01273_知的財産法務>知的財産及び情報マネジメント法務。経営資源「チエ」の調達・活用に関する個別法務課題>知的財産法務(フェーズ2)<経営政策・法務戦略構築フェーズ>具体的戦略例>特許法104条の2

かつて、特許訴訟においては、訴訟の前提となるべき課題である
「侵害行為の特定」
という点に関し、長期間にわたって激しく争われるのが通例でした。

すなわち、特許訴訟を進める上では、
「原告の有する特許」

「侵害品(知財訴訟においては“イ号物件”と呼称されます)あるいは侵害方法(“イ号方法”)」
とを比較してどの部分がどの程度似ているか、という一種の
「間違い探し」
のようなことから始めなければなりません。

しかしながら、被告側は、訴訟戦略上、この
「間違い探し」
プロセスに協力しない姿勢を取る方が有利であると判断し、イ号物件やイ号方法を提出しない、あるいは、提出したとしても当該侵害品ないし侵害方法の機序・作用の詳細を明らかにしない、という形で抵抗します。

このようなことから、
「間違い探し」
ゲームの対照図がなかなか出てこず、明らかになるまで訴訟が相当程度事実上停滞する、という状況が生じたのです。

侵害行為の立証を容易にするため、特許法104条の2が設けられました。

これは、
「被告が原告主張のイ号目録を否認する場合には自己の具体的態様を明らかにしなければならない」
という規定です。

相手方が支配する環境において、どのような特許権侵害がなされているのかということを、原告が摘示することは往々にして困難であることもあり、このような定めが設けられました。

しかしながら、この規定を不当に利用することで、相手方の技術を探索しようという戦略法務が実施されることもある、との報告があります。

例えば
「物を生産する方法の発明」(製造方法の特許)
においては、成果物だけを見ても、どのような製造方法の特許を実施することで出来上がったかは通常把握できません。

そのようなときに、ライバル会社が秘匿する特殊な製造方法についての詳細な技術内容を合法的に取得したいと考える企業は、当該ライバル会社に
「この製品は当社の製造方法特許を侵害しているに違いない」
との訴訟を提起します。

これに対し、ライバル会社は、
「そうではない。われわれはAとBという方法を用いて製造したのである」
などと具体的に否認する立場に陥ります。

このように、ライバル会社に反論の具体的理由を開示させることを通じて、ライバル会社の技術の内容が探索できてしまうというわけです。

特許訴訟は
「訴訟」
である以上、原則として公開法廷でなされなければならず(憲法82条)、したがって、訴訟のやりとりを通じて、営業上・技術上の秘密が公になってしまいます。

そこで、特許法は、このような事態に対処すべく、まず、当該
「秘密」
を訴訟の場に顕出させる前に、訴訟の進行のために必要かどうかをインカメラ(特許法は、「正当な理由」がある場合を除き、侵害行為等の立証のために証拠の提出を命じることができることを定めています。そこで、この「正当な理由」の存否を判断するために、裁判所のみが証拠を閲覧する手続をインカメラ審理といいます)にて審理を行うことができると定めています。

また、仮に必要であるという判断に至ったとしても、訴訟追行のため以外に当該情報を用いてはならないことなどを内容とする
「秘密保持命令」制度
を整備しています。

技術探索目的での訴訟を受けた相手側としては、これらの措置を申立てることにより、訴訟手続の進行を妨げることなく、しかも、それを開示したことで訴訟上も経済上も不利益を被らないように手当てがなされているのです。

そして、その実効性を担保するため、秘密保持命令に違反した場合には5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれらが併科され、法人も罰せられることがあります(特許法200条の2)。

したがって、技術情報等に関する訴訟の当事者となった場合には、秘密保持命令の申立てや、非公開審理の利用を行い、ノウハウの不当な開示・流出から企業を防衛することになります。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01272_知的財産法務>知的財産及び情報マネジメント法務。経営資源「チエ」の調達・活用に関する個別法務課題>知的財産法務(フェーズ2)>経営政策・法務戦略構築フェーズ>具体的戦略例>特許法104条の3

特許権や商標権等については、その権利を無効化する行政上の手続が存在します。

これは、権利者からの権利行使に対応する手段として認められているわけですが、例えば特許権については、特許庁の審査を巧妙にくぐり抜け、広い権利範囲で権利化を遂げ、権利侵害が疑われる者に対して金銭を要求する者(パテントトロール)に対しては、有効な手段といえるでしょう。

特許法104条の3は特許侵害訴訟における抗弁の1つとなるものであり、当該特許権に無効理由があることを主張するものです。

従来、特許権の存否自体は専門技術的な判断を伴うという考えから、裁判所ではなく、特許庁の専権であるとの考えが多数を占めていました。

しかしながら、明白に無効理由があるような場合にまで、裁判所が特許庁に遠慮をして権利行使を常に認めるというのでは公平を欠くこととなります。

そこで、このような抗弁が認められるようになり、実際に、当該無効の抗弁が成立することも少なくありません。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01271_知的財産法務>知的財産及び情報マネジメント法務。経営資源「チエ」の調達・活用に関する個別法務課題>知的財産法務(フェーズ2)>経営政策・法務戦略構築フェーズ>ポイント

ある一定のノウハウ等に関して権利化を行い、これを企業内の財産として把握し、排他的な権利とすることを
「知的財産の権利化」
といいます。

法律上保護される
「権利」
なのですから、それを取得するために様々な要件が存在します。

すなわち、
「権利化」
することを目指すのであれば、これら要件を欠くこととならないように、当初から新規性やノウハウ等の管理等に関して十分に配慮しておく必要があります。

知的財産の権利化を図ることは、権利化の対価として、その知的財産について
「公開」
することが必要となります。

この場合、権利化をすることで、ライセンス料等を稼ぐことができるわけですが、知的財産を隠しておくという手段も考えるべきです。

すなわち、
「公開」
せずに技術的優位を保持したまま、市場で優位を築く手法です。

この場合、仮に何らかの形で技術が漏洩するようなことがあれば、権利行使をすることは困難となりますが、当該技術の優位性や、会社の生産能力等との兼ね合いで、かかる
「非権利化」
との選択肢をとることも十分にありうることと考えられます。

知的財産を用いることにより、どのようにして収益を生み出すかについては、様々な考え方があります。

例えば、生産能力が十分でない企業であれば、有償ライセンスを行うことで利益の配分を獲得することでしょうし、自らが特許権を持っていなくとも生産能力に優れていれば、一定のライセンス料を支払うことで市場を席巻することが可能となります。

このような観点から、アライアンスを構築したリライセンス契約を締結することによって
「チエ」
を収益に結びつかせることが考えられるわけですが、このような場合には、当該権利が無効になることも念頭に置いた上での、
「契約法務」
が活躍すべきであるということができるでしょう。

一方で、純技術的に、特定の商品を市場に出す場合に、第三者の特許権を用いたいものの当該特許権の許諾を受けるには多額の費用を要するなどという場合には、当該特許の周辺特許を取得し、クロスライセンス契約に導くなどの特許戦略をも検討すべきです。

すなわち、特許戦略を練る上では、技術的範囲やその高度さに拘泥するのではなく、最終的にどのような形で市場に出うるのか、というマーケットを意識した戦略を構築する必要があります。

特許権の効力範囲に関しては、
「各国の特許権の効力は、当該特許権を取得した国の主権が及ぶ領域内においてのみ認められ、その領域外には及ばない」
という原則(属地主義)が適用されます。

すなわち、A国で登録された特許権は、A国の範囲でしか効力を有さず、外国においては、当該外国で登録されていない限り、特許権が効力を及ぼすことはありません。

逆に言えば、日本国内で登録されていない海外特許については、(生産・使用・譲渡等の実施行為が国内で完結する限り)、いくらパクっても咎められることはありません。

この点、属地主義をふまえながら、
「国内登録されていない外国特許」
をどのように戦略的に対応すべきか、という点については、本ブログにおいて後述しますので、参照してください。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01270_知的財産法務>知的財産及び情報マネジメント法務。経営資源「チエ」の調達・活用に関する個別法務課題>知的財産法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令管理その2

弁理士の主な業務は、一般的に審査・登録を要する知的財産権が成立するまでの代理が主たるものです。

具体的には、企業を代理して特許等の出願書類を作成し、また、特許庁から出願後通知される拒絶理由通知に対応したりする業務がその中核的業務となります。

もちろん、一旦成立した特許が特許庁において無効である旨争われたり、特許拒絶査定を争ったりという、特許庁における審判や行政不服審査において企業を代理する活動もありえますが、このようなトラブル処理になると、弁護士の出番が増えてきます。

さらに、特許権侵害訴訟等になってくると、弁護士と共同受任して訴訟代理人として法廷活動をする弁理士の方もいますが、裁判はほぼ弁護士の独壇場となってきます。この関係を、大雑把に整理すると、以下のようになります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

知的財産関連法務において法的問題が生じた場合、企業として、弁理士あるいは弁護士、さらにはその双方に助言を求める場合がありますが、上記のような観点をふまえ、問題の種類に応じて効果的に使い分けをすべきです。

著作権法に関する基本書・体系書としては、
『著作権法 制度と政策(3版)』(作花文雄著・発明協会)
が、また、オーソドックスな解釈を調べるコンメンタールとして、
『著作権法逐条講義(6訂新版)』(加戸守行著・著作権情報センター)
が適していると考えます。

なお、著作権法においては、法改正が毎年のように行われる点からしますと、かかる定評のある書籍の他に、文化庁等のウェブサイトや、Q&Aコーナーまで充実している公益社団法人著作権情報センターのウェブサイトを閲覧することで、知識のアップデートをすることも欠かせません。

不正競争防止法に関しては、一般のビジネスパースンでも理解できるように書かれたパワーポイントシート形式の簡単な概要資料として、経済産業省のウェブサイトからダウンロードできる
不正競争防止法の概要」を紹介します。

基本書としては、経済産業省の行政官が書いたものとして、
『要説 不正競争防止法(第4版)』(山本庸幸著・発明協会)
がオーソドックスなもので使いやすいかと思われます。

コンメンタールとしては、
『逐条解説不正競争防止法(平成23・24年改正版)』(経済産業省知的財産政策室編・有斐閣)
が挙げられます。

個人情報保護法に関しては、理論・実務両面について詳細に書かれたものとして
『個人情報保護法(新訂版)』(岡村久道著・商事法務)
が、コンメンタールとしては、
『個人情報保護法の逐条解説(第4版)―個人情報保護法・行政機関個人情報保護法・独立行政法人等個人情報保護法』(宇賀克也著・有斐閣)
が挙げられます。

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01269_知的財産法務>知的財産及び情報マネジメント法務。経営資源「チエ」の調達・活用に関する個別法務課題>知的財産法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令管理その1

知的財産法について全く知らない方のための入門書としては、
『産業財産権標準テキスト』(特許庁・工業所有権情報研修館著・発明推進協会)
が挙げられます。

このシリーズには
「総合編」
「特許編」
「商標編」
「意匠編」
の各書籍があり、特に
「総合編」
は、法学部出身者以外の法務スタッフには最適です。

特許法の基本的構造や仕組みを知るための基本書・体系書としては、
『特許法(第2版)』(中山信弘著・弘文堂)

『標準 特許法(第4版)』(高林龍著・有斐閣)
が挙げられます。

特許権・実用新案権の設定登録までの構造・体系理解については、具体的運用例も豊富に記載してある
特許・実用新案審査基準」が参考になります。

意匠法に関しては、意匠権設定登録までに関しては
意匠審査基準
が最も使えるツールであると思います。

なお、意匠権設定登録された後、侵害事案が発生した場合に関しては、
『知的財産権侵害要論 特許・意匠・商標編』(竹田稔著・発明協会)
の意匠の部分に詳細な記載があります。

商標に関しては、登録までに関する体系や運用理解については、
商標審査基準
が非常に使えるかと思われます。

体系書としては、
『商標』(網野誠著・有斐閣)
が参考になります。

条約関係に関しては、
『特許関係条約』(橋本良朗著・発明協会)
がスタンダードな書として推奨されます。

知的財産部等の専門法務組織を擁し、知的財産権の取得を企業活動の重要な戦略として位置づけている企業においては、自前のコンメンタールを持つ意味があると思いますが、知的財産の登録、活用や侵害対応に関しては、弁護士や弁理士等の専門家に委ねている一般企業においては、コンメンタールまで保有する意味は乏しいと考えます。

逆に、コンメンタールを参照しなければならない高度で複雑な事案を専門家の助力を借りずに検討・解決するという方がリスキーだといえます。

なお、
『工業所有権法逐条解説』(特許庁編・発明協会)
は、特許庁の担当者が公的な解釈を加えたもので、行政解釈を知る上で参考になりますので、保有しておいても差し支えないものと考えます。

また、インターネットで特許・実用新案・意匠・商標の各公報情報や出願・登録・審判に関する審査経過情報の照会・検索ができるものとして、特許電子図書館があります(注:2015年3月23日にサービス終了しました)。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01268_知的財産法務>知的財産及び情報マネジメント法務。経営資源「チエ」の調達・活用に関する個別法務課題>知的財産法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>その他の知的財産法

知的財産法としては、半導体集積回路の回路配置に関する法律や種苗法があります。

半導体集積回路の回路配置に関する法律は、一定の手続を経て設定登録された回路配置を、一定期間(設定登録の日から10年)回路配置利用権として保護することを定めた法律です。

特許権等と異なるのは、先願主義を採用しておらず、他人が独自に創作した回路配置には権利が及ばない点にあります。

また、種苗法は、既存の品種に見られない優れた特徴(美味しい、香りが強い、収穫量が多い、病害に強い)を備えた新品種の植物の種や苗などを開発した者の権利を保護しています。

新品種の開発者は、農林水産省に申請し、審査を経て、登録を受けた場合、当該新品種を独占的に利用(種苗の生産・販売と収穫物の生産・販売の双方の独占利用)できる権利(育成者権)を付与されます。

肖像権とは、他人から無断で写真を撮影されたり、撮影された写真が無断で公表されたり販売されたりすることを禁じる権利をいいます。

そして、肖像権には、

1 人格権としての肖像権
2 財産権としての肖像権(パブリシティ権)

があります。

人格権としての肖像権は、著名人に限らず誰でも認められますが、パブリシティ権は、経済的利益や価値を生じるような肖像(パブリシティ価値ある肖像)に限定して生じる権利です。

これらの権利は、人格権を認めた憲法13条、不法行為法(民法709条)を通じて具体的保護が図られます。

情報・技術に関する活動を規制する法令として、個人に関する情報を保護することを目的とした個人情報保護法も、企業法務活動上把握しておくことが必要になります。

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01267_知的財産法務>知的財産及び情報マネジメント法務。経営資源「チエ」の調達・活用に関する個別法務課題>知的財産法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>特許国際出願関連法規

特許法は属地主義に服しており、特許権の及ぶ範囲は登録国に限定されます。

特許は登録国に限定した保護しか受けられない関係上、海外で製品展開等を行う場合には、進出先での特許出願を行わなければなりません。

外国での特許出願に関する法令として、PCT(特許協力条約)とパリ条約があります。

PCT条約は、1カ所への出願で複数国出願と同じ効果を得るための手続を定めた条約であり、パリ条約は、条約加盟国における国内出願から12ヶ月(グレイス・ピリオド)以内に他国へ出願した場合、他国出願の時点が当初の国内出願時まで遡ることを定めた条約です。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01266_知的財産法務>知的財産及び情報マネジメント法務。経営資源「チエ」の調達・活用に関する個別法務課題>知的財産法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>不正競争防止法

不正競争防止法は、
「ビジネス版不法行為総則」
ともいえるもので、民法定められた不法行為の特別法として、不当な競争行為を類型化し、刑事罰を含む強力な方法で排除しています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

企業の保有する技術、工業デザイン、ブランドやロゴが保護されるのは、特許法・実用新案法・意匠法・商標法による場合だけではありません。

不正競争防止法によっても、これらが保護される場合があります。

特許法・実用新案法・意匠法・商標法と不正競争防止法は、企業の保有する無形資産を保護する機能を有していますが、以下のように、保護のあり方はそれぞれ異なっています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

営業秘密の管理については、経済産業省から、「営業秘密管理指針」、「営業秘密管理チェックシート」を参照することにより、営業秘密として保護されるための実務的指針を具体的に把握することが可能です。

不正競争防止法は、デジタル・コンテンツの保護に関し、著作権法とも適用が競合します。

すなわち、著作権法では、コピープロテクション(複製防止機能)を解除してコピーする行為は、私的使用であっても著作権侵害行為としており(著作権法30条1項2号)、また、コピーガードキャンセラーをビジネスとして製造したり販売したりする行為に対して刑事罰が科されます(著作権法120条の2第1号等)。

他方、不正競争防止法でも、デジタル化されたコンテンツのコピー管理技術、アクセス管理技術等により制限されている音楽や映画の利用を可能にする機器やプログラムの販売行為等は不正競争として規制されています(不正競争防止法2条1項10号・11号、7項、8項)。

デジタル・コンテンツ保護における、著作権法と不正競争防止法の保護のあり方の違いは下表のように整理されます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01265_知的財産法務>知的財産及び情報マネジメント法務。経営資源「チエ」の調達・活用に関する個別法務課題>知的財産法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>著作権法

著作権法とは、思想や感情をユニークな方法で表現したもの(著作物)を保護する法律です。

ここで、著作権法と特許法・実用新案法との違いですが、特許法・実用新案法がアイデアを保護するのに対して、著作権法は表現を保護する点で区別されます。

著作権といえば、一般に本や音楽を印刷・複製して販売する権利のみがイメージされますが、著作権には、財産権としての著作権に加え、人格権としての著作権(著作者人格権)があります。

さらに、著作者のみならず、著作に関わった者や著作の実演者にも一定の権利が認められています。著作権の全体図を示すと次のようになります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

著作権法は
「表現」
を保護し、
「アイデア(技術的思想)」は特許法により保護される、という区分があります。

しかし、コンピュータ・プログラムが著作権法により保護される一方、ハードウェアを用いて具体的に情報処理が実現されているソフトウェアに関しては、コンピュータ・ソフトウェア関連発明として特許権が成立する場合もあります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01264_知的財産法務>知的財産及び情報マネジメント法務。経営資源「チエ」の調達・活用に関する個別法務課題>知的財産法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>特許権・実用新案権・商標権・意匠権の具体例

携帯電話を例にとって、特許権・実用新案権・商標権・意匠権を具体的に示したのが下記の図です。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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