02042_裁判に負けたくないが、資金に余裕がない(教えて!鐵丸先生Vol. 54)

<事例/質問> 

裁判にはお金がかかる、と言われますが、逆に、お金がない企業や、本業のためのお金を裁判に回すことが出来ない企業は、どうすればいいのでしょうか。

あるトラブルがあって、どうしても負けたくないのですが、他方で、それなりの弁護士の先生に長い期間活動してもらうと、多額の費用がかかることは理解出来ます。

弁護士費用をケチったところでうまくいかないような気がしますし、それで負けても悔いが残ります。

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

法テラスを利用して弁護士を紹介してもらい、費用の支援を受けることもできますが、これでは求められている解答にはなりません。

弁護士として、
「カネをけちりたいが、メンツを回復したい」
という気持ちは理解できますが、戦争に例えるならば、覚悟も資金もない状態で挑むのは無謀です。

メンツを回復するには、泥沼化した長期戦を戦い抜く覚悟と資金を持つ者だけに与えられる特権です。

戦争は、戦力で決まります。

そして、戦力とは、単なる腕力や瞬発力だけでなく、持続力、すなわち戦争を継続する経済力も含めた総合力です。

戦力=腕力+経済力(持続を可能とする資源保有力)

という式が成り立ちます。

兵糧がなければ、たとえ一時的に優位に立ったとしても、長期戦には耐えられず、いずれは白旗を揚げることになります。

さらに
「兵糧があっても、ケチる場合」
も負ける原因となります。

戦争において予算を厳格に管理しようとする発想は危険です。

戦争にはすべてを注ぎ込み、なりふり構わず資源を投入する覚悟が必要です。

たとえば、
「陣羽織を汚さないように戦う」
とか
「ジャングルでゲリラと戦うが高級なブーツを汚さないように」
といった姿勢では、まともな戦いになりません。

また、
「試合後のパーティーでの余力を残すことを考えつつボクシングの試合に臨む」
というような考え方も、戦争においては通用しません。

お金を持っていても、チビチビとケチりながら中途半端に戦う姿勢は、兵力の逐次投入という愚策の典型です。

これは戦争の禁忌中の禁忌です。

最初から譲歩を前提に対話を続け、相手の要求をある程度受け入れる方が、リスクを減らす賢明な対応と言えます。

「では、お金を持っていない人や、ケチりたい人は黙っていろということか?」
と思うかもしれませんが、残念ながらその通りです。

資金がないならば、戦争を避けるべきです。

トラブルの発生を防ぐために、リスクのある相手と関わらない、対話を通じて譲歩するなどの方法を検討することが賢明です。

結論として、戦争やケンカに勝つためには、全力を尽くす覚悟と資金が不可欠です。

資金を惜しむ姿勢は禁物であり、戦争ではすべてのリソースを投入する必要があります。

それでも勝てる保証はありませんが、少なくとも悔いのない戦いができるでしょう。

これが戦争やケンカの現実であり、勝利を目指すための真実です。

詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/72540

※「教えて!鐵丸先生」のコーナーは、番組の4番です

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02041_裁判の勝敗について(教えて!鐵丸先生Vol. 53)

<事例/質問> 

同じ事件であっても、依頼者によって、勝ち負けが変わる場合、というのはあるのでしょうか。

よく裁判に勝つ依頼者と、負けてばっかりいる依頼者に別れたりするものなのでしょうか。

どうやったら、事件やトラブルに遭っても、勝つ依頼者になれますか。

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

裁判は
「殴り合い」
ではなく
「戦争」
に似ています。

腕力で勝敗が決まる
「殴り合い」
とは異なり、
「戦争」
は戦力、つまり経済力や戦争継続能力が求められます。

強い依頼者は、資金的な余裕があり、長期戦にも耐えられる人です。

資金があれば、優秀な弁護士を集めることができ、裁判に負けても他の方法で戦い続けることが可能です。最終的には、相手が経済的に疲弊して降参することもあります。

例えば、ある依頼者は契約書の偽造を巡る裁判で地裁・高裁・最高裁と3連敗しました。

この契約書は従業員が偽造したもので、依頼者は無関係だと主張しましたが、裁判所もその見解に同調しました。

しかし、この依頼者は十分な予算を持っていたため、戦争を続けることができました。

次に、偽造した従業員を不法行為で訴え、会社も使用者責任で追及しました。

しつこく戦い続けた結果、相手は根負けし、和解金を支払うことで解決しました。

勝つ依頼者になるためには、まず資金が必要です。

資金がない、または資金を惜しんで使わない依頼者は、裁判で勝つことが難しいです。

まるで
「高級なブーツを汚すな」
と言われながら、ジャングルでゲリラと戦うようなものです。

戦争には予算管理を持ち込むべきではありません。

すべてのリスクを覚悟し、資源を惜しまず投入することが必要です。

また、経済力が不足している場合は、工夫が求められます。

裁判という戦争で重要なのは、文書や記録といった証拠です。

約束内容、履行状況、相手の不義理、不誠実な対応、こちらの正当性や被害状況など、すべてを
「ミエル化・カタチ化・言語化・文書化・フォーマル化」
しておくことが大切です。

これらの事務資源を整備することで、裁判での勝利が見込めます。

役所や銀行が訴訟に強いのは、資金だけでなく、正確な文書や記録を大量に持っているからです。

詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/70918

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02040_勝てる事件のポイント(教えて!鐵丸先生Vol. 52)

<事例/質問>

勝てる事件と負ける事件の違いって、どんなところにポイントがありますか。

勝てるようにするには、どうすればいいのでしょうか?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

勝てる可能性が高い事件を
「スジのいい事件」
と呼びます。

これは、主張内容が裁判所にとって説得力があるという意味です。

私は、勝てる事件には
「スジ」
「スワリ」
「ブツ」
の3つの要素が揃っている必要があると考えています。

1つ目は「スジ」(ロゴス・論理面)で、主張内容が法律的に筋が通っていること、すなわち法的論理性があることです。

2つ目は「スワリ」(パトス・具体的妥当性)で、事件の構図として主張内容が社会的・経済的に妥当であること、つまり結論の妥当性です。

3つ目は「ブツ」(エトス・信頼性・確実性)で、主張や背景事情に関して明確な証拠があり、それによって相手の主張を崩せる材料が揃っていることです。

これらの要素がすべて揃っている事件は稀であり、揃っているならばそもそも大きな争いにはなりにくいです。

どれか1つが欠けている場合も多く、例えば法的に弱い主張でも、具体的妥当性を強調して主張をもっともらしく構築することがあります。

また、直接証拠がなければ、間接証拠を用いて立証を試みます。

しかし、勝てない事件を勝てるようにするのは非常に難しいことです。

重要なのは、揉めたときに備えて証拠を準備しておくことです。

さらに、相手が約束を破る場合を想定して、証拠を意識しつつ、約束内容や話し合った内容、状況を
「ミエル化・カタチ化・言語化・文書化・フォーマル化」
しておくことが大切です。

詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/69365

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02039_証人尋問の前、クライアントへの助言は?(教えて!鐵丸先生Vol. 51)

<事例/質問> 

鐵丸先生は証人尋問をされることがあると思いますが、証人尋問の前に、クライアントや証人にどんな助言をしていますか。

もしよければ、教えてください。

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

証人尋問の前には、以下の点について助言しています。

1 緊張しないこと

証人尋問の前に結果はほぼ決まっている。

勝ち筋なら、冷静に自分のストーリーを伝えることが大切。

負け筋の場合でも、感情に訴えて同情を誘うことが重要。

2 地味なスーツを着ること

服装は裁判所での印象を左右する。

派手すぎない、堅実なスーツを選ぶように。

3 ハンコを忘れないこと

ハンコを忘れると指印を押すことになり、これは少しおどろおどろしい印象を与えるかもしれない。

4 リラックスすること

証言は記憶テストではない。

リラックスして自分の言葉で話すことが大切。

5 陳述書をよく読むこと

事前に陳述書を確認し、記憶と違う部分や矛盾がある場合は、前日までに知らせるように。

6 裁判官をしっかり見ること

証言中は裁判官を見て、滑舌良く、はっきりと話すことが重要。

7 覚えていないことは正直に言うこと

記憶があいまいな場合は、その理由を含めて
「覚えていない」
とはっきり伝える。

8 反対尋問では間を取ること

質問と答えの間に3秒ほど間を置くことで、異議の機会を与えずに進行できる。

9 厳しい質問への対応

矛盾を指摘された場合は、
「事実でないように聞こえるかもしれませんが、私の言っていることは事実です」
と言い切る。

10 反対尋問は時間稼ぎを狙うこと

わざとゆっくり答えることで、相手の弁護士の時間を消費させる。

相手が焦ったら、さらにゆっくり答える。

11 裁判官の補充尋問に注意すること

裁判官の質問はわかりにくい場合があるので、
「何をおっしゃっているのかわかりません」
とはっきり伝えることが大切。

詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/67416

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02038_サラリーマンを辞めて起業するために気をつけること(教えて!鐵丸先生Vol. 50)

<事例/質問>

FIREブームの影響で会社を辞めて起業した先輩がいますが、いきなり失敗して田舎に戻り、奥さんとも離婚しそうな状況です。

僕も起業を考えているのですが、失敗しないためにはどのような点に気をつければよいでしょうか?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

サラリーマンから起業する方が失敗する原因はいろいろありますが、主に3つの要因が挙げられます。

1つ目は、お金に対する意識が低すぎることです。

多くの人は学校や家庭で
「お金は汚いもの」
「お金に執着するのは邪悪で堕落している」
という考えを植え付けられてきました。

しかし、実際には成功したお金持ちはお金を大切にします。

彼らはお金を家族や自分の命よりも大事にすることさえあります。

お金に対してマイナスのイメージを持つ人は、起業してもすぐに失敗することが多いです。

潜在意識でお金を汚いと感じていると、ビジネスの重要な場面で妥協してしまうことになります。

2つ目は、他人を信じすぎることです。

ビジネスでの最高の信頼関係とは、相手をとことん信頼することではなく、適度な緊張関係を保つことです。

相手を監視し、ビビらせ、何か問題があれば即座に対処する姿勢が重要です。

これがビジネスにおける最高の信頼関係を築く方法です。

3つ目は、すべてを自分で抱え込むことです。

起業にはバディ(仲間)が必要です。

バディはバイアスチェックや認識の整理、ディスカッションのパートナーとして重要です。

しかし、パートナーはいない方がいいです。

責任者は一人で十分で、ビジネスの立ち上げには民主主義よりも独裁が有効です。

即断、即決、即実行には、みんなで話し合うよりトップダウンの方が効果的です。

また、メンターも慎重に選ぶべきです。

メンターによっては逆に利用されてしまうことがあります。

バディとは、絶妙なバランスで互いを補完し合う関係性が必要です。

以上の点を意識して、起業に挑むことをお勧めします。

詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/65840

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02037_反対尋問が不安(教えて!鐵丸先生Vol. 49)

<事例/質問>

今度、証人尋問があるのですが、反対尋問ってどんな感じなのでしょうか。

テレビドラマ等を見ていると、弁護士さんが鋭く切り込んでくるイメージがあり、不安です。

憂鬱になり、夜も寝られません。

何か、うまく切り抜けられるためのコツとかありますか?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

民事裁判における証人尋問は、テレビドラマのように弁護士が議論をふっかけたり、無知な証人をやり込めたりする場面ではありません。

証人は
「証拠方法」
すなわち
「証拠の道具」
「事実の痕跡が記憶された脳の記憶領域を確認する手続き」
です。

その結果が尋問調書に記録され、証拠資料として取り扱われます。

民事訴訟法では、尋問手続きがつつがなく運ぶように、証人尋問中に無意味で有害な行為が行われる場合には、反対当事者の弁護士が異議を申し立てることができます。

たとえば、弁護士が証人に意見を求めたり、困惑させようとしたりする場合、気の利いた弁護士は
「この質問は意見を求めていますので異議を申し立てます」
と具体的に述べて、裁判官に異議を認めてもらうようにします。

証人尋問の目的は、証人が記憶している事実を確認することです。

証人が意見を述べることは許されていませんし、証人尋問はクイズや記憶テストではないので、覚えていないことは
「忘れました」
と答えればよいのです。

証人尋問は
「記録(記憶)再生手続き」
であり、証人が知っている事実を再生するだけで十分です。

また、証言の際には、既に証拠として提出されている陳述書やメモを確認し、記憶を呼び覚ますことも可能です。

証人尋問は
「記録再生」
という即物的な手続きであり、弁護士が感情的に攻撃したり議論をふっかけることはありません。

証人は自分の知っている事実を正直に話すだけでよく、緊張する必要はありません。

詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/63960

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02036_証人尋問が不安です(教えて!鐵丸先生Vol. 48)

<事例/質問> 

弁護士さんに頼んでいる裁判がいよいよ大詰めで、来週、証人尋問があります。

弁護士さんは、
「これからが本番です。気合いれて準備しましょう」
といろいろリハーサル等をやってもらえるのですが、やればやるほど、緊張が高まり、不安で不安でしょうがありません。

リハーサル段階ですでにグッダグダで、弁護士さんからは
「このままでは負けてしまいますよ」と言われています。

昔のことを聞かれても、覚えていないことも多く、うまく答えられる気がしません。

どうしたらいいでしょう?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

証人尋問はただのセレモニーです。

一般には
「証人尋問は訴訟の最もドラマチックな場面」
とされますが、実際の民事訴訟では、事件の筋、すなわち勝敗は証人尋問開始前にほぼ決まっており、尋問はほとんどの場合セレモニーに過ぎません。

これは筆者の適当な感想ではありません。

弁護士会主催のセミナーで紹介されたデータによれば、民事裁判官のアンケートで
「証人尋問の後で心証が変更することはありますか?」
との問いに、7~8割近くの裁判官が
「尋問が終わっても心証の変更はない」
と回答しています。

まず、民事裁判官は証人尋問前に心証を決定しており、つまり
「どちらを勝たせるか」
を決めた上で尋問に臨んでいるのです。

また、大抵の事件では、証人尋問は裁判官に新しい事実を発見させる場ではなく、既に分かっている事実を確認する場です。最後に
「民事事件は関係文書を見れば、7~8割方は解決できる」
ということです。

訴訟に不慣れな弁護士や依頼者は証人尋問手続に入ると
「これから証人尋問!本番だ!」
と気合を入れますが、実際にはその時点で裁判官はほぼ結論を出しており、気合を入れるタイミングとしては遅すぎます。

つまり、尋問前に提出している文書の証拠(書証)が乏しければ、どんなに尋問で頑張っても無駄ということです。

裁判では、誠実さや正義や倫理が問われているわけではなく、約束があったかどうか、約束が実現されているかどうかを文書という強力な証拠で説明可能かどうかが重要です。

リラックスして臨むことが大切です。

顔色が悪い、うつむいていると嘘をついているように思われるので、元気よく、はきはきと話してください。

覚えていないことは
「忘れました」
と答えればよいのです。

これはクイズ番組ではありません。

5年前の昼食を覚えているほうが不自然です。

ただし、陳述書だけはよく読んでおきましょう。

特に、弁護士さんが適当に書いた場合、その矛盾を突かれると大変です。

詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/62418

※「教えて!鐵丸先生」のコーナーは、番組の4番です

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02035_お客様へのお詫びに念書を強要されたら(教えて!鐵丸先生Vol. 47)

<事例/質問> 

お店を経営しております。

実は、こちらの不手際があり、お客様にご迷惑をおかけしてしまいました。

お客様は激怒しているみたいですが、経営者である私が直接お詫びすることになりました。

念書にサインしてもらうから、ハンコをもってこい、と言われています。

こちらのミスであり、うまく収まるなら言う通り従おうと思っておりますが、何かアドバイスはあるでしょうか。

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

「念書を書け」
と言われても、そんなもの書く義務はまったくありません。

ですので、応答としては、
「ヤだ」
が正解です。

念書作成を要求された場合、私などは、
「念書、念書、念書ってさっきから何度も言っておられますが、そんなに念書がほしいの? こっちはイヤなんだけど、そちらがどうしても念書がほしいんだったら、東京地裁に、『これこれこういう念書を作成し、交付せよ』という訴訟を提起すればいいじゃないですか。そちらが訴えたら、こっちはこっちで、最高裁まで3回は争わせていただきます。万が一、最高裁で敗訴が確定し、さらに、確定判決に基づいてそちらが強制執行を申し立てたら、その段階で、おとなしく従ったほうがいいか無視するか、改めて、考えます」
と答えることにしています。

「念書? ヤだ」
といっても、相手が引き下がらないとします。

義務がないことを強く求めたら、強要罪に該当します。

ローマ法皇や皇族の方々のように、ジェントルかつエレガントに念書や詫び状をお求めになるのであれば問題ないでしょうが、詫び状をしつこく求めるような通常のケースですと、暴力や害悪の仄めかしを伴うので、強要罪ないし脅迫罪、少なくとも迷惑防止条例違反には該当するでしょう。

実際、滋賀県近江八幡市のボウリング場で店員に言いがかりをつけ土下座させた、
「元気が良くて、声の大きい、権利意識高めの舗装工のお兄さん」
がいらっしゃったのですが、このお兄さん、大津地裁で、強要罪に問われ、2015年3月18日、懲役8月の実刑判決を食らっておられます。

あまりしつこくやられたら、こちらが被害者として、警察を呼んで対処すればいいだけです。

いずれにせよ、
「訴えるぞ」
と、明らかに実現性のないハッタリかまされてビビるのもダメですが、
「念書書け」
と言われ、言うなりになって書くのもアホです。

もちろん、こんな対処法、学校で教えてくれませんし、そもそも、教師は知りません。親も知らないでしょう。

世の中、こういう、
「学校や親が教えてくれないが、生きていく上で、絶対知っておくべき、非常識なリテラシー」
がかなりの数存在するのです。 詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/60882

※「教えて!鐵丸先生」のコーナーは、番組後半、36分22秒以降から開始されます

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02034_内容証明が届いたときの対応(教えて!鐵丸先生Vol. 46)

<事例/質問> 

取引先とモメています。

相手は弁護士をつけたようで、内容証明郵便の通知が来ました。

いろいろ質問事項が書いてありますが、こちらとして認めると後々不利になるようなこともあります。

他方で、通知文書には文書が届いてから10日以内にて返答せよ、と書いてありました。

どうも受け取った総務部長が慌ててしまってあれこれ悩んだ挙げ句、届いたこと自体を社長の私に隠していて、何と、今日が回答期限です。

いい加減な回答をして、あとで裁判になって揚げ足取られてもこまります。どうしたらいいですか?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

まず、内容証明郵便が届いたからといって慌てる必要はありません。

内容証明郵便は、法的な効力を持つものではなく、ただの
「お手紙」
です。

DMやラブレター、怪文書と同じで、受け取ったからといってすぐに行動する必要はありません。

相手が設定した10日以内という回答期限も、一方的なものです。

そのような短期間での返答を求められても、こちらがそれに応じる義務はありません。

実際、こういった通知に対して急いで対応すると、後々不利になる可能性があります。

相手の要求に対しては、
「希望を与えず、絶望もさせず」
というように、冷静かつ慎重な対応を心がけるべきです。

たとえば、官僚の答弁や総理大臣の記者会見のように、巧みに対応することが求められます。

内容証明郵便には何の法的効力もないため、まずは慎重に状況を確認し、必要であれば専門家に相談しましょう。

慌てて返答することは避け、じっくりと調査を進める姿勢を示すことが重要です。

こちらが慌てる必要は全くありませんし、遅れても申し訳ないと思う必要もありません。

むしろ、相手が急ぐのであれば、訴訟を起こすなり明確な法的手段を取ってくるべきです。

訴訟を起こせないからこそ、内容証明郵便という中途半端な手段を使ってきているに過ぎないのです。

今回の返答としては、以下のように対応することが考えられます:

「~~~~~~」旨の常識では想定しがたい内容の内容証明郵便を受け取り、当方としても非常に困惑しております。
~~~~~との件について、突如、特段の法的根拠を示すこともなく、10日以内という短期の期間を区切った上で、「連絡せよ」などと要求されても、一般に期限内に対応することは困難を極めます。
まず、10日間という期限自体、貴方が一方的に設定したものであり、当方としては特段法的に拘束されるものではありませんので、したがって、貴ご主張の10日間との異常までに短期の対応期限については、こちらとしてはこれに応じる立場にはないということを先ずはご確認下さい。
当社としては、貴通知を受けましたものの、彼我の事実認識や法令解釈に大きな隔たりがあるため、今後の貴方との交渉については、慎重な対応をせざるを得ないところです。
本件書簡記載のご主張については、一応の調査を開始いたしますが、貴職らが一方的に定められた期間内に回答すべき具体的な法的根拠が明示されていないうえ、その内容が調査に時間を要するものであるため、当該期限に従うべき理由はないと、判断します。
通知人らといたしましては、一定の法令や義務に基づくものという趣旨ではございませんが、一定のお時間を頂いたうえで、本件書簡にかかる事項につき、検討させていただき、しかるべき対応をおってさせていただきます。
なお、お約束するのは、何らかの対応であって、貴ご要望の全部または一部に従うことを当然に意味するものではありません。
当然、貴ご要望に添いかねるとの対応の可能性もありますが、この点、予め、あしからずご了承ください。

このような返答をすることで、相手に対して冷静で慎重な対応を示しつつ、こちらの立場を守ることができます。

無理に期限内に返答する必要はありませんし、返答内容も慎重に選ぶべきです。

弁護士に相談しながら、次の一手を考えましょう。

詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/58335

※「教えて!鐵丸先生」のコーナーは、番組後半、35分12秒以降から開始されます

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02033_痴漢で逮捕された従業員を解雇できるか(教えて!鐵丸先生Vol. 45)

<事例/質問> 

従業員が、痴漢で逮捕されました。

今、勾留になっています。

弁護士がついて、お話を聞く限り、本人は無罪だ、冤罪だ、と争っているようです。

でも、ニュースで報道もされました。

当社は大変な迷惑を被っております。

すぐにでも解雇をしたいのですが、弁護士の先生は、人権派の先生で、解雇なんてとんでもない、とか言っておられます。

というより、本人は警察にいるのか拘置所にいるのか、どこにいるかもよくわかりません。

彼にどうやって伝えたら解雇は成立するでしょうか?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

従業員が、痴漢で逮捕され、今、勾留になっています。

弁護士の話を聞く限り、本人は
「無罪だ、冤罪だ」
と争っているようです。

でも、ニュースで報道もされました。

当社は大変な迷惑を被っております。

すぐにでも解雇をしたいのですが、弁護士の先生は、
「人権派の先生で、解雇なんてとんでもない」
とか言っておられます。

というより、本人は警察にいるのか拘置所にいるのか、どこにいるかもよくわかりません。

彼にどうやって伝えたら解雇は成立するでしょうか?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

「従業員が罪を犯して逮捕されたら即解雇」
という考えの経営者も多いかもしれませんが、実際にはそれほど簡単ではありません。

罪を犯して逮捕された場合、従業員が自主的に辞めるケースが多いですが、
「犯罪は悪いが、社員としては優秀だから定年まで勤めたい」
と主張された場合、強制的に解雇するのは難しいです。

特に無罪を主張している場合は、
「無罪推定の原則」
に反することから人権上の問題となります。

ところが、逮捕された従業員が保釈されたとしても、若い女性向けの情報サイトを運営する会社でその従業員が復帰するとなると問題です。

従業員が
「無罪推定がある」
とはいえ、被疑者としての立場で勤務を続けると、顧客や社内の信頼を損なう可能性が高いからです。

また、勾留が長引き、年休を消化した後に欠勤が続く場合も、会社としての適切な対応が求められます。

多くの企業では、起訴休職制度を就業規則で定めています。

これは
「従業員が刑事事件で起訴され、拘留されている間は休職扱いにする」
というものです。

通常の休職とは異なり、起訴休職は従業員が犯罪に関与し、それが会社の信用を損なう恐れがある場合に適用されます。

例えば、痴漢の疑いがかけられた従業員が勤務を続けることで会社の信用が傷つく恐れがある場合、会社は
「病欠」
扱いではなく
「起訴休職」
として明確に対応することが重要です。

この間、従業員は労務を提供できないため、賃金は発生しません。

就業規則にこれを明記しておくことで、後々のトラブルを避けることができます。

また、
「会社に来るな」
と命じる場合、その理由を明確にしないと、
「働く意欲はあるのに会社が拒んでいる」
と解釈され、賃金支払いの問題が生じることもあります。

さらに、社員が勾留されている間に特段の対応をしない場合、民法536条2項(債務者の危険負担等)や労働基準法26条(休業手当)に基づいて賃金を巡るトラブルが発生することもあります。

懲戒解雇についても慎重な対応が求められます。

私生活上の行為であっても、会社の信用を損なう場合に限り、懲戒解雇が検討されるべきです。

特に、従業員が痴漢の事実を争っている場合、即座に懲戒解雇を行うのは行き過ぎとされるリスクがあります。

解雇無効とされる可能性もあるため、慎重な対応が求められます。

詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/56914

※「教えて!鐵丸先生」のコーナーは、番組後半、32分55秒以降から開始されます

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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