社内規程・業務マニュアルを整備し、リスク・アプローチに基づき違反が起きやすい行為については科学的なリスク管理体制(業務フローやチェックシステム)を整え、内部通報制度等により違反や違反の萌茅の検知に努めていたにもかかわらず、従業員が独自の考えで法令違反行為に及んだ」
という企業弁護シナリオを弱め、かえって組織ぐるみでやっていたのではないか、との疑いさえ生じせしめる危険があります。
なお、不当な懲戒処分は逆に労働者側から争われる場合もありますので、迅速とはいえ、正確な事実に基づきバランス感を失わない適正な処分を下す必要があることはいうまでもありません。
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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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