00251_企業法務三段論法:弁護士資格だけでは企業法務を取扱うことが困難な理由

弁護士になる上では、法的三段論法を学びます。 すなわち、大前提(法規)を学び、社会で発生する様々な事件や紛争を小前提(ケース)として知見を増やし、その上で、法的三段論法、すなわち、「法規を大前提とし、事実を小前提として、事実を法規にあてはめて結論を導く推論の方法」を学びます。 弁護士資格を得るプロセスで学ぶ法的三段論法...

00243_契約自由の原則:愚かでリスキーな契約上の立場に陥れられたら、それは自己責任であり、そんな愚かでリスキーな契約した方が全て悪い

民商事法の世界では、契約自由の原則という理屈があります。 これは、どのような契約を締結するかは当事者間の自由であり、公序良俗に違反しない限り、裁判官が理解して判決書ける程度に明確な条項を取り決めてあれば、どんな契約上条項も法的に有効なものとして取り扱う、という原則です。 逆に、契約相手を漫然と信頼して、本来契約内容にし...

00235_銀座や新宿等の繁華街における「賃借店舗の買収」話に内在するリスク

たまに、銀座や赤坂、六本木、赤坂、渋谷、新宿等の「新規開店が困難な超人気スポットの路面の賃借店舗」が、店舗買収、店舗M&A案件等として、ブローカーやM&Aアドバイザー等を介して案件持ち込みされる場合があります。 出店困難地域、掘り出し物、路面でなかなか出てこない案件、ホールドは5日が限界、3日以内に手付を等のセールスト...

00234_取引設計(契約条件具体化)作業における「取引対象の特定」の重要性

契約書を作成する前提として、契約条件を具体化する必要があります。 こういう言い方をすると、「言われなくてもわかっている」というリアクションが返ってきそうですが、実務上、契約書の内容の問題以前に、取引設計レベルにおいて、契約条件が曖昧模糊としており、これが原因でトラブルに発展するという事例が多く見受けられます。 モノのや...

00068_債権回収の場面で、債務者が繰り出す最強(最凶)の対抗手段である「手元不如意の抗弁」とは

昔から「手元不如意」という便利な言葉がありますが、これは「家計が苦しくお金がない」という意味なのです。 「生憎、手元不如意でな、払えぬものは払えぬ」「不如意で支払いもままならぬ」というセリフをテレビの時代劇で視たことがある方もいらっしゃると思いますが、これは「借りたお金を返したいのは山々だが、お金がないので返せない」と...

00067_企業法務を志すには

当たり前のことですが、企業法務は、企業のことを知らないとできません。 そして、法学部でも、司法試験予備試験でも、ロースクールでも、司法試験でも、司法研修所でも、企業の実体については、ほとんど試験で聞かれませんし、教えられません。 というより、上記の試験を作成したり採点したりしている人も、上記の教育機関で教えている人も、...

00064_企業法務ケーススタディ(No.0021):財務報告に係る内部統制報告制度(J-SOX)の導入

企業から、顧問弁護士に対して、以下のような法律相談が持ち込まれた場合の助言方針を検討してみます。 相談者プロフィール:株式会社ヒコマロン 原 義彦(はら よしひこ、41歳) 相談内容:鐵丸先生、どーもー。お蔭さまで、我が社洋菓子が好調で、株式公開準備も佳境に入って参りました。とはいえ、先日、監査法人から「内部統制しっか...

00063_敵対的買収防衛策の有効性

「敵対的買収防衛策」と呼ばれるものですが、このスキームを売り込む側は、スキームの完全性・有効性を盛んに喧伝する傾向にあるようですが、売り込む側が言うほど完全で有効なものではない場合もあります。 かつて、ライブドアがニッポン放送を乗っ取ろうとしたとき、「M&Aに詳しい」はずのニッポン放送側の弁護士が、「敵対的買収防衛策」...

00055_非欧米諸国への輸出ビジネスを行う場合には疎漏なく検討すべき、外為法の輸出規制

その昔、まだ、ロシアがソビエト連邦とか言われていた時代、日本の某メーカーが、ココム規制なんて聞き慣れない規制に反したカドでえらくバッシングされたことがありました。 その後、ベルリンの壁が崩れ、平成の世となりましたが、「輸出規制なんて過去の遺物、今や貿易をもっと自由化し、イッツ・ア・スモール・ワールドだ」なんて思っている...

00053_金融機関やコンサルタントから提案・紹介される“節税商品”の実体と危険性

外資系の金融機関は、非常に優秀な方が多く、いろいろな金融商品を開発し、提供してくれます。 無論、中には、緻密な理論を構築して、安全で高収益を生むような商品もありますが、すべての商品がまともであるという保証はありません。 節税商品とは、「お金をリスクに晒して、その対価として利回りや配当を得る」という本来の金融商品ではなく...