01134_有事対応フェーズ>法務活動・フェーズ4>民商事争訟法務(フェーズ4A)>(1)紛争法務(治療法務)における2つの類型

企業法務における予防面で、級密な契約書の精査・作成や適正な内部統制システムの構築・運用等、性悪説に立って緻密なリスク分析と対応を行ったとしても、取引相手方が契約に記載された義務を遵守せず、契約条項に記載された義務を不当に争う行動に出たり、あるいは権利や法的立場をめぐって企業間に紛争が生じたり(契約事故・企業間紛争)、又は従業員個人が不当に暴走して企業が企業の法令違反行為に起因する不祥事に巻き込まれること(法令違反有事)を完全に抑止することは不可能です。

そして、このような形で企業が法務に関するトラブルに巻き込まれた場合、これを解決する法務活動(紛争法務、治療法務)も、企業法務の重要な内容として位置づけられます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

企業にとっては、契約事故・企業間紛争も企業の法令違反行為に起因する不祥事も、トラブルや有事状況としては同じですが、この表のとおり大きな違いが存在します。

運営管理コード:CLBP113TO114

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01133_予防対策フェーズ>法務活動・フェーズ3>コンプライアンス法務(フェーズ3B)内部統制システム構築・運用法務>(10)効果的推進のために

コンプライアンス法務の推進を内外に表明する企業は実に多く存在していますが、これら企業の実際の行動をみてみると、威勢のいい表明とは逆に、コンプライアンス確立のための法務体制確立に向けた具体的努力の形跡がほとんど窺えず、そのうち重篤な不祥事を発生してしまう、といったところが少なくありません。

コンプライアンス法務確立に向けた
「決意」
の中身ないし程度は、声の大きさではなく、具体的行動、すなわち、どれだけ予算と人員を確保したか、という点こそが重要な評価ファクターになります。

すなわち、
「コンプライアンス法務推進に向けたトップの決意の強さは、法務予算と法務人員の増額・増員の量に比例する」
というわけです。

無論、確保された予算と人員が効率的に運用されるためにも、コンプライアンス法務の推進にあたる実務責任者を明確に特定し、当該者の権限を十分確保することも必要です。

また、コンプライアンス法務を適切に遂行している企業の行動をみていると、推進の実務責任者がこまめに情報収集していることが窺えます。

正しい情報なきところに適切なルールは生まれません。

その意味では、担当者の情報収集力、法令情報のみならず企業運営上の細かな情報をどこまで収集し整理しているか、がコンプライアンス法務確立の成否を左右するといっても過言ではありません。

最後に、明瞭なルール策定もコンプライアンス法務を推進する上で重要です。

コンプライアンス法務においては、企業活動の様々な側面に対して、可視化・文書化・ルール化・マニュアル化が行われていきますが、当該活動においては、グレーゾーンやケースバイケースを極力排し、明確な線引きによる原則(ブライト・ライン・ルール)を明示することが肝心です。

企業不祥事の発生原因のほとんどは、
「可視化・文書化・ルール化・マニュアル化されていない操業・活動分野において、現場の裁量が幅を利かせ、長年の慣行が優先し、知らない間に法の定めたファウルラインを超えてしまう」
というシナリオを辿るケースがほとんどです。

こういう状況を改善するためにも、裁量や慣行を極力なくすことが重要であり、これらの温床となるグレーゾーンやケースバイケースルールを極力排するという姿勢が重要になってきます。

運営管理コード:CLBP111TO112

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01132_予防対策フェーズ>法務活動・フェーズ3>コンプライアンス法務(フェーズ3B)内部統制システム構築・運用法務>(9)会社法に基づく内部統制システム構築「決定」義務との関係

会社法においては、大会社は、内部統制システム構築の決定を取締役会で決定することが義務づけられています。

実際、上場企業は会社法施行に合わせて、内部統制システムの構築を取締役会で決定し、その旨を有価証券報告書等にも記載しています。

この決定義務は、形式的手続の面について述べているだけであり、取締役会で所要の決定をしさえすれば免責されるというものではなく、実質的要件の具備されたシステムの適正な構築・運用が求められていることはいうまでもありません。

ここで、
「実質的要件の具備された内部統制システム」
とは、大和銀行ニューヨーク支店事件判決のいう
「不正行為を未然に防止し、損失の発生及び拡大を最小限に止めるため」
「そのリスクの状況を正確に認識・評価し、これを制御するため、様々な仕組み」
を組み合せることにより実現される
「効果的なリスク管理体制」
をいい、性善説に立って倫理教育を施すものでは不十分であり、性悪説に立ったリスク・アプローチによる合理的・科学的な管理の仕組みである必要があります。

運営管理コード:CLBP111TO111

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01131_予防対策フェーズ>法務活動・フェーズ3>コンプライアンス法務(フェーズ3B)内部統制システム構築・運用法務>(8)具体的運用実務>利益相反の回避

企業の顧間弁護士が内部通報処理窓口を務めるため、通報にかかる事案によっては、利益相反の状況に追い込まれるリスクがあります。

すなわち、
1 通報者が「実名やこれにつながる情報」の秘匿を要請したものの企業が当該情報の開示を求める場合や、
2 通報にかかる事案を処理・解決する過程において通報者と企業との利益相反が生じる場合など、
企業との間で委任関係に立つ顧問弁護士が進退両難の地位に陥る事態が生じうるのです。

実際、内部通報処理を巡る利益相反に関しては、下記のような事件が発生しています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

この点、
「1 通報者が実名やこれにつながる情報の秘匿を要請したものの企業が当該情報の開示を求める場合」
における問題に関しては、内部統制監視センターの仕組み上、通報者が匿名通報を選択しうるので、すでに解消されています。

次に、
「2 通報にかかる事案を処理・解決する過程において通報者と企業との利益相反が生じる場合」
における問題に関しては、内部統制監視センターは、センターを利用する通報者に対して下記のような断り書きを明記することにより、利益相反問題が生じることを回避しています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01130_予防対策フェーズ>法務活動・フェーズ3>コンプライアンス法務(フェーズ3B)内部統制システム構築・運用法務>(8)具体的運用実務>評価証明書の発行

利用企業の中で、金融商品取引法24条の4の4(日本版SOX法)に定める内部統制監査の実施が義務づけられている上場企業に対しては、
「内部統制監視センターが、法令で定める内部統制構築・運用義務の履行のあり方として、適合する」
旨の評価意見書を提供し、内部統制監査を支援します。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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01129_予防対策フェーズ>法務活動・フェーズ3>コンプライアンス法務(フェーズ3B)内部統制システム構築・運用法務>(8)具体的運用実務>内部統制監視センター運用の仕組み

内部統制監視センターを導入する企業においては、まず、内部通報窓口設置規程を整備します。

その上で、利用企業所属の役職員に対して同センター利用案内を告知しますが、その際、

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

などと付記し、
「企業内部の不祥事対応は企業内自浄を原則とする」
旨のルールを明確化し、
「『企業不祥事を発見した役職員が突然外部へ公表するなどの行動を取ることによって、企業が深刻なダメージを被る事態』の回避」
に向けた布石とします。

利用企業所属の役職員は、当該規程及び内部統制監視センター利用規約に基づき、実名あるいは匿名により、自身が企業内部において認知した不祥事ないしその萌芽たる事実の通報を、インターネットを通じて24時間いつでも内部統制監視センターに通報することができます。

その際、匿名通報に関しては、通報者の意図の把握が困難であるとともに、通報受理後の調査や対応に限界が生じます。

そこで、通報者が匿名通報を選択する可能性については否定しないものの、匿名通報に内在る限界を事前に告知しておくべく、利用企業所属の役職員に対しては、

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

という趣旨の告知も併せ行います。

弁護士には厳格な守秘義務が課せられており、同センター自体が堅牢なセキュリティーシステムにより構築されているため、不祥事情報を含む通報企業の秘密が漏洩する危険はありません。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

内部通報がなされた場合、通報を受理した弁護士法人は、内部通報窓口を運用する際に多くみられるナンセンスレポート(人事その他処遇に関する不平・不満や、社内の特定の人間関係の噂など、非法律的な通報)を排除します。

他方、適切な通報に関しては、弁護士法人は、問題の緊急性と重篤性という2つの要素を判定し、これらの判定に関するショートコメントを付記した報告書を作成します。

そして、これを、依頼企業の経営陣(あるいは内部監査室等コンプライアンス問題所掌部署)に送付します。

なお、弁護士法人は、依頼企業の要請に基づき、内部調査、損害の回避・予防、すでに損害が発生している場合における損害の軽減化措置、首謀者等の懲戒手続の遂行を代理し、あるいは支援します。

以上のような仕組みを通じて、企業内の不祥事は、萌芽段階で、外部に漏洩することなく、企業内の自浄プロセスにより、抑止・解決していくこととなります。

運営管理コード:CLBP105TO107

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01128_予防対策フェーズ>法務活動・フェーズ3>コンプライアンス法務(フェーズ3B)内部統制システム構築・運用法務>(8)具体的運用実務>内部統制監視センター

弁護士法人畑中鐵丸法律事務所では、
「金融商品取引法24条の4の4に準拠対応した、企業から独立した匿名内部通報システム」
(「内部統制監視センター〔商標第5357112号〕」)を構築し、内部統制構築を義務づけられた上場企業向けサービスとして運用しています。

内部統制監視センターの目的としては、
1 企業不祥事を、その萌芽段階にて早期に発見する
2 通報により検知された企業不祥事ないしその萌芽たる事案は、外部に漏洩することなく、企業内の自浄プロセスを通じて、秘密裡に解決する
3 企業内不祥事について適切な通報窓口や処理フローを確立することを通じて、
「企業不祥事を発見した役職員が突然外部へ公表するなどの行動を取ることによって、企業が深刻なダメージを被る事態」
を回避する
4 内部統制監視センターの構築・運用を以て、会社法362条5項及び金融商品取引法24条の4の4(日本版SOX法)に基づく内部統制構築・運用義務を履行した事跡とし、内部統制監査に適切に対応する
といったものです。

本システム運用開始後すでに5年(2013年12月現在)を経過し、様々な実務的課題が生じましたが、都度これを克服することを通じてシステムを洗練してきました。

運営管理コード:CLBP104TO105

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01127_予防対策フェーズ>法務活動・フェーズ3>コンプライアンス法務(フェーズ3B)内部統制システム構築・運用法務>(7)内部通報制度>内部通報窓口

企業が内部通報窓口を設置することは、内部統制システム構築のツールとして不祥事予防にとって有益というだけではなく、企業不祥事情報をいきなり外部に流出させず、企業内の自浄的な解決を図ることができる、という意味で二重のメリットがあるということになります。

なお、内部通報窓口を設置し、運用すること以上に、企業内の法令違反行為に起因する不祥事等の通報への事後処理が重要です。

すなわち、不祥事情報を発見した後、意を決して不祥事情報を内部通報したにもかかわらず、企業が何らのリアクションもしなかった場合、当該従業員の士気や企業に対する信頼を低下させるとともに、従業員を外部機関への告発(内部告発・外部公表)に駆り立てることにつながるからです。

また、内部通報を受理した企業が何らの対応や対策もしない場合、当該不作為は
「書面により事業者内部へ通報しても20日以内に調査を行う旨の通知がない場合又は正当な理由なく調査を行わない場合」
に該当し、報道機関や消費者団体への告発行為(内部告発・外部公表)が正当化されることとなります。

いずれにせよ、内部通報窓口を設置する企業が従業員から不祥事情報の通報を受けた場合、次のような処理手順で対応することが求められます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01126_予防対策フェーズ>法務活動・フェーズ3>コンプライアンス法務(フェーズ3B)内部統制システム構築・運用法務>(7)内部通報制度>公益通報者保護法

公益通報者保護法は、通報先が企業内部の通報窓日か、行政機関か、報道機関等第三者機関かにより、
「公益通報行為」
として保護するための要件に差異を設けています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

以上のとおり、公益通報者保護法は、企業外部への即時の内部告発(この場合、企業不祥事情報が外部に流出し、企業としての危機状況を生じます)に一定の要件を課すということにより、間接的に、
「有効な内部通報の仕組みを有する企業に関しては、通報者はなるべく当該窓口を利用して、企業の自浄的解決に協力することが望ましい」
という法政策を表明しています。

企業が内部通報窓口を設置することは、内部統制システム構築のツールとして不祥事予防にとって有益というだけではなく、企業不祥事情報をいきなり外部に流出させず、企業内の自浄的な解決を図ることができる、という意味で二重のメリットがあるということになります。

運営管理コード:CLBP101TO101

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01125_予防対策フェーズ>法務活動・フェーズ3>コンプライアンス法務(フェーズ3B)内部統制システム構築・運用法務>(7)内部通報制度>仕組み

内部通報制度とは、企業内において、法令違反の事実ないしその予備・未遂段階の事実を知った者が、当該部門の指揮命令系統を通じてではなく、法務スタッフや顧問弁護士(契約法律事務所)等経営陣に直結した通報窓口に当該事実を直接レポートできる制度ないし仕組みをいいます。

内部通報制度を構築・運用するにあたって、まず、用語を整理しておく必要があります。

まず、
「内部通報」
とは、前記のとおり、法令違反事実等を知った企業の従業員が、企業内部での自浄的な法令違反状態の解消を目的として
「企業が指定した企業内部の通報窓口」
に事実をレポートすることであり、法令違反に関する事実が企業外部に出ることはありません。

他方、
「内部通報」
と似た概念として
「内部告発」
がありますが、これは、企業内部の従業員が
「企業の設置した内部通報窓口を経由せず」、
監督行政関や報道機関等外部の機関に自らが発見・認識した法令違反事実等を伝えることです。

すなわち、
「内部告発」
がなされると、企業内の企業の法令違反行為に起因する不祥事関連事実が外部に流出し、企業としては危機的状況に陥ることになります。

なお、内部告発行為に関しては、一定の要件を充足する内部通報や内部告発を
「公益通報行為」
として扱い、
「公益通報行為」
を行った従業員を解雇等してはならない、とする公益通報者保護法が施行されています。

そして、
「公益通報行為」
は内部通報も内部告発も含めた広い概念を構成しています。

これを整理するとこのようになります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

運営管理コード:CLBP100TO101

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