02189_法的整理の使いどきは早期。「もう少し頑張れる」は会社を潰す

「もう少し頑張れる」。 この言葉ほど危険な判断はありません。 経営の現場で使われるとき、それはすでに遅れている兆候です。 再生において最大の敵は、遅延です。 資金が尽きる直前では、スポンサー探索も事業譲渡も分社化も消えます。 選択肢は机上から消え、資金繰りに追われるだけになります。 だからこそ、基準を決めておくことが不...

02188_法的整理は禁じ手ではない。遅延と不備が会社を追い込む

「法的整理は最後の手段だから、できれば避けたい」。 多くの経営者がこう考えます。 しかし、この理解は誤りです。 法的整理の本質は清算ではなく再生です。 裁判所の制度を使い、債権関係を整理し、時間を確保するための正規の手続です。 任意の交渉では行き詰まった場面で、秩序を回復するために用意された仕組みです。 禁じ手ではあり...

02187_逆粉飾は経営の裏技ではない。経営者を直撃する違法リスク

「逆粉飾、できますか」。 儲かっている会社を、意図的に赤字に見せかける。 通常の粉飾決算と真逆のこの発想は、裏技ではなく、ただの違法行為です。 逆粉飾を行えば、金融商品取引法・会社法・税法のいずれにも抵触します。 その瞬間に、経営者個人の責任が直撃します。 追徴課税や課徴金だけでは終わらない。 損害賠償、刑事責任、そし...

02186_法的整理の可否は損益では決まらない。債務超過と資金繰りで決まる

「黒字だから法的整理は無理」。 それは誤りです。 法的整理の可否は、黒字かどうかの損益ではありません。 債務超過の有無と、資金が尽きる速度、この2点で決まります。 会計は、一定期間の成果を示す道具にすぎません。 法は、いま・この時点での支払能力と財産状態を問います。 軸が違う以上、PL(損益計算書)の数字がいくら整って...

02185_黒字=安全という誤解。PLとBSを突き合わせて判断せよ

「儲かっているから大丈夫」。 この言葉ほど、経営判断を鈍らせるものはありません。 PLが黒字でも、BSが痩せていれば会社は危険域にいます。 評価益や為替差益で一時的に数字が整っても、それは偶発的な要因の結果です 。 たとえ話をすれば、健康診断の前日にだけ暴飲暴食を控え、翌日からまた元の生活に戻るのと同じです。 検査値は...

02184_法的整理とは何か_禁じ手ではない、最後の正攻法

法的整理は「終わり」ではない 「法的整理」と聞いただけで、経営者の多くは顔をしかめます。 倒産、破綻、廃業。 頭の中がすぐに“終わり”のイメージで埋まってしまうからです。 しかし、これは誤解です。 法的整理の本質は「事業再生」であり、「破壊」ではありません。 裁判所の制度を使って債権関係を整理し、利害調整を公正に進める...

02183_「逆粉飾」はあり得るか?_違法な裏技に手を染める前に知るべきこと

「先生、“逆粉飾”って、できませんかね……?」 ある経営者が、真顔でこう言いました。 通常の粉飾は「黒字に見せる」こと。 その逆、つまり 「儲かっているのに、わざと赤字に見せる」。 それが“逆粉飾”です。 たしかに、倒産を成立させるために「黒字に見えるのは不都合だ」と考えれば、逆方向の小細工を思いつく人がいても不思議で...

02181_方便は戦術その1_弁護士の“二面性”を読み誤るな

法務の現場では、あの手この手が飛び交います。 ときには奥の手、場合によっては反則技すれすれの演技や方便。 その代表例のひとつが、「弁護士の二面性」です。 今回は、一見すると「ずる賢い」ように見える弁護士の行動の裏側にある、プロとしての思考と戦術についてお話しします。 弁護士が「怒るフリ」をする理由 たとえば、取引先との...

02180_黒字でも倒産する現実_逆粉飾という狂気と、経営者に問われる法務リテラシー

黒字なのに倒産できないのか?という相談 先日、ある経営者から、奇妙としか言いようのないご相談を受けました。 「わが社は儲かっている、いえば、儲かっているのですが・・・。 先生、なんとか、この会社を法的整理できませんかね?」 ふつうに聞けば、意味不明です。 利益が出ている会社が、なぜみずから「法的整理」という言葉を口にす...

02177_刑事事件は社内から始まる_企業法務の刑事化リスクその2

「企業法務は民事マターが中心」いまだにそんな牧歌的な幻想を信じている法務部員や経営者が、想像以上に多いようです。 契約書の条文を丁寧にチェックし、利用規約の文言に頭を悩ませ、取引先との合意形成に汗をかく。 いずれも立派なお仕事です。 しかし、その丹精込めて整えている社内業務のど真ん中に、もし“刑事事件の地雷”が埋まって...