00475_労働契約法上の安全配慮義務
労働契約法は、5条において「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と定め、法律上の義務として、安全配慮義務を規定しました。 要するに、使用者は、労働者に対してカネを払うだけでなく、労働者が危険を感じて萎縮しながら労働したりすることのない...
労働契約法は、5条において「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と定め、法律上の義務として、安全配慮義務を規定しました。 要するに、使用者は、労働者に対してカネを払うだけでなく、労働者が危険を感じて萎縮しながら労働したりすることのない...
雇用契約というものは、労働力の提供とこれに対する賃金を支払うことを内容とする契約ですが、労働者と使用者の関係は、売買の場合の売り主と買い主のように、ある程度、継続するものなので、単純に「労働力を提供する」「賃金を支払う」というだけの関係で終わるものではありません。 例えば、使用者は、従業員が安全に労働できるような諸条件...
企業には、採用する、採用しないの自由がありますが(採用の自由)、前提として、採用を判断するための情報を入手することも、原則として自由であると考えられております(調査の自由)。 例えば、三菱樹脂事件最高裁判例は、「採用にあたって、思想や信条といった、人の能力には関係がない、内心的なことを調査し、調査の結果を理由に採用を拒...
企業にとってみれば、採用する人間の能力や考え方、健康状態などは、今後の人事などを考える上で最重要課題となるはずですが、“採用時”に得られる情報には限界がありますので、企業にとっての「採用」は、一種の“カケ”の様相があります。 それゆえ、どのような人間を雇うかは、基本的には、経営責任を負う経営者の自由な判断に委ねられるべ...
多くの「就業規則」は、「昇給」に関する規定(昇給のための査定方法、昇給額の決定方法、時期など)についてはしっかりと定めているようですが、給料の額を減額する意味の「降給」については、あまり規定していない場合があるようです。 もし、「降給」の規定がないにも関わらず、雇用者が一方的に「降給」してしまった場合、「賃金を引き下げ...
民法623条以下に規定される雇用契約は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって成立しますので、給料の額は、原則として、雇用者と従業員の合意によって決まることになります。 そうすると、従業員の給料を変更する場合、いちいち、雇用契約の当事者である雇...
人は、犯罪など公の秩序に反することなどがない限り、基本的に何をしようとも自由です。 このことは、憲法上も「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」(憲法13条)とされており、「服装や髪型を選択・決定する自由」も同条に基づき憲法上の権利...
いざ、労働災害が発生してしまった場合、会社は、けがの具合によっては多額の治療費や休業補償等を払うことになりますが、ただでさえ人手が足りず、経営も資金繰りも厳しい会社にとってみれば、果たして“手厚い補償”をしてあげられるかどうかあやしいところです。 他方、けがをした従業員にとってみれば、会社の経営不振が理由で治療費も払っ...
会社を経営していると、雇っている従業員が業務中にけがをしたり、業務の内容が災いして病気になってしまったりする場合があります(場合によっては、通勤中に自動車事故に巻き込まれるといったこともあります)。 このような労働災害が発生した場合、会社は当該従業員に対し、会社の費用で必要な療養を行わなければなりません(労働基準法75...
例えば、会社がインサイダー取引の嫌疑がかかっている従業員を有罪に違いないと決めつけた上で、そそくさと解雇を行なおうとした場合、この解雇は有効でしょうか。 多くの企業は、就業規則上、「“有罪”となった場合に解雇可能」という定めを有しています。 では、いつ「有罪」と定まるのでしょうか。 刑事手続き上有罪となるのは、「刑事裁...