02048_通販サイト立ち上げ話がキャンセル料問題に発展(教えて!鐵丸先生Vol. 60)

<事例/質問>

友人から紹介された方がネットに詳しいということで、通販サイトを立ち上げてみる、という話になりました。

ですが、あまりその方はそれほどネットや通販に詳しいわけではなく、どこかに外注して通販サイトを作るということになってきて、見積もりも桁が違うものが出てきました。

そこで、話を取りやめにしたいと言いましたら、逆ギレされて、キャンセルするにも迷惑料を要求されています。

どうも知り合いに弁護士がいるようで、モメたらすぐにでも裁判を起こす、と息巻いています。

ここは、穏便に済ませたほうがよいでしょうか?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

このような場合、相手から
「訴える」
と言われると、驚いてしまうかもしれませんが、基本的には無視することが正しい対応です。

脅し文句に屈して相手の要求に応じると、無駄にトラブルが大きくなりかねません。

「どうぞ、訴状をお待ちしております」
と突き放す姿勢が最も賢明です。

なぜなら、実際に訴訟を起こすことは相手にとって非常に高いハードルがあるからです。

訴訟を提起する際には、まずその具体的内容を
「ミエル化・カタチ化・言語化・文書化・フォーマル化」
する必要があります。

具体的には、
「いつ、誰が、どこで、どうして、どのようなことを行い、それがどのような法律要件に該当し、損害賠償請求権を生み出すのか」
を明確にすることが求められます。

また、賠償額をいくらに設定するかという問題もあります。

1万円、10万円、100万円、それとも1億円か。

賠償額が大きくなるほど印紙代も高くなり、費用がかさみます。

さらに、主張する事実に関する証拠を揃える必要があります。

証拠をどのように整理し、提出の準備を整えるかが非常に重要です。

この準備作業を独力で行うのは難しく、弁護士に依頼する場合、その費用も考慮しなければなりません。

また、仮に一審で勝ったとしても、相手が控訴すれば再び弁護士費用が発生し、最高裁まで争うことになればさらに費用が増します。

こうした疑問や課題が次々と浮かび上がり、それらをクリアするには莫大なコストと労力が必要です。

日本の民事裁判では賠償額の相場が低く、訴訟を起こしてもその費用を回収するのは難しいことが多いです。

このため、多くの人は最終的に裁判を諦めることになります。

相手が
「訴える」
と言った場合、
「どうぞ、訴状をお待ちしております」
と冷静に対応するのが最も賢明です。

相手が実際に裁判を起こす可能性は非常に低いため、恐れる必要はありません。

ただし、今後のトラブルを避けるためにも、事前にしっかりと契約内容を文書化し、相互に確認しておくことが重要です。

このように、相手の脅しに動じず、冷静に対処することが大切です。

事前の準備と冷静な対応が、トラブルを避ける鍵となります。

詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/83109

※「教えて!鐵丸先生」の収録は、上記Audeeのサイトの4番目のコンテンツ「コーナー:『教えて!鐵丸先生~エンディング』」で聴くことができます

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02047_ビジネス弁護士が教える起業を考える際の重要ポイント(教えて!鐵丸先生Vol. 59)

<事例/質問>

起業を考えています。

ざっくりした相談ですが、ビジネスに詳しい弁護士の先生のお立場から、注意すべき点があれば、ご教示ください。

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

まず、起業に際して重要なのは
「お金を愛せよ」
ということです。

世間では
「お金は汚いもの」
という価値観が広がっていますが、これは非常に偏った見方です。

多くの人が幼少期に親や教師から
「お金に執着するのは良くない」
「お金を追求するのは卑しい」
と教えられますが、これは偏見に過ぎません。

成功した起業家やビジネスマンで
「お金は汚い」
と考える人は皆無です。

彼らはお金を非常に大切にします。

例えば、成功者たちはお金を単なる手段としてではなく、夢や目標を実現するための重要なリソースと見ています。

お金持ちは皆、お金を殊の外大事にします。

中には、家族よりも、自分の命よりも大事にする人もいます。

それこそ、死ぬ直前までお金を握りしめるお金持ちもいます。

「お金は汚い」
という考えは、往々にしてお金を持たない人の自己正当化に過ぎず、その偏見を捨てることが成功への第一歩です。

次に、
「常識を疑え」
という姿勢が必要です。

成功を目指すためには、一般的な
「常識」
に縛られていてはなりません。

常識とは多くの場合、他人が作り上げた偏見や先入観の集合体に過ぎません。

アインシュタインの言葉に
「常識とは、18歳までに身につけた偏見のコレクション」
というものがあります。

これは、常識が必ずしも正しいわけではないことを示しています。

大きな決断をする際には、どんな
「常識」
や前提も疑うべきです。

特に
「ビジネス社会や資本主義社会の弱者」
としての視点ではなく、
「常識など屁とも思わない、百戦錬磨のビジネスマン」
のように考えることが求められます。

成功したビジネスマンは常識に囚われず、自分の信念に基づいて行動します。

彼らは、常識を超えた新しいアイデアやアプローチを試み、独自の道を切り開いています。

成功を目指すなら、幼少期からの
「マジョリティ」
の雑音を排除し、模倣すべき思考や価値観を選り抜き、それを純化・強靭化していくべきです。

間違っても
「経済社会や資本主義社会の弱者」
に甘んじている人々の偏見に囚われてはいけません。

成功した、強く、富裕な
「常識など屁とも思わないマイノリティ」
に至るためには、自分の信念を持ち続ける強さが不可欠です。

このように、

「お金に対する正しい理解」

「常識を疑う姿勢」
を持つことが、起業成功の鍵となります。

成功には柔軟な思考と強い意志が必要です。

これらの要素をしっかりと持つことで、起業成功への道が開けるでしょう。

詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/81540

※「教えて!鐵丸先生」のコーナーは、番組の4番です

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02046_海外で流行のサービスコンセプトの名称を使ってビジネスを展開したら商標権侵害だからビジネスを停止せよと通知が届いた(教えて!鐵丸先生Vol. 58)

<事例/質問> 

日本ではまだそれほどメジャーではないものですが、海外ではすでに流行り始めているサービスコンセプトの名称を使って、ビジネスを展開しはじめたところ、
「その名称はすでに商標登録しているので、商標権侵害だから、即刻 ビジネスを停止せよ」
とやたらと弁護士の名前が数多く並べ立てられている内容証明郵便による通知書が来て、社内は大騒ぎになっています。

すぐにお詫びを入れに行ったほうがいいでしょうか。

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

商標登録した権利者には、その商標を独占的に使用する権利が認められています。

これを侵害された場合、侵害行為を止めさせるための強力な
「武器」
を使用できます。

具体的には、無断で他人が土地に入ってきた場合に
「出て行け」
と言うように、侵害行為の差止め請求ができ、損害が発生していれば
「罰金を払え」
と損害賠償を請求できます。

さらに、
「侵害行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な措置の請求」
という手段もあります。

これは、たとえばエルメスの偽物が作られた場合に、その偽物をすべて廃棄させるようなものです。

今回の場合、
「海外ではすでに流行り始めているサービスコンセプトの名称」
ということなので、その名称が一般的に使用されている普通名称である可能性があります。

普通名称は識別性がないため、商標として保護されないことがあります。

これは、
「これはあんたの土地ちゃう、みんなが使える公共の広場やで」
というような状況に似ています。

したがって、相手の商標自体が無効である可能性があり、その場合は商標の登録を取り消す手続き
「無効審判」
を請求することが考えられます。

通知書に驚いてすぐに謝りに行く必要はありません。

まずは相手の商標が本当に有効かどうかを慎重に検討しましょう。

商標が普通名称などで識別性がない場合、無効審判を請求して相手の商標登録を無効にすることができるかもしれません。

以前、私が関わったケースでも、相手が商標登録を盾にして脅してきましたが、こちらが
「その商標は普通名称で識別性がないため無効だ」
と主張すると、相手は譲歩しました。

結果として、ライセンス契約を結び、損害賠償を受け取ることができました。

このように、すぐに謝罪するのではなく、まずは冷静に法的な立場を確認し、相手の主張が有効かどうかを見極めることが重要です。焦らずに対策を講じましょう。

詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/79717

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02045_登録した商標を無断で使って他人が書籍を出版している!(教えて!鐵丸先生Vol. 57)

<事例/質問> 

登録した商標と同一のネーミングで、赤の他人が勝手に書籍を出版しています。

登録の際に指定した商品の区分にも書籍制作は入っています。

勝手にネーミングを使った書籍の紹介と称して、パクった人間がテレビに出演したりもしています。

どういう対策を取れますか。

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

商標登録をしている権利者には、その商標を独占的に使用する権利が認められています。

この権利を侵害された場合、権利者は侵害者に対して法的手段を取ることができます。

たとえば、無断で土地に侵入してきた不審者に対して
「出て行け」
と言うのが侵害行為の差止め、
「カネを払って償え」
と言うのが損害賠償請求です。

これらは権利を守るための強力な
「武器」
となります。

今回の場合も、まずは相手に対して商標権侵害を指摘し、警告を行うことが必要です。

商標権侵害に対する具体的な対応策としては、侵害行為の差止めや損害賠償請求が考えられます。

また、
「侵害行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な措置の請求」
という法的措置もあり、これはたとえば違法に作られた商品をすべて廃棄させるといったものです。

しかし、商標の無断使用者は、自分が他人の権利を侵害していることに気づいていないことが多いです。

そのため、
「あなたが使用している名前は私の商標を侵害しています」
ということをまず知らせることが重要です。

これを伝えるだけでも、相手が侵害を認識し、話が進むことがあります。

この武器を使った警告と話し合いで解決を目指し、話し合いでも埒があかない場合には、訴訟を提起することになります。

しかし、訴訟を起こすと労力とコストが大きくかかるため、現実的な解決策として、ライセンス契約を結んで使用料を得る、または商標権を買い取ってもらうなどの交渉をして、落とし所を探すのが現実的な手法です。

詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/77667

※「教えて!鐵丸先生」のコーナーは、番組の4番です

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02044_裁判で裁判官同士の意見が割れて大喧嘩・トラブルになることはないの?(教えて!鐵丸先生Vol. 56)

<事例/質問> 

裁判で、裁判官同士の意見が割れて、大喧嘩したり、モメてトラブルになったりしないんですか?

微妙な裁判とか、普通に意見が割れて、揉めそうな気がするのですが。

あるいは上司みたいな方とか東京高裁とか最高裁とか地裁所長さんから
「君、あんな判決だめだよ。出世出来ないよ」
と嫌味言われるとかないんでしょうか?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

裁判官は完全に独立した存在であり、上司や親会社のような存在はありません。

判断内容について誰からも文句を言われることはなく、逆に上司の立場の人が裁判官に干渉することは厳しく制限されています。

憲法第76条第3項には
「すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される」
と規定されており、裁判官は誰の命令にも従わず、独立して職務を遂行することが保障されています。

この独立性は絶対的であり、地裁のヒラ裁判官であっても、地裁所長や高裁長官、さらには最高裁長官、内閣総理大臣や天皇陛下、アメリカ合衆国大統領であっても、裁判官の判断に介入することは許されません。

裁判官は、まさに
「天下御免の超法規的存在」
の如く、誰の指示も影響も受けずに、地裁所長に媚びへつらうことなく、高裁長官の意向も無視して、最高裁の老人たちの感受性も踏みにじり、総理大臣や国会議員など歯牙にもかけず、天皇陛下やアメリカ大統領に楯突く結果になっても、自分の経験則と感受性に基づいて判決を下すことができるのです。

日本の裁判制度においては、約3000人の裁判官がそれぞれ独立した
「専制君主」
として法を解釈し運用する権限を持っており、この体制が実際に存在しています。

裁判官は、まるで各自が小さな王国を治めるかのように、独立した権限で法律の解釈と事件への適用を行います。

このため、裁判官同士の意見が割れることはありますが、それが直接的なトラブルや喧嘩に発展することはほとんどありません。

むしろ、異なる視点からの議論が行われることで、より公正で慎重な判断が導かれるのです。

歴史的な例として
「平賀書簡事件」
があります。

1970年代に札幌地裁で進行していた
「長沼ナイキ訴訟」
に関連して、札幌地裁所長だった平賀健太氏が、担当裁判長の福島重雄氏に訴訟判断についてのアドバイスをメモで渡しました。

この行為は、裁判官の独立性を侵すものとして大問題となりました。

平賀所長の行動は、憲法第76条第3項に違反するものであり、後に注意処分を受けました。

「長沼ナイキ訴訟」
とは、航空自衛隊が北海道にナイキ地対空ミサイル基地を建設しようとした際、地域住民が保安林解除の違法性を訴えて提訴した事件です。

住民は
「保安林解除は違法であり、基地建設には公益性がない」
と主張しました。

この事件で福島裁判長の合議体がどのような判断を下すかが注目されていましたが、平賀所長は
「原告の訴えを却下するように」
と示唆するメモを渡したのです。

この事件で注目すべきは、福島裁判長が平賀所長の指示を無視し、逆にそのメモを公開したことです。

結果として
「平賀書簡問題」
として社会的に大きな話題となりました。

この事件は、裁判官が独立して職務を行うことの重要性を再確認させるものとなりました。

このように、裁判官は独立して職務を行うことが求められ、外部からの干渉を受けることなく、自らの良心と法律に基づいて判断を下します。

日本の裁判制度において、裁判官はその独立性と専門性をもって法の公正な適用を担う役割を果たしています。

詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/76125

※「教えて!鐵丸先生」のコーナーは、番組の4番です

【補足】
番組では、
「裁判長の意見が重視される傾向があり、陪席裁判官が裁判長の意見を尊重する形で判決が出されることが多いとされている」
という、筆者を含めた法曹一般の経験則に基づき、お話しております。
ただ、法律上、形式上、理論上は、
「合議割れ」
という事態ないし状況を想定し、これに対する措置は規定されていますので、補足しておきます(上記のとおり、そのような現象が発生したことは、少なくとも筆者については、寡聞にして知りませんが)。

「合議割れ」
「合議割れ」
とは、裁判官が集まって行う合議審において、各裁判官の意見が分かれることを指します。
俗に
「合議割れ」
と呼ばれるこの現象は、裁判官たちが全員同じ結論に達しない場合に起こります。
合議審では複数の裁判官が1つの事件について話し合い、判決を出しますが、その中で意見が一致しないことも生じえます。

下級裁判所における合議割れの取り扱い
下級裁判所では、合議審の内容を秘密にしなければならないとされています(裁判所法75条2項)。
このため、形式上は意見の分かれた判決を出すことは認められていません。
実際に合議割れがあったかどうかは、担当裁判官以外の人には知ることができない仕組みになっています。

「合議割れ」が生じた場合の決定方法
下級裁判所では、裁判の結論は過半数の意見に基づいて決定されます(裁判所法77条1項)。
「請求認容という点については意見の一致をみたものの、認容するべき請求金額について3人の裁判官がそれぞれ異なる意見を持った」
という場合、数値については中央値を採用します。具体的には、1億円、100万円、1万円という意見が割れた場合、中央値である100万円が採用されます(裁判所法77条2項1号)。
平均値ではない点に注意が必要です。

刑事事件における「合議割れ」
刑事事件において、意見が3つに分かれた場合、被告人に不利な順に並べたときに真ん中の意見を採用します。
例えば、無期懲役、懲役5年、無罪という意見が割れた場合、懲役5年が採用されます(裁判所法77条2項2号)。
5人の裁判官の意見が3通り以上に分かれ、いずれも過半数に達しない場合も、中央値(真ん中)の意見が採用されます(裁判所法77条2項)。

最高裁判所における「合議割れ」
なお、最高裁判所では状況が異なります。
最高裁判所では、長官も含めて全ての裁判官が対等な立場にあり(裁判所法11条)、合議割れが明示された判決が出されることがあります 。
そして、法廷意見とは別に、各裁判官の個別意見(補足意見、意見、反対意見)を判決文に表示することが認められています。
これは、下級裁判所とは異なり、各裁判官の意見が公開され、モメている様子をあえて晒すことで、
「きちんと意見を戦わせてもらっているんだ」
と国民に納得してもらい、判決の透明性を高めるためです(下級審で同じことをやると、敗訴した当事者が「なんだよ、裁判官同士でモメてんだったら、もっと徹底的に調べろよ」と不満を募らせる原因となり、却って判決に対する信頼が低下し、上訴が頻発し、裁判所の機能にダメージが生じかねません。ですので、法律審である最高裁に限定している趣旨だと思われます)。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02043_裁判所が下す判決で変な判決やおかしな判断はあるか?なぜ出るのか?(教えて!鐵丸先生Vol. 55)

<事例/質問> 

プロの弁護士として、裁判所が下す判決で、変な判決とかおかしな判断とかってありますでしょうか?

それってどうしてそんな判決が出るのでしょうか?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

裁判所の判決には、一般の感覚からすると変わったものやおかしな判断に見えるものが確かにあります。

これは、裁判官が独立して職務を行い、自分の判断で判決を下すことができるためです。

憲法第76条第3項では
「裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される」
と規定されています。

裁判官はその良心に従って判断を下すことが求められており、誰の指図も受けません。

たとえば、私立小学校で学級委員を決める際に、生徒の住む地区によって投票権を不平等に配分する教師がいたら、その教師は解任されるでしょう。

しかし、日本の国政選挙では、鳥取県や島根県などの人口が少ない地域の有権者が、東京都や神奈川県などの都市部の有権者に比べて相対的に多くの票を持っています。

このような不平等が長年にわたり続いていますが、最高裁判所は
「違憲とは言えない」

「違憲だが重大ではない」
と判断しています。

このような判決が出る理由の1つは、裁判官が専門的な視点から法律を解釈し、判断しているからです。

法の専門家としての視点を重視することで、時には一般の感覚とずれることがあります。

その結果、
「変な判決」
と受け取られることがあるのです。

また、裁判官の選定プロセスも影響しています。

裁判官は司法試験に合格し、その後の研修を経て任命されますが、選挙で選ばれる国会議員とは異なり、民主的な基盤がありません。

そのため、国民の意見や感覚と異なる判決が下されることもあります。

さらに、最高裁判所の裁判官に対する国民審査は形だけのもので、実質的な影響力はほとんどありません。

裁判官は、独立して判断を下すことができる特権的な立場にあります。

これが、時に奇妙に見える判決を生む背景です。

たとえば、江戸時代の
「御用商人」
が幕府から特権を受け、他の商人とは異なる扱いを受けたように、裁判官もまた法の解釈において特別な権限を持ちます。

そのため、裁判官の判決が一般の常識から外れて見えることがあるのです。

現在、このような投票価値の不平等や裁判官の独立性に関する問題に対して改善の動きがありますが、その進展には時間と努力が必要です。

法の適用においては、裁判官の独立性と専門性が重要な要素である一方で、その判断が一般の感覚と異なる場合があるという点を理解することが求められます。

詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/74672

※「教えて!鐵丸先生」のコーナーは、番組の4番です

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02042_裁判に負けたくないが、資金に余裕がない(教えて!鐵丸先生Vol. 54)

<事例/質問> 

裁判にはお金がかかる、と言われますが、逆に、お金がない企業や、本業のためのお金を裁判に回すことが出来ない企業は、どうすればいいのでしょうか。

あるトラブルがあって、どうしても負けたくないのですが、他方で、それなりの弁護士の先生に長い期間活動してもらうと、多額の費用がかかることは理解出来ます。

弁護士費用をケチったところでうまくいかないような気がしますし、それで負けても悔いが残ります。

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

法テラスを利用して弁護士を紹介してもらい、費用の支援を受けることもできますが、これでは求められている解答にはなりません。

弁護士として、
「カネをけちりたいが、メンツを回復したい」
という気持ちは理解できますが、戦争に例えるならば、覚悟も資金もない状態で挑むのは無謀です。

メンツを回復するには、泥沼化した長期戦を戦い抜く覚悟と資金を持つ者だけに与えられる特権です。

戦争は、戦力で決まります。

そして、戦力とは、単なる腕力や瞬発力だけでなく、持続力、すなわち戦争を継続する経済力も含めた総合力です。

戦力=腕力+経済力(持続を可能とする資源保有力)

という式が成り立ちます。

兵糧がなければ、たとえ一時的に優位に立ったとしても、長期戦には耐えられず、いずれは白旗を揚げることになります。

さらに
「兵糧があっても、ケチる場合」
も負ける原因となります。

戦争において予算を厳格に管理しようとする発想は危険です。

戦争にはすべてを注ぎ込み、なりふり構わず資源を投入する覚悟が必要です。

たとえば、
「陣羽織を汚さないように戦う」
とか
「ジャングルでゲリラと戦うが高級なブーツを汚さないように」
といった姿勢では、まともな戦いになりません。

また、
「試合後のパーティーでの余力を残すことを考えつつボクシングの試合に臨む」
というような考え方も、戦争においては通用しません。

お金を持っていても、チビチビとケチりながら中途半端に戦う姿勢は、兵力の逐次投入という愚策の典型です。

これは戦争の禁忌中の禁忌です。

最初から譲歩を前提に対話を続け、相手の要求をある程度受け入れる方が、リスクを減らす賢明な対応と言えます。

「では、お金を持っていない人や、ケチりたい人は黙っていろということか?」
と思うかもしれませんが、残念ながらその通りです。

資金がないならば、戦争を避けるべきです。

トラブルの発生を防ぐために、リスクのある相手と関わらない、対話を通じて譲歩するなどの方法を検討することが賢明です。

結論として、戦争やケンカに勝つためには、全力を尽くす覚悟と資金が不可欠です。

資金を惜しむ姿勢は禁物であり、戦争ではすべてのリソースを投入する必要があります。

それでも勝てる保証はありませんが、少なくとも悔いのない戦いができるでしょう。

これが戦争やケンカの現実であり、勝利を目指すための真実です。

詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/72540

※「教えて!鐵丸先生」のコーナーは、番組の4番です

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02041_裁判の勝敗について(教えて!鐵丸先生Vol. 53)

<事例/質問> 

同じ事件であっても、依頼者によって、勝ち負けが変わる場合、というのはあるのでしょうか。

よく裁判に勝つ依頼者と、負けてばっかりいる依頼者に別れたりするものなのでしょうか。

どうやったら、事件やトラブルに遭っても、勝つ依頼者になれますか。

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

裁判は
「殴り合い」
ではなく
「戦争」
に似ています。

腕力で勝敗が決まる
「殴り合い」
とは異なり、
「戦争」
は戦力、つまり経済力や戦争継続能力が求められます。

強い依頼者は、資金的な余裕があり、長期戦にも耐えられる人です。

資金があれば、優秀な弁護士を集めることができ、裁判に負けても他の方法で戦い続けることが可能です。最終的には、相手が経済的に疲弊して降参することもあります。

例えば、ある依頼者は契約書の偽造を巡る裁判で地裁・高裁・最高裁と3連敗しました。

この契約書は従業員が偽造したもので、依頼者は無関係だと主張しましたが、裁判所もその見解に同調しました。

しかし、この依頼者は十分な予算を持っていたため、戦争を続けることができました。

次に、偽造した従業員を不法行為で訴え、会社も使用者責任で追及しました。

しつこく戦い続けた結果、相手は根負けし、和解金を支払うことで解決しました。

勝つ依頼者になるためには、まず資金が必要です。

資金がない、または資金を惜しんで使わない依頼者は、裁判で勝つことが難しいです。

まるで
「高級なブーツを汚すな」
と言われながら、ジャングルでゲリラと戦うようなものです。

戦争には予算管理を持ち込むべきではありません。

すべてのリスクを覚悟し、資源を惜しまず投入することが必要です。

また、経済力が不足している場合は、工夫が求められます。

裁判という戦争で重要なのは、文書や記録といった証拠です。

約束内容、履行状況、相手の不義理、不誠実な対応、こちらの正当性や被害状況など、すべてを
「ミエル化・カタチ化・言語化・文書化・フォーマル化」
しておくことが大切です。

これらの事務資源を整備することで、裁判での勝利が見込めます。

役所や銀行が訴訟に強いのは、資金だけでなく、正確な文書や記録を大量に持っているからです。

詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/70918

※「教えて!鐵丸先生」のコーナーは、番組の4番です

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02040_勝てる事件のポイント(教えて!鐵丸先生Vol. 52)

<事例/質問>

勝てる事件と負ける事件の違いって、どんなところにポイントがありますか。

勝てるようにするには、どうすればいいのでしょうか?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

勝てる可能性が高い事件を
「スジのいい事件」
と呼びます。

これは、主張内容が裁判所にとって説得力があるという意味です。

私は、勝てる事件には
「スジ」
「スワリ」
「ブツ」
の3つの要素が揃っている必要があると考えています。

1つ目は「スジ」(ロゴス・論理面)で、主張内容が法律的に筋が通っていること、すなわち法的論理性があることです。

2つ目は「スワリ」(パトス・具体的妥当性)で、事件の構図として主張内容が社会的・経済的に妥当であること、つまり結論の妥当性です。

3つ目は「ブツ」(エトス・信頼性・確実性)で、主張や背景事情に関して明確な証拠があり、それによって相手の主張を崩せる材料が揃っていることです。

これらの要素がすべて揃っている事件は稀であり、揃っているならばそもそも大きな争いにはなりにくいです。

どれか1つが欠けている場合も多く、例えば法的に弱い主張でも、具体的妥当性を強調して主張をもっともらしく構築することがあります。

また、直接証拠がなければ、間接証拠を用いて立証を試みます。

しかし、勝てない事件を勝てるようにするのは非常に難しいことです。

重要なのは、揉めたときに備えて証拠を準備しておくことです。

さらに、相手が約束を破る場合を想定して、証拠を意識しつつ、約束内容や話し合った内容、状況を
「ミエル化・カタチ化・言語化・文書化・フォーマル化」
しておくことが大切です。

詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/69365

※「教えて!鐵丸先生」のコーナーは、番組の4番です

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02039_証人尋問の前、クライアントへの助言は?(教えて!鐵丸先生Vol. 51)

<事例/質問> 

鐵丸先生は証人尋問をされることがあると思いますが、証人尋問の前に、クライアントや証人にどんな助言をしていますか。

もしよければ、教えてください。

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

証人尋問の前には、以下の点について助言しています。

1 緊張しないこと

証人尋問の前に結果はほぼ決まっている。

勝ち筋なら、冷静に自分のストーリーを伝えることが大切。

負け筋の場合でも、感情に訴えて同情を誘うことが重要。

2 地味なスーツを着ること

服装は裁判所での印象を左右する。

派手すぎない、堅実なスーツを選ぶように。

3 ハンコを忘れないこと

ハンコを忘れると指印を押すことになり、これは少しおどろおどろしい印象を与えるかもしれない。

4 リラックスすること

証言は記憶テストではない。

リラックスして自分の言葉で話すことが大切。

5 陳述書をよく読むこと

事前に陳述書を確認し、記憶と違う部分や矛盾がある場合は、前日までに知らせるように。

6 裁判官をしっかり見ること

証言中は裁判官を見て、滑舌良く、はっきりと話すことが重要。

7 覚えていないことは正直に言うこと

記憶があいまいな場合は、その理由を含めて
「覚えていない」
とはっきり伝える。

8 反対尋問では間を取ること

質問と答えの間に3秒ほど間を置くことで、異議の機会を与えずに進行できる。

9 厳しい質問への対応

矛盾を指摘された場合は、
「事実でないように聞こえるかもしれませんが、私の言っていることは事実です」
と言い切る。

10 反対尋問は時間稼ぎを狙うこと

わざとゆっくり答えることで、相手の弁護士の時間を消費させる。

相手が焦ったら、さらにゆっくり答える。

11 裁判官の補充尋問に注意すること

裁判官の質問はわかりにくい場合があるので、
「何をおっしゃっているのかわかりません」
とはっきり伝えることが大切。

詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/67416

※「教えて!鐵丸先生」のコーナーは、番組の4番です

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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