01334_会計・税務関連法務>会計・税務関連法務(フェーズ0)>課題概要と全体構造>概説>企業会計原則

企業は、日々の取引を正確に記録し、これに会計上の処理を加え、一定の基準に従い、会計期間における企業の経営成績や財政状態を浮かび上がらせます。

その際の基準となるのが、企業会計原則と呼ばれるものです。

企業会計原則とは、企業会計の実務の中に慣習として発達したものの中から、一般に公正妥当と認められたところを要約したものです。必ずしも法令によって強制されないが、全ての企業がその会計を処理するにあたって従わなければならない基準と定義されるものであり、以下のものがあります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01333_債権管理・回収法務>特殊な課題・新たな課題

1 集合債権譲渡担保

譲渡担保とは、債権者が債権担保の目的で、所有権等の財産権を、形式上、債務者から譲り受け、被担保債権の弁済をもってその権利を返還するという方法をとる担保の一種ですが、そのうち、債務者が取引先に対し有する複数の売掛金債権(将来、発生する売掛金債権も含みます)等の金銭債権をまとめて担保にとる方法を、特に集合債権譲渡担保といいます。

これは、1998年に
「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」(以下「動産・債権譲渡特例法」といいます)
が制定され、それまで、第三者に譲渡担保を対抗するために必要であった
「確定日付による譲渡通知」
等がなくとも、簡便な対抗要件(債権譲渡登記制度)のみで足りるようになったこともあり、徐々にその利用価値が高まっています。

なお、現在、東京法務局が全国の債権譲渡登記に関する事務を取り扱っています。

2 集合動産譲渡担保

「集合債権譲渡担保」
同様、複数の流動する動産をまとめて担保にとる方法(例えば「倉庫内の商品一切」といった形で特定した動産担保)を、特に集合動産譲渡担保といいます。

これも、
「動産・債権譲渡特例法」
により、簡便な対抗要件(動産譲渡登記制度)のみで債権者が設定した譲渡担保権を第二者に対抗することができるようになりました。

3 財産開示手続

財産開示手続とは、たとえ債権者が民事訴訟で勝訴し、判決等の債務名義を得ても債務者が財産を隠匿する等して権利を実現することが困難な場合に、債権者が債務者の財産を把握するための民事執行法上の新しい制度として、2004年4月1日に施行されました。

財産開示決定がなされた場合、財産開示手続の対象者は、指定された期間内に財産目録を提出しなければならず、また、指定された期日に出頭しなければなりませんし、これを拒絶する等した場合、30万円以下の過料に処せられることがあります。

4 銀行を第三債務者とする預金差押えのテクニック

勝訴判決等の債務名義をもって、債務者の銀行預金債権を差し押さえる場合、原則として、
「債務者のどの銀行のどの支店の預金口座」
といったように、銀行名と支店名を特定しなければなりません。

しかしながら、メガバンクともなれば数十支店もありますので、債務者が預金回座を有する銀行支店を探すだけでも大変です。

そこで、最近では、予め弁護士法23条の2に基づく
「公的機関又は公的・私的な団体に対する照会制度」
を利用して銀行に対し債務者が預金口座を有する支店名を照会しておき、銀行が回答しなかったことを理由に付記し、
「支店名を特定せず、銀行の全支店を支店番号順に順位付けし、上位番号から順に、請求金額全額に満つるまで債務者の預金回座内の金銭を差し押さえる」
といった銀行預金差押命令を申立てる例が実践され始めています。

しかしながら、このような支店名の特定を行わずに行う差押え(最高裁の補足意見は、「全店一括順位付け方式」と名づけています)に関しては、最高裁は特定できているとはいえず不適法、との判断を行っており、差押命令がきた場合に銀行側において即時にどの支店のどの債権であるかが了解できるようなシステムが構築されない限り、許容される可能性は低いものと思われます。

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01332_債権管理・回収法務>債権管理・回収法務(フェーズ4)>有事対応フェーズ>代理受領

ソフトな債権回収方法としての、代理受領ですが、これは、債務者の売掛先(第三債務者)に対する売掛債権の弁済受領権限(取立委任)を取得し、この権限(取立委任の権限)に基づき債権者が債務者の代理として売掛債権の支払を受け、当該代金から債権者の未払債務を清算するという方法です。

特に、債権譲渡禁止特約が付いていて債権譲渡が困難な債権などには便利な方法です。

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01331_債権管理・回収法務>債権管理・回収法務(フェーズ4)>有事対応フェーズ>相殺

相殺は、最もスマートな債権回収方法といわれます。

執拗に担保を要求したり、強硬で手間のかかる回収をするよりも、債務者から物を買ったリサービスの提供を受け、支払を延ばしてもらい、いざ信用不安が生じたら、反対債務を以て、即座に相殺をして回収してしまう、という非常に賢い方法です。

次のように相殺を利用した“ウルトラC”ともいえる回収方法もあり、いろいろと知恵を絞ることが可能です。

なお、一定の場合には、破産法上相殺が制限される場合もあるので、この点には注意が必要です。

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01330_債権管理・回収法務>債権管理・回収法務(フェーズ4)>有事対応フェーズ>債権譲渡

債権譲渡に関しては、債務者の信用状態・支払能力に不安がみられた場合、債権回収に関しては、
「早いもの勝ち」
という単純で公平なルールが支配します。

すなわち、債務者が信用不安に陥った場合、債務者に残された少ない財産に多くの債権者が
「我先に」
と押し寄せてくる状況が生じ、債権者間での紛争も絶えないのですが、裁判所は
「法は自らの権利行使に勤勉なものを保護する」
という理念の下、一貫して早期に回収に動いたものを保護する姿勢を堅持しています。

債権譲渡に関しては、一般に譲渡人(債務者)名義の第三債務者に対する内容証明郵便による債権譲渡通知書を入手し、その通知により債権譲渡の対抗要件を具備するのが一般的ですが、第三債務者の承諾を以て対抗要件を具備するという方法もありますので、民法の規定をよく使いこなし、最も迅速に対抗要件を具備する方法を選択し、他の債権者に先んじて回収をすべきです。

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01329_債権管理・回収法務>債権管理・回収法務(フェーズ4)>有事対応フェーズ>自力救済の危険性

信用不安が生じた債務者のところに出向き、有無を言わせずに在庫を持ち出して債権回収を実行するというケースがありますが、法は自力救済を禁じており、このような行為も、債務者の明確な同意なしに行うと、不法行為に基づく損害賠償(民法709条)を受けることになります。

さらには、住居侵入罪(刑法130条)・窃盗罪(235)・恐喝罪(249条)・強盗罪(236条)にも問われることになりかねません。

ちなみに、このように強引な回収によって債務者が債権者に対して取得する不法行為に基づく損害賠償請求権については、債権者の有する債権をもっては相殺できません(民法509条)ので、支払をしない債務者にさらに追い銭を支払う、という不幸な状況に陥る結果すら発生しかねません。

いずれにせよ、強引な在庫商品や動産の持ち出しは百害あって一利なしなので、十分な注意が必要です。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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01328_債権管理・回収法務>債権管理・回収法務(フェーズ4)>有事対応フェーズ>債権回収の実務

ファイナンス関連法務における有事対応として、債権回収事故対応、すなわち、債務者の弁済が本来の回収スケジュールの癬怠に伴い強制的な債権回収を行う場合があります。

債権回収において通常想定されるのは、仮差押や債務名義の取得(執行認諾文言付公正証書の作成)とこれに基づく強制執行ですが、債権回収の方法は何もこのような
「ハードで重装備の回収手続」
に限りません。

裁判所の力を借りず、ソフトに債権回収する方法として相殺、代理受領、債権譲渡等も検討されるべきです。

また、債権回収を断念せざるを得ない場合であっても、貸倒れによる損金経理をすることにより納税負担を減らすことも検討すべきです。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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01327_債権管理・回収法務>債権管理・回収法務(フェーズ3)>予防対策フェーズ>取引先の信用性調査・判断

取引先の信用判断のため、財務諸表の分析は欠かせませんが、最近では、次の3つの観点を基本に、それぞれの項目ごとに検討することも重要視されています。

1  安全性の観点

(1)流動比率
短期支払能力を判断するための指標です。
具体的には、 1年以内に支払期限が到来する流動負債を返済するための原資として、流動資産をどの程度確保しているか、を計測します。

(2)当座比率
同じく短期支払能力を判断するための指標です。
流動負債を返済するための原資として、特に、現金預金や売上債権等の現金性の高い資産をどの程度確保しているか、を計測します。

(3)流動負債比率
1年以内に支払期限が到来する流動負債と、自己資本の関係を表す指標です。
一般に、
「自己資本流動負債比率が80%を超えている場合は、資金繰りの健全性が乏しい」
などといわれます。

(4)負債比率
資本における負債と自己資本の関係を表す指標です。
「負債比率の数値が低いほど、資本が厚く、企業の安全性が高い」
といわれます。

2  収益性の観点

(1)売上高純利益率
税引後の当期利益と配当原資を表す指標です。
この数値が高いほど収益性が高いということができます。

(2)総資産利益率(ROA、Return On Asset)
企業が保有する資産をいかに有効利用して利益を確保したかに関する指標です。
総資本に占める利益の割合を指しますが、この数値が高いほど収益性が良く、健全である、ということになります。

(3)株主資本利益率(ROE、Return On Equity)
株主が出資した資本をいかに有効利用して利益を確保したかに関する指標です。
この数値が高いほど健全性、収益性が良い、ということになります。

3 効率性の観点

(1)使用総資本回転率
別名、総資産回転率と呼ばれるものです。
この数値が高いほど、資産から利益を生み出す効率性が高いことになります。

(2)売掛金回収期間
売掛金の回収効率を判断する指標で、日本では売掛金回転率とも呼ばれます。
買掛金売上高比率と比較することで、キャッシュフローの状態を把握することができる、とされます。

(3)買掛金売上高比率
売上高に占める買掛金の割合を表す指標で、買掛金回転率とも呼ばれます。
この数値が低ければ低いほど、健全性が高く支払サイクルも早い、といえます。

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01326_債権管理・回収法務>債権管理・回収法務(フェーズ3)>予防対策フェーズ>担保・債務名義の取得

企業が貸主となって第三者に融資する場合や売掛債権を保有する場合等に関しては、担保に関する知識があれば、相当程度貸倒れ事故のリスクを予防することが可能となります。

したがって、法務スタッフとしては、担保法に関する法務知識の習得に努め、多いに活用すべきです。

1  無担保債権を有する場合

企業が第三者に融資を行ったり、売掛により信用を供与する場合において予防法務の面から推奨される行動としては、しかるべき担保を取ることに尽きます。

しかしながら、営業拡大という事業戦略や、その他売掛先の状況から担保取得が困難な場合もあります。

そのような場合であっても、回収事故の際に即座に差押え等の回収行動に出られるようにするため、公正証書を作成し、相手方の支払義務を
「債務名義」化
しておくべきです。

「債務名義」
とは、公的機関によって債権の存在を確認した文書を総称し、具体的には、判決、和解調書及び公正証書を指します。有事の際には、債務名義の有無により、回収行動のスピードに大きな違いを生じますので、平時において(あるいは有事に至るような兆候が見えたら即座に)自己の債権を公正証書化する等の方法により
「債務名義」
としておくことが推奨されます。

平時において
「債務名義」
を取得したか否かによって、回収事故発生という有事において債権回収のコスト・スピードがどの程度違ってくるかについては、次のとおりですが、その差は顕著なものです。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

2 担保取得に関する予防法務

上記のように回収の手間や回収失敗のリスクが生じるのは、あくまで無担保債権であることに由来します。

逆に、回収リスクを折り込んで、融資や信用供与に先立ちあらかじめ担保を取っておけば、効果的に回収リスクをヘッジすることできます。

保証に関してですが、まず、
「保証人の数や資格には法律上一切制限がない」
ということは意外に知られていません。

実際、中小企業が他企業に融資や信用供与する場合、連帯保証人を立てさせる場合も、代表取締役個人1人だけ、という場合が多いように見受けます。

しかしながら、前記のとおり、保証人の数や資格には一切制限がないので、債務者である会社の代表取締役1人だけでなく、当該代表取締役の妻や息子、さらには両親、祖父母、妻の父母、全員連帯保証人として要求することも可能です。

加えて、貸付や信用供与が数次にわたる場合、逐一連帯保証を取り付けることが手間になりますので、そのようなケースにおいては、根保証(民法465条の2)としておくことが推奨されます。

根保証とは、一定の継続的取引関係から将来発生する全ての債務を保証する契約です。

ただ、2005年に施行された
「民法の一部を改正する法律」
により、根保証には以下のような制限が加えられるようになりましたので、根保証を取り付けるにあたっては注意が必要です。

もちろん、根保証人についても資格、人数制限がありませんので、誰が何人ついてもよく、多ければ多いほど担保力が強化されます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01325_債権管理・回収法務>債権管理・回収法務(フェーズ2)>経営政策・法務戦略構築フェーズ

毎日、
「取引先と顔を合わせ、購入を依頼している立場の営業部門」
が、ある時(支払事故)を境に、当該取引先を、突如、
「神様にも匹敵する大事なお客様」
から
「約束を守らず、企業を脅かす有害な敵」
とみなし、厳しい取立を行う、というのは営業担当者に心理面で大きなストレスを与えますし、回収を期待しうる現実的な可能性も乏しいといえます。

実際、営業部門としては、
「大切な取引先」
を救済するという動機が強く働き、結果、管理部門への報告を遅らせるなど事態を糊塗隠蔽して、ますます売掛債権を増やしてしまう、という行動に及びがちです。

そこで、債権の管理・回収は、営業部門とは異なる回収専門の部署(総務部等、他部署との兼任でもかまいません)を設置し、社内で、支払期限が経過した場合、一定の債権回収のためのスケジュールを策定しておくべきです。

そして、例えば、2回目の催告状の発出手続から当該債権の回収を当該回収専門の部署に移行する、といったような機械的な運用を行うことで、適切な信用管理と債権管理・回収を行うことが可能となります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

また、戦略的な債権回収として、自社を
「カネの流れ」
の上流に位置づけるという方法も重要です。

例えば、フランチャイズ・ロイヤルティの回収を確実にするのであれば、加盟店のレジ・システムを一括管理し、一旦、売上全額を入金させ、その後、当該売上からフランチャイズ・ロイヤルテイやその他債権を差し引いて返還する、という方法が考えられます。

また、信用に問題ある取引先であれば、当該取引先から、予めその取引相手(第三債務者)に対する金銭債権の弁済受領権を取得しておく、という方法もあります。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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