01969_任意整理と民事再生は別物その2_任意整理の課題

任意整理において、額と期間の問題はトレードオフ課題で、
・長期になると、債務者が楽だが、債権者は応じない
・短期になると、債権者は落ち着く可能性があるが、債務者は辛い
という状況です。

(債務者にとって)イージーなプランは、結果、債権者の大半が、そっぽを向く、という帰結を生みます。

一例を紹介しますと・・・

債務者側は、絞りに絞っても、どうにも返済原資が出せず、かつ、民事再生も絶対嫌、というケースがありました。

当方(債務者側)から、超長期の返済計画を提案せざるを得ず、債権者の拒否を承知で提案しました。

債権者側である相手方のいくつかは同意しましたが、相当数取り残しが出ました。

最終的に、
・強硬な政府系債権者は、時効停止を延々と迫ってきて、
・その他の債権者は、サービサーに売却後、債権者側が時効管理をミスって、
時効完成という帰結です。

結果としては、当方(債務者側)の意図通りに近い帰結となりましたが、何とも不安定な状況で、また、強硬な政府系債権者のウンザリするような不幸の通知(時効停止通知)に辟易する、ということになりました。

債務者側は、このような状況にも全く動じず、腹がすわっており、この帰結に感謝していましたが、切れ味の悪い、スッキリしない状況を受け入れることとなりました。

上記は、
「”長期”で、結果的に債権者は応じた」
一例ですが、稀です。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01968_任意整理と民事再生は別物その1

任意整理は、債権者の個別同意の集積体です。

和解契約の塊と考えてもいいでしょう。

契約自由の原則からすれば、どのような和解をしても自由、ということなのですが、
「債権者平等の原則」
から、返済原資を債権額に比例配分して、同じ期間で完済する、という制約が生じます。

また、契約相手が金融機関の場合、そのロジックに整合させないと、相手が拒否する、ということもあります。

そして、元本全額が、返済総額になります。

債権額をカットすることは、事実上無理です。

金融機関の立場では、 債権を放棄することは理由のない財産廃棄であり、背任と批判されかねないからです。

このような制約さえ守れば、設計の自由度はあり、イニシアチブを債務者が取れる、という利点があります。

他方で、民事再生は、裁判所が介入して、債権カットをしてくれる、という前提ロジックになります。

債権額はカットされるし、返済は短くなるし、債務者にとっては、いいことづくめです。

裁判所のお墨付きがあれば、債権者が無駄に抵抗することは少なく、同意採取も、楽です。

ただし、
「裁判所の介入」
というところに不確実性があるのは事実です。

ケースバイケースで一律解答はありません。

もっとも端的な方法は、カンニング、すなわち、(東京であれば)東京地裁20部への事前相談です。

詳細なシミュレーションの前提情報が必要であれば、(絶対性、確実性は保証できないものの)弁護士が、
「前提事実を整理したうえで」
事前相談を行うことは不可能ではありません。

なお、
「民事再生の際の再生計画がこうだから、任意整理の整理案もこうしろ、これで認めてくれ」
というロジックフローにはなりません。

任意整理と民事再生は別物だからです。

金融機関が再生計画を受け入れるのは、裁判所が関与し、
「公権力が債務者がズルや身勝手なことを言ってないかをチェックする」
という前提があるからです。

だから、
「債権額はカットされるし、返済は短くなるし、債務者にとっては、 いいことづくめ」
でありながら、金融機関も抵抗しないのです。

他方で、任意整理は、融資地獄に書いたとおり、債務者がゲームの主導権を握る、というゲーム環境は!その通りですが、金融機関としても立場があるので、裁判所という公権力が関わるわけではなく、在野の弁護士が平等性を担保してるだけの、言ってみれば、身勝手な与太話ですから、よほど合理性がなければ、応じ難い、という状況になりがちです。

すなわち、
・債務額のカットはしない
・返済期間も相当期間
というまとめ方でなければ、債権者にそっぽを向かれます。

ただ、そっぽを向かれても、それ以上債権者が現実的で効果的な対抗措置を取りにくい、というのは、やはり融資地獄に書いたとおりです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01967_未払残業代事件における裁判所の対処哲学その3_裁判所からしょっぱい対応を受けた「未払残業代事件」

保守的・体制寄りとかどうとかいう前に、未払残業代事件については、裁判所全体として、企業側にそうとう厳しい対応をしてくる、という認識を明確にもつべきです。

すなわち、
・労働時間はきっちり管理させ記録させる、
そして
・記録された時間どおり、単価を乗じた労賃はすべてきっちり払わせる。
・払わなければ、耳を揃え、利息をつけて強制的に払わせる。
・その紛議のプロセスで無駄な抵抗をしたり、事件の妨害をしたり、と悪質な態度で望めば、付加金(労働基準法第114条「裁判所は、第20条、第26条もしくは第37条の規定に違反した使用者又は第39条第6項の規定による賃金を支払わなかつた使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあつた時から二年以内にしなければならない。」)を食らわせ、
「倍付けペナルティー」
も払わせ、焼きを入れる。

昨今は、企業にとってそんな厳しい対応が標準化しています。

エリート街道まっしぐらの優秀な裁判官は、判決を書くことなど朝飯前のバナナスムージーですから、なめた対応をしていると、本当に判決をくだされ、付加金を食らうことにもなりかねません。

以上のことから、企業は、トレンドをしっかりと捉え、自分の置かれた状況を正しく認知・解釈し、裁判官が開示した心証を深刻に受け止め、楽観バイアスに冒されず、大事になる前に、和解での着地を目指して交渉にシフトすべきでしょう。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01966_未払残業代事件における裁判所の対処哲学その2_「未払残業代事件での企業受難時代」の背景

裁判所が人権擁護に目覚めた、という側面がないとは言い切れませんが、むしろ、昨今の
「未払残業代問題についての、徹底した労働者寄りの裁判所の対処哲学」
は、日本の産業界の未来を憂いた、エスタブリッシュメントとしての確固たる信念に支えられているものと思われます。

すなわち、無料でいくらでも働かせる人的資源があり、企業がこれに依拠して経営ができるとしましょう。

そうすると、企業は、経済合理性を追求することから、無限で無償の労働力に安易に依拠するようになります。

その結果、生産効率は改善されず、設備更新もされず、進化に取り残されてしまいます(ガラパゴス化)。

そりゃそうです。

タダでいくらでも動かせる資源があるのに、わざわざカネをかけて、別の稼働方法を考えたり、実行したりするなんて馬鹿なことをする企業はいないはずです。

しかし、そうすると、人的資源の高コストに悩まされた国において、生産効率が改善され、設備更新が進み、やがれ、技術格差が広がっていき、進化から取り残され(ガラパゴス化)、最後に、圧倒的な新技術、AI(人工知能)やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション。ホワイトカラーのデスクワークを、パソコン等に格納された自律型ソフトウェア・ロボットが代行・自動化するシステム)等が到来して、駆逐されてしまいます。

これは、鎖国によって進化から取り残された江戸幕府が、黒船によって一気に駆逐されたと同様の事態が生じる危険が生じる、ということを意味します。

人的資源は有限で有償の資源であり、しかも、今後枯渇し、ますます依存不能となります。

これを、経済的に認識させ、正しい環境認識・正しい負荷認識の下、改善・発展のための真っ当な努力をさせ、日本の産業社会を継続的に発展させるべきであり、これが遅れると、日本の産業社会が世界から取り残されることになりかねません。

労働者の人権が大切、という以上に、日本そのものを生き残らせるため、日本のエスタブリッシュメントは、必死の思いで、構造改革を進め、あるいは、企業に行動を変えさせるメッセージを伝えようとしているのだと思われます。

この現れとして、立法府や行政府としては
「働き方改革」
司法府としては
「違法残業の駆逐」
という体制方針として具体化されている・・・そう考えると、現在の労働課題のトレンドがよくみえてきます。

続きは、01967

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01965_未払残業代事件における裁判所の対処哲学その1_企業側に立つとはいいがたい状況

裁判所は労使問題において、
「常に、当然企業側に立つ」
とはいいがたい、独特の哲学と価値観と思想を有しているように思われる節があります。

著者の経験上の認識によれば、裁判所には
「会社の得手勝手な解雇は許さないし、従業員に対しては約束したカネはきっちり払わせる。他方で、従業員サイドにおいては、会社に人生まるごと面倒みてもらっているようなものだから、配置転換や勤務地や出向についてガタガタ文句をいったり、些細なことをパワハラとかイジメとかいって騒ぐな」
という考えがあるようにみえます。

実際、最近、各所で未払残業代請求事件が労働審判や労働訴訟として申立あるいは提起されているようですが、企業側が惨敗するケースが多く、ほとんどのケースで企業側の弁解は採用されず、払ってこなかった残業代を、耳を揃え、利息をつけ、さらには付加金というおまけまでつけて払わされています。

これは一体どういうことなのでしょう。

体制寄りで、法律家として人権感覚にやや乏しい(弁護士と比べて、という比較においてですが)裁判官が、残業問題で、突如、労働者の人権擁護に目覚めたのでしょうか?

続きは、01966

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01964_法律相談(有料)における畑中鐵丸法律事務所の助言マナー

畑中鐵丸法律事務所では、助言マナーとして、
・(特定の情報または知識や合理的事務フローを定めるルーティンタスクではない)態度決定課題等の正解がないタイプのテーマの助言については、必ず態度決定上の選択肢等に還元する
・選択肢に還元して、プロコン(長短所)情報を付して、最終態度決定はクライアントに委ねるという対応を徹底しています。

正解が存在しない課題について、あたかも正解があるかのような言い方をするのは、事実に反しますし、トラブルの元になります。

「正解が存在しない課題について、不確実性を前提に、リスクを発見・特定し、行動上の選択肢に還元し、フェアなプロコンアドバイスを添えて、顧客の選択や意思決定がよりよきものになるよう支援する」
これがプロフェッショナルのマナーだという哲学の下に事務所を運営しています。

当事務所は、
・常に保守的な想定をする
・常に顧客の判断を尊重する
・勝手な自己判断やバイアスを加えない
・勝ち負けや白黒ではなく「大事を小事に、小事を無事に」なるような早期の対処を提案する
ということを徹底し、このことにより顧客の支持と信頼を得ています。

よって、一方的で誘導的でしかも顧客の意見を先取りするようなアドバイスをすることはあり得ません。

顧客が一定の態度決定をした後は、当該態度決定を表現する際の方法論を助言することはありますが、これは顧客が選択した態度の意思実現の支援です。

我々は徹頭徹尾、自己責任原理による顧客選択の実現の支援に徹しており、代理人である我々が選択したり、代理人である我々が意思実現するものではありません。

(きちんとした費用をいただき正式な鑑定や意見書作成を受任すれば、もちろん、法的意見を形成し、表明することはありますが)
法律相談というコミュニケーションレベルでは、クライアントに行動の指示まですることはあり得ません。

「弁護士の指示にしたがったらさんざんな目に遭った」
などというリスクを避けるため、
・状況認知のお手伝い
・状況解釈のお手伝い
・ゴール設定のお手伝い
・ゴールと現状との間に存在する障害(課題)の発見・特定のお手伝い
・課題克服について、確立されたルーティンがあればそのご教示、非ルーティン課題(相手の出方に依存し、決定打や正解がない課題)については選択肢抽出とプロコン評価のお手伝い
に徹します。

それが、正式に法律相談のお申し込みをいただき、相談料を頂戴し、
「対価に見合ったサービス」
としてできる精一杯の範囲です。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01963_「ホニャララの訴訟に強い弁護士」「チョメチョメの分野で勝てる弁護士」の紹介を依頼をする前に考えるべきこと

「ホニャララに強い弁護士」
「チョメチョメの分野で勝てる弁護士」
というのは、弁護士の営業文句としてのファンタジーであり、属人的な選任で決定するような要素は極めて少ない、 と考えます(著者の四半世紀を超える程度の実務経験によりますが)。

訴訟や紛争事案対処というプロジェクトの特徴は、
・正解が存在しない
・独裁的かつ絶対的権力を握る裁判官がすべてを決定しその感受性が左右する
・しかも当該裁判官の感受性自体は不透明でボラティリティーが高く、制御不可能
というものです。

「正解が存在しないプロジェクト」
で、もし、
「私は正解を知っている」
「私は正解を知っている専門家を紹介できる」
「私のやり方でやれば、絶対うまくいく」
ということを言う人間がいるとすれば、それは、
・状況をわかっていない、経験未熟なバカか、
・うまく行かないことをわかっていながら平然をウソをつける邪悪な詐欺師
のいずれかです。

そもそも
「“絶対的正解が存在しないプロジェクト”と定義された事案」
については、正解を探求したり、
「正解を知っている人間」
を探求したりする、という営みは、全てムダで無意味です。

何しろ、
 「絶対的正解が存在しないプロジェクト」
と定義された以上、
「正解」

「正解を知っている人間」
は絶対見つからないのですから。

この場合、
「正解」
はありませんが、現実解や最善解なら想定・設定可能なはずです。

まず、
・(ひょっとしたら、プロジェクトオーナーにとって腹が立つような内容かもしれませんが)現実解・最善解を想定・設定し、
これを目指して、
・プロセスを設計・構築・実施するための協働体制を描けるか、
・感受性や思考や行動が予測困難なカウンターパート(相手方)である敵と裁判所という想定外要因が不可避的に介在するため、ゲームチェンジ(試行錯誤)も含めて、柔軟な資源動員の合意を形成できるか、
という点において、関係構築の是非が問われるべきかと思います。

「ホニャララの訴訟に強い弁護士」
「チョメチョメの分野で勝てる弁護士」
を紹介依頼をする前に、まず、
・正解がないプロジェクトであることを受容できるかどうか

・現実的な相場観としてどういうゴールを描いているか
・どういう協働体制を描いているか
・想定外要因に対する現実的な認識形成できるだけの思考の柔軟性や新規探索性・新規開放性や情緒の安定性といったチーム内のメンタリティが形成構築できるか
・柔軟な資源動員の合意が形成できるか(長期滞留型の消耗戦となることが想定されるが、その場合に適切な稼働費用を捻出できるような予算体制が構築できるか)
といった点を確認する必要があります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01962_判決後の心得

平時に聞くと、
「当たり前じゃないか」
と思うようなことでも、“訴訟事”の当事者になると、慌てるものです。

たとえば、”訴訟事”において、判決が出たとします。

まず、すべきことは、
「即時抗告の期限」
の確認です。

これこそ、
「当たり前じゃないか」
と思うようなことでしょうが、“訴訟事”の当事者になると、意識が届かないのが実情です。

もちろん、
「これでおしまい。絶対に不服申立てしない」
ということであれば、それはそれでよいのですが。

セカンドオピニオン(一審判決についてのコメント)を求める方が少なからずいるのは、
(相談者と顧問弁護士との関係性にもよりますが)

1 正しく状況を観察されていなかったり、
2 正しく展開予測を認識されていなかったり、
3 選択肢を提示されていなかったり、
4 各選択肢の意味や長短所の情報を伝えられていなかったり、
5 以上のほか、誤解されたまま何らかの選択決定をして、あとで悔いることになったり、

ということが、ままあるからです。

その意味では、少なくとも、
「いつ、選択肢が消失するか」
は、知っておくべきです。

この種の期限管理は、顧問弁護士から書記官に確認してもらうのがてっとり早いでしょう。

”訴訟事”において、最重要なのは、時間なのですから。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01961_顧問契約サービスの利点

問題を抱える企業では、多くの場合、弁護士に法律相談をする時点で、すでに、諸問題が同時多発的に発生しています。

相談を受けた弁護士は、状況解析の下、リスクを明確にし、法律空間における、空間の論理・構造・法則・展開予測上の経験則(相場観)をスタディした上で、”最過酷想定”と比較しての警戒レベルを測りつつ、クライアントが正しく制御範囲を高めた行動を先手で打てるよう、サポートをすすめていきます。

弁護士と顧問契約を交わす利点は、

0)(弁護士は)顧問先のビジネスモデルや状況や課題を先行して把握するので、問題が起こった場合の対応の初速が担保される

1)(詳細な事件や事故や状況の克明な解像度を実装した事実を前提としない、概括的な状況把握段階での、事件初期対応としての)一般的な相談ないし状況の顧客からの報連相(報告・連絡・相談)の対応窓口を提供

2)(詳細な事件や事故や状況の克明な解像度を実装した事実を前提としない、概括的な状況把握段階での、事件初期対応としての)一般的状況評価や一般的展開予測や一般的帰結相場観や一般的法的課題抽出や一般的法的課題の発見・定義や一般的かつ基本的な対処方針の提案

が、随時かつ迅速かつ無償で提供されることにあります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01960_「契約書の閲読と簡素なチェック」の前にすべき態度決定

弁護士は、顧問先から依頼される契約書の閲読と簡素なチェックについては、
「当該取引ないし契約書が典型的なものであり、異常性や極度に不利な条項の有無の指摘、難解で一般のビジネスパーソンには不明な箇所の理解の補充にとどまり、回数や頻度も(口頭での協議や助言に比べて)特段負担にならない」
という前提ないし条件において、口頭での協議や助言に準じる扱いで、顧問契約内のサービスとして受けることとなります。

他方で、典型的ではない契約の場合、また、要求事項が
「加筆や修正」
となると、
「事件・事案(プロジェクト)」
としての扱いになり、顧問サービスの範囲を超えます。

ドキュメント制御を担う場合と、そうでない場合とでは、負荷が異なるからです。

そして、
「事件・事案(プロジェクト)」
としての扱いになると、コストもさることながら、より慎重さが求められるので、時間という資源についての合意がされなければなりません。

その意味で、まず、たてつけとして、

1 「当該取引ないし契約書が典型的なものであり、異常性や極度に不利な条項の有無の指摘、難解で一般のビジネスパーソンには不明な箇所の理解の補充にとどまる」ことを選択するのか、

それとも、

2 費用や時間がかかってもいいので、「事件・事案(プロジェクト)」としての扱いとして、予算や時間の見積もりが先行する形で、きっちりとした進め方をするのか

という”トレードオフ課題”について、クライアント自身の考えを整理する必要があります。

端的に言うと、クライアントにおいて、
1 失敗してもいいので雑に進めるか
2 時間やコストをかけて、合理的かつ堅実に進めるか
という”トレードオフ課題”についての態度決定を明らかにしないことには、弁護士としてはエンゲージしようがない、ということになります。

<参考記事>
01948_契約書のチェックの工程

01950_契約書のチェックの工程その2

01951_契約書のチェックの工程その3_著作物制作

01952_契約書のチェックの工程その4_著作物制作

01953_契約書のチェックの工程その5_加筆修正

01954_契約書のチェックの工程その6_加筆修正例と、契約修正の意義と価値

01955_契約書のチェックの工程その7_加筆修正_5文字の大きさ

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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