00333_日本企業法務史(7)新しい資本市場・「売り買いされ、あるいは解体される企業」
冷戦終結に伴い、市場が1つになりました。 ロシア、東欧諸国、中国など「社会主義体制崩壊に伴い、資本主義社会に大量に移転しきた、“新興国”」が大量の生産と供給を始めたことにより、「世界の工場」と呼ばれていた日本の地位が脅かされるようになりました。 すなわち、「それまで日本でしか作れなかった一定の価格と品質をもった商品」が...
冷戦終結に伴い、市場が1つになりました。 ロシア、東欧諸国、中国など「社会主義体制崩壊に伴い、資本主義社会に大量に移転しきた、“新興国”」が大量の生産と供給を始めたことにより、「世界の工場」と呼ばれていた日本の地位が脅かされるようになりました。 すなわち、「それまで日本でしか作れなかった一定の価格と品質をもった商品」が...
前世紀末から今世紀初頭にかけて、日本の資本市場も驚くべき変化を遂げます。 高度経済成長を成し遂げた昭和時代からバブル経済崩壊以前までの経済は、インフレーション(膨張)基調にあり、日本企業の業績も概ね右肩上がりで推移し、新株や社債の発行による資金の調達もスムーズに行われていました。 「ゴーイングコンサーン(「企業が永遠に...
2000年に入ると、雪印乳業の賞味期限切牛乳販売による集団食中毒事件、三菱自動車のリコール隠し事件、カネボウの粉飾決算、西武鉄道の株主名義偽装事件等、大型の企業不祥事が続発しました。 それまでの総会屋への利益供与といった不祥事は、いわば、シェアホールダーズ(株主、投資家)という、特定少数の属性の企業関係者を裏切るもので...
1998年に一時国有化された日本長期信用銀行(長銀、現:新生銀行)の売却交渉の際、外資系ファンドであるリップルウッドがウォールストリート流の交渉戦略を駆使し、8兆円超もの公的資金が投入された長銀をわずか10億円で買収しました。 その後、リップルウッドは「譲渡から3年以内に、当初の正常債権の判定に瑕疵が生じ、簿価より2割...
護送船団行政全盛時代は、バブル経済崩壊後の1990年代後半頃には終焉を迎え、状況が一変し始めます。 1998年に中央省庁等改革基本法が成立し、2001年をもって、それまでの1府22省庁は、1府12省庁に再編されることになりました。 加えて、このあたりから、規制緩和が推進され、「護送船団行政」やこれを支えてきた裁量行政は...
1980年から1990年代にかけて、企業がトラブルや問題が生じたときに駆け込むのは法務部や顧問弁護士のところではなく、まずは、監督行政機関や業界団体でした。 監督行政機関からの指導に対しては、阿咋の呼吸で伝えられるものも含め、徹底して従うことが企業のリスク管理行動として最も推奨されるものでした。 監督行政機関の見解を糺...
日本では、1980年代終わりから90年代なかばころまで、官庁の主導により産業界の育成が図られていた時代が存在しました。 この時代、各業界において競争力が最も欠落した企業であっても維持・存続できるような業界育成が行政の最大のミッションと考えられ、行政機関は、許認可権限やこれに基づく行政指導等の権限(行政裁量権)を駆使して...
ある会社が、ライバル企業の3割近くの従業員を引き抜いた上、さらに、当該ライバル企業の顧客に対し、「自社との取引に切り替えれば、他の顧客にはない特別な条件で取引する」という不当な差別対価を提示して勧誘したという事件がありました。 この事件について東京地方裁判所は、「違法な引き抜き行為」に加え、これと近接した時期に「違法な...
適正な利益が上げられる範囲で、同業他社より安い価格を設定して商品を販売したりサービスを提供したりすることは、自由競争社会においては当然のことです。 本来、企業は、自社の商品やサービスの価格を自由に決めることができるのが原則ですし、顧客によってはその取引量やコスト(事務費用など)が異なるのですから、例えば、「子供は割引し...
企業の経営が傾き、破産までカウントダウンの状態になると、ドサクサ紛れの不当な行為が横行するようになります。 まず、破産する企業の社長などは、将来の生活や再起に備えて少しでも多くしようと、あの手この手で財産を隠匿しようと画策します。 また、債権者の方も、1円でも多く自己の債権を回収しようと、脅し、すかし、だまし、なだめな...