01074_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(5)法務スタッフ>企業内一般従業者(役職員)向け法務啓発活動

法務スタッフが企業内の中間管理職や一般従業員に向けて、法務啓発活動を行う場合があります。

内部統制を実践する上で、通報や監査と並んで、社内のコンプライアンス教育は、重要なツールとなっています。

社内法務教育を実施する上で気をつけなければならないことは、具体的に語るという点です。

「交通安全教育において最も教育効果が上がるのは、交通事故の状況を見せることである」
などといわれることがあります。

法律やルールは抽象的に記載してあるため、法学教育を受けたことも法律実務に携わった経験もない一般の企業内従業者に対して、抽象的な法令をそのまま伝えただけでは、意味ある内容として理解させることはできません。

したがって、
「自分たちの日常の活動の具体的にどの部分が法令により規制されており、これを無視した場合、具体的にどのような不利益が自身及び会社にふりかかるのか」
という点にまでかみ砕いて伝えるのが法務スタッフの業務となります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01073_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(5)法務スタッフ>トップマネジメント(経営意思決定機関)向け法務政策提言

代表取締役や常務会等の意思決定機関、取締役会のようなオーソライズ機関、いずれに対する啓発ないし政策提言であれ、
「物を申す」
べき対象者は法務スタッフにとっては指揮命令系統上の上位者であり、彼らは日々のビジネスジャシジメントに追われ、多忙なことは明らかです。

警告を行ったり、意見を具申すべき対象者がこのような状況ですと、抽象的な法令リスクを通りー遍の表現で伝えようとしても疎まれるだけであり、本質的なことが伝わる前にコミュニケーションが断絶してしまう場合があります。

このような状況を克服するためには、より具体的かつリアルにリスクを述べるような工夫が必要になります。

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01072_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(5)法務スタッフ>企業内従事者向け活動

法務スタッフの活動としては、以上のような個別事案における法務課題の発見と対応のほか、企業内従業者(役員や従業員)に対する契約事故・企業間紛争や企業の法令違反行為に起因する不祥事を予防するための法務教育・啓発活動を行うほか、同業他社の法務関連事故や監督行政機関のガイドライン、指導事項等に基づく法務リスクの告知・警告、法務政策の提言も含まれます。

そして、これらの活動は、啓発対象が一般従業員や中間管理職の場合と、 トップマネジメントの場合で、やや対応が異なります。

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01071_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(5)法務スタッフ>活動概要

法務スタッフは、法務責任者(法務マネージャー)の指揮の下、法務スタッフ(あるいは法務セクション)限りで、あるいは顧問弁護士(契約法律事務所)からの支援を得たり協働したりすることで、各種企業法務活動の実務、すなわち、法令管理における各種調査活動、文書管理、契約法務(取引法務)、コンプライアンス法務(内部統制システム構築・運用法務)、経営サポート法務、戦略法務等を実践していきます。

また、顧問弁護士(契約法律事務所)が実施する、民商事争訟法務(契約事故・企業間紛争対応法務)や不祥事等対応法務(企業の法令違反行為に起因する不祥事等対応法務)について、各活動の支援(証拠の収集や調査の補助)及び予算管理・活動管理を行います。

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01070_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(5)法務スタッフ>資質

法務スタッフに求められるべき資質としては、基本的な法的知識、提案能力、説明能力、バランス感覚がありますが、正確に定義すると
「教育や実務上の経験を通じて、最終的に、『法務責任者(法務マネージャー)に求められるべき各資質』を獲得すると期待されるに足りる潜在能力」
ということになります。

無論、法務セクションというチームの一員として、法務責任者(法務マネージャー)の指揮命令の下、チーム全体のパフォーマンス向上に貢献するというのが主なミッションとなりますので、
「部下としての基本的なわきまえができていること」
が前提となります。

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01069_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(4)法務責任者(法務担当役員や法務部長等の法務マネージャー)>取締役職とするか

「法務責任者(法務マネージャー)を取締役職とすべきか」
との問題に関してですが、私見としては、企業法務の重要性に鑑み、可能であれば法務責任者(法務マネージャー)を取締役職とし、兼任もなるべくさせない方がベターと考えます。

また、仮に法務責任者(法務マネージャー)が非役員の場合であっても、最低限取締役会出席権限、特定事業の中止勧告権限、法務予算権限等は付与されるべきと考えます。

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01068_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(4)法務責任者(法務担当役員や法務部長等の法務マネージャー)>資格

法務責任者(法務マネージャー)について、弁護士資格(ニューヨーク州弁護士資格等)や法学部卒業資格を求めるか否かという問題もありますが、もちろんかかる資格等があって特段不利あるいは有害ということはありません。

企業法務活動においては、最終的な法的判断や難解な法解釈は、社内で処理するのではなく、外部の専門家に委ねることが多いと思われますし、このような資格やバックグラウンドに固執する必要はないかと思われます。

特に、顧問弁護士(契約法律事務所)を多用し、定型的・類型的な処理以外の法務マターを全て外注委託するという企業に関しては、中途半端な知識や外部の弁護士に対する妙な対抗意識はむしろ有害であり、企業活動や問題の所在を迅速に発見し(課題発見能力)、これを社外の専門家に効果的に説明できるコミュニケーション能力と、委託先をうまく使いこなせる人間関係構築力の方が重要と考えます。

また、法務責任者の役割を考えますと、法務責任者の資質・人柄としては、視野の狭い職人気質の専門家ではなく、依頼部門や経営陣の知恵袋として、法の障害と事業ニーズとの接点を見出す柔軟性や現実性、さらには(知識ではない)知恵や創造性も要求されます。

加えて、法規制に明らかに抵触する事業に対する意見を求められたときなどは、ときに悪役となって、トップに対して言いにくいことを平然と言い放つ胆力も求められます。

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01067_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(4)法務責任者(法務担当役員や法務部長等の法務マネージャー)>資質

「法務部」「法務室」
等名称は様々ですが、一定の規模の企業には必ず法務専門のセクションが存在します。

法務責任者(法務マネージャー)は、企業法務上の意思決定に関わる重要なポジションですが、この責任者が保有すべき資質等は、次のとおり整理されます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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01066_企業法務活動の整理・体系化

企業法務活動の整理・体系化の概要を総括すると、次のようになります。

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01065_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(3)監視・監督・監査を行う代表取締役以外の法定諸機関

企業における意思決定や運営の合法性を確保する役割を担うものとして、取締役ないし取締役会、監査役ないし監査役会、委員会設置会社における監査委員会、少数株主といった会社法上の諸機関が存在します。

これら諸機関が、会社経営の合法性を確保するために稼働する場合、当該活動は法務的色彩を帯びることとなります。

もちろん、企業法務部門としても、法務活動に関わる場面が出てきます。

すなわち、監査役や取締役会等が会社運営の合法性をチェックするプロセスにおいて、当該機関からの要請に基づき、企業法務としてこれらに対して法的助言や監視・監督・監査業務遂行の支援を行う場合があります。

日本においては、長らく代表取締役と取締役会とは一体のものと考えられていました。

ところが、富士通において、2009年9月に辞任した扱いになっていた元社長が、2010年3月になって
「虚偽の理由に基づき、取締役会において辞任を迫られたが、当該辞任は法律上瑕疵がある」
として、辞任取消しを求める事件が発生しました。

また、時計メーカーのセイコーホールディングスにおいても、子会社の労働組合が経営陣に株主代表訴訟の前提としての提訴要求通知を出したことが発端となって、セイコー取締役会がセイコーと和光の経営トップを解任する事件が発生しています。

このように、日本においても、取締役会や監査役が、法務・コンプライアンス上重要な機能を担う場面が登場するようになっており、したがって、経営トップ以外の会社法上の諸機関も
「重要な法務・コンプライアンス遂行組織」
と認識されるべきです。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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