00776_紛争・有事状況のゲーム環境たる裁判システムを理解する7:裁判所における事件処理の実体(5)裁判は初動が肝心
自分のトラブルを裁判官にプレゼンする際、当該事件が「裁判官にとって好まれる処理しやすい事件 」、すなわち思考経済の負担が軽い事件に思わせるのは、事件の終盤ではなく、初動段階においてです。 多くの事件を抱え、その効率的処理に日々頭を悩ます裁判官は、アレコレ悩むより、最初に見通しを決めてしまい、その見通しを最後まで維持した...
自分のトラブルを裁判官にプレゼンする際、当該事件が「裁判官にとって好まれる処理しやすい事件 」、すなわち思考経済の負担が軽い事件に思わせるのは、事件の終盤ではなく、初動段階においてです。 多くの事件を抱え、その効率的処理に日々頭を悩ます裁判官は、アレコレ悩むより、最初に見通しを決めてしまい、その見通しを最後まで維持した...
書面をことのほか尊重(偏重)する民事裁判官の仕事の進め方からは、裁判官にとって「好まれる処理しやすい事件」と「処理が面倒で好まれない事件」が存在するという推定が導かれます。 裁判官が好きな事件とは、正邪が明瞭な事案で、かつ正しいとされる側に証拠がきちんと揃っている事件です。 逆に裁判官の頭を悩ます「処理が面倒で好まれな...
「文書を重んじ、口頭での話を軽んじる」という裁判所の行動様式は一見、噴飯もののように思えますが、見方を変えると極めて合理的なのです。 「書面を重視する」という裁判所の合理的な行動哲学は、我が国最難関の実務法曹選抜試験としての旧司法試験や司法試験予備試験の選抜プロセス方式にも反映されており、ここに、法曹選抜プロセスと民事...
一般に、「証人尋問は訴訟のもっともドラマチックな場面」などとされますが、実際の民事訴訟においては、事件の筋、すなわち勝敗は証人尋問開始前にほぼ決まっており、実際のところ、尋問はほとんどの場合、セレモニーにすぎないといえます。 これは筆者が適当な感想を言っているではありません。 弁護士会主宰のセミナーで紹介されていたデー...
裁判官はたくさん事件をかかえていて、膨大な記録を速読して瞬時に事件の見通し(われわれ法律屋の世界では「事件の筋」とか言ったりします)を立てて、その見通しにしたがって事件を処理し、当事者の言い分や証拠を調べながら、高裁や最高裁でひっくり返されないように理屈を固めていきます。 一旦立てた全体の見通しをクルクル変えてしまうと...
期待はずれの裁判所 多くの人にとって裁判所は知識も経験もなく、「どんな人がいて何をやっているのか、さっぱりわからない」という存在ではないでしょうか。 われわれ弁護士は、裁判官登用試験と共通の試験(司法試験)に合格し、裁判官と同じメニューでの実務教育(最高裁判所管轄下の司法研修所で行われる司法修習)を一定期間(私の時代は...