01544_「コンプライアンス」への視点──攻めのリスク管理戦略

相次ぐ企業不祥事のなかで「コンプライアンス」(法令遵守)が経営のキーワードになっている。 しかし私が違和感を覚えるのは、「コンプライアンス経営」が「倫理綱領の策定」と同義となっている点であり、「性善説に立ってみんないい子になりましょう、と道徳教育・修身教育をするような、倫理の問題」だと思っている企業が実に多いことだ。 ...

01524_企業が法務やコンプライアンスを無視・軽視した場合のリスク

昭和ないし平成初期の護送船団行政の時代であれば、官庁主導による保護育成と業界協調体制による救済がありました。 法務だのコンプライアンスだの細かいことに目くじら立てなくても、慣行と業界の相場感に従い、それでもわからなければお上の指導に依存していれば安泰でした。 すなわち、かつては、管理や法務は無視して、営業だけをしていれ...

01523_一般的な日本の企業の法務への取組姿勢は、「営業重視・管理軽視・法務無視」

法令遵守が各企業毎に自己責任で行わなければならない時代となった現在、管理、なかんずく法務管理を適正に行わないと、今後も健全に生き残ることは不可能です。 実際、金融・証券業界は、いち早くこのような時代の流れに適合して管理強化、法務強化を完了しました。 金融庁も金融検査マニュアルを作り上げました。 このマニュアルを見ると、...

01522_昭和の時代の「コンプライアンス」

ところで、昭和の時代においてもそれなりに企業不祥事が発生し報道されていましたが、「コンプライアンス」という言葉が取り沙汰されることはありませんでした。 昭和の時代においては、企業にとっては、監督官庁こそが、法制定者であり、法執行者であり、紛争解決機関であり、神様であったのです。 監督官庁と緊密な関係を保っていれば、そも...

01521_コンプライアンスが経営課題として殊の外重視されるのは、「法令を無視ないし軽視して活動している企業が多い」ことの裏返し

「コンプライアンス」という言葉があります。 21世紀に入って降って湧いたように登場し、その後、事あるたびに使われるようになってきた経営上のキーワードです。 「コンプライアンス」とは日本語に訳すと「法令遵守」という意味になります。 法律を守るのはある意味当たり前といえば当たり前です。 「何故、法令遵守を経営課題としてわざ...

01133_予防対策フェーズ>法務活動・フェーズ3>コンプライアンス法務(フェーズ3B)内部統制システム構築・運用法務>(10)効果的推進のために

コンプライアンス法務の推進を内外に表明する企業は実に多く存在していますが、これら企業の実際の行動をみてみると、威勢のいい表明とは逆に、コンプライアンス確立のための法務体制確立に向けた具体的努力の形跡がほとんど窺えず、そのうち重篤な不祥事を発生してしまう、といったところが少なくありません。 コンプライアンス法務確立に向け...

01122_予防対策フェーズ>法務活動・フェーズ3>コンプライアンス法務(フェーズ3B)内部統制システム構築・運用法務>(4)メリット>最高裁判示

「企業の法令違反行為に起因する企業不祥事が発生した場合に、経営陣を免責するに足りるだけの実質を備えたコンプライアンス法務(内部統制システム構築・運用法務)」を実践していた企業において、現実に不祥事が発生してしまい、経営陣に対して責任を追及する訴訟が提起されました。 この事例は、従業員らが営業成績を上げる目的で架空売上を...

01121_予防対策フェーズ>法務活動・フェーズ3>コンプライアンス法務(フェーズ3B)内部統制システム構築・運用法務>(4)メリット>実務論

法令コンプライアンス(会社法に基づく内部統制システム構築)義務履行のメリットである「現実に企業に法令違反の不祥事が発生した場合、適正な内部統制システム構築義務を尽くした取締役については、後日の株主代表訴訟等で善管注意義務違反を問われない」という点に関しては、これを正面から議論している文献等は見当たりません。 倫理や道徳...

01120_予防対策フェーズ>法務活動・フェーズ3>コンプライアンス法務(フェーズ3B)内部統制システム構築・運用法務>(4)メリット

コンプライアンスが現代企業における必須の経営課題として述べられることが多いようですが、精神論や努力の方向性としての議論はさておき、コンプライアンス法務(内部統制システム構築・運用法務)が営利組織である企業の経営課題として実践される以上、当然ながら「ゴールを明らかにした上で、ゴール達成のために、最小限の犠牲で最大限の効果...

01119_予防対策フェーズ>法務活動・フェーズ3>コンプライアンス法務(フェーズ3B)内部統制システム構築・運用法務>(3)法務遂行上の基本的視点

コンプライアンス法務(内部統制システム構築・運用法務)を実施する前提の問題として、「企業内従業者を企業の法令違反行為に起因する不祥事の危険因子として捉えるべきか否か」ということが問題になります。 平易な表現をすると、性善説(企業内従業者は倫理的に教化することにより企業の法令違反行為に起因する不祥事を行わないとみる)、性...