02189_法的整理の使いどきは早期。「もう少し頑張れる」は会社を潰す
「もう少し頑張れる」。 この言葉ほど危険な判断はありません。 経営の現場で使われるとき、それはすでに遅れている兆候です。 再生において最大の敵は、遅延です。 資金が尽きる直前では、スポンサー探索も事業譲渡も分社化も消えます。 選択肢は机上から消え、資金繰りに追われるだけになります。 だからこそ、基準を決めておくことが不...
「もう少し頑張れる」。 この言葉ほど危険な判断はありません。 経営の現場で使われるとき、それはすでに遅れている兆候です。 再生において最大の敵は、遅延です。 資金が尽きる直前では、スポンサー探索も事業譲渡も分社化も消えます。 選択肢は机上から消え、資金繰りに追われるだけになります。 だからこそ、基準を決めておくことが不...
「法的整理は最後の手段だから、できれば避けたい」。 多くの経営者がこう考えます。 しかし、この理解は誤りです。 法的整理の本質は清算ではなく再生です。 裁判所の制度を使い、債権関係を整理し、時間を確保するための正規の手続です。 任意の交渉では行き詰まった場面で、秩序を回復するために用意された仕組みです。 禁じ手ではあり...
「逆粉飾、できますか」。 儲かっている会社を、意図的に赤字に見せかける。 通常の粉飾決算と真逆のこの発想は、裏技ではなく、ただの違法行為です。 逆粉飾を行えば、金融商品取引法・会社法・税法のいずれにも抵触します。 その瞬間に、経営者個人の責任が直撃します。 追徴課税や課徴金だけでは終わらない。 損害賠償、刑事責任、そし...
「黒字だから法的整理は無理」。 それは誤りです。 法的整理の可否は、黒字かどうかの損益ではありません。 債務超過の有無と、資金が尽きる速度、この2点で決まります。 会計は、一定期間の成果を示す道具にすぎません。 法は、いま・この時点での支払能力と財産状態を問います。 軸が違う以上、PL(損益計算書)の数字がいくら整って...
「儲かっているから大丈夫」。 この言葉ほど、経営判断を鈍らせるものはありません。 PLが黒字でも、BSが痩せていれば会社は危険域にいます。 評価益や為替差益で一時的に数字が整っても、それは偶発的な要因の結果です 。 たとえ話をすれば、健康診断の前日にだけ暴飲暴食を控え、翌日からまた元の生活に戻るのと同じです。 検査値は...
法的整理は「終わり」ではない 「法的整理」と聞いただけで、経営者の多くは顔をしかめます。 倒産、破綻、廃業。 頭の中がすぐに“終わり”のイメージで埋まってしまうからです。 しかし、これは誤解です。 法的整理の本質は「事業再生」であり、「破壊」ではありません。 裁判所の制度を使って債権関係を整理し、利害調整を公正に進める...
「先生、“逆粉飾”って、できませんかね……?」 ある経営者が、真顔でこう言いました。 通常の粉飾は「黒字に見せる」こと。 その逆、つまり 「儲かっているのに、わざと赤字に見せる」。 それが“逆粉飾”です。 たしかに、倒産を成立させるために「黒字に見えるのは不都合だ」と考えれば、逆方向の小細工を思いつく人がいても不思議で...
法務の現場では、あの手この手が飛び交います。 ときには奥の手、場合によっては反則技すれすれの演技や方便。 その代表例のひとつが、「弁護士の二面性」です。 今回は、一見すると「ずる賢い」ように見える弁護士の行動の裏側にある、プロとしての思考と戦術についてお話しします。 弁護士が「怒るフリ」をする理由 たとえば、取引先との...
黒字なのに倒産できないのか?という相談 先日、ある経営者から、奇妙としか言いようのないご相談を受けました。 「わが社は儲かっている、いえば、儲かっているのですが・・・。 先生、なんとか、この会社を法的整理できませんかね?」 ふつうに聞けば、意味不明です。 利益が出ている会社が、なぜみずから「法的整理」という言葉を口にす...
「企業法務は民事マターが中心」いまだにそんな牧歌的な幻想を信じている法務部員や経営者が、想像以上に多いようです。 契約書の条文を丁寧にチェックし、利用規約の文言に頭を悩ませ、取引先との合意形成に汗をかく。 いずれも立派なお仕事です。 しかし、その丹精込めて整えている社内業務のど真ん中に、もし“刑事事件の地雷”が埋まって...